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レイヴン戦記  作者: 一弧
番外編
49/154

魔女達のお茶会1

『今こそ3年前の雪辱を果たす時、勇者たちよ我に従え!』

その高らかなる号令に、付き従う騎士達の歓声が木霊する!


『錐行の陣にて敵を切り裂く!いざ参る!』

号令と共に駆け出すエンゲルベルトに配下騎士達が続く、

待ち構えるオルトヴィーンの横陣を安々と突破する、

されど大軍故に次の陣が待ち構える!


『薄紙のごとき陣など何重でも突破してくれる!』

エンゲルベルトの咆哮に騎士達も答え突破は続く!

薄紙のごとく幾重もの陣を突破して行くと目に映るは鴉と死神の紋章!


『見えたぞ!奴の本陣だ!死神を名乗るペテン師を地獄へと送り返してくれる!』

配下の騎士達と鴉の旗なびく陣へと殺到する!

するとその時!

鴉の紋章が掲げられた陣幕が落ち、

その向こうには漆黒の鎧を纏いし騎士が!


『貴様!我が鎧を漆黒に染めなんとしたことか!』

漆黒の騎士は答えない、


『何とか言ったらどうだレギナント!』

漆黒の騎士は涼やかな笑い声と共に兜を脱ぐ、

なんとそこには美しき黒髪をなびかせた美女の姿が!


『ふふ、私がレギナントに見えるかね!王太子殿』

美女の挑発にエンゲルベルトは激高する!


『騎士の礼だ!名を名乗らんか!』

その咆哮に美女は答える、


『貴様に引導を渡すものとでも答えておこうか』

スラリと剣を抜き答える美女にエンゲルベルトも剣を抜き切りかかる

『誰でもよい!成敗してその鎧取り戻してくれるわ!』


美女の振るう剣は舞を舞うがごとく美しく見る者を魅了した

さしものエンゲルベルトも防戦一方となった、

このままでは負ける、

そう感じたエンゲルベルトは隠し持った目つぶしを投げつける、


『貴様卑怯だぞ、騎士にあるまじき行い!恥を知れ!』

美女の叫びにエグンベルトは答える、

『勝てばいいのよ!』

目を封じられた美女の胸を深々とエグンベルトの剣が貫く!

致命傷を受けた美女は呟く、

『レギナント様・・・・・・』


『おお!エレーナなんとしたことか!』

その時どこからともなく現れた騎士が叫ぶ、


その騎士を見てエグンベルトは勝ち誇った笑みを浮かべながら語る、

『遅かったなレギナント!貴様の愛しき者は我が手によって冥府の住人となった、貴様も早々に後を追うがよい!』

その言葉を聞きレギナントの怒りは有頂天に達した!


愛用の死神の鎌を構えると、黄金の鉄の塊の騎士の魂が宿った如く斬りかかる

エンゲルベルトもその一撃を愛用の聖剣エクスカリバーで受け止めるも、剣諸共両断される!


『知らんのか?騎士が大鎌を装備した時、暗黒の魂が一体となり最強となることを!』

エンゲルベルトを討ち倒すと、静かにエレーナの亡骸へと歩み寄る、

その亡骸を愛おしそうに抱擁すると叫ぶ、

『ああ、愛しき人よ、神は何故無情にも我が愛する者を奪うのか!』


その時天から一条の光が差しエレーナの頬に赤みがさす、

『レギナント様・・・・・』

『エレーナ・・・・・・』


かくして愛の奇跡によりこの戦役は終結したのであった。



 やり切ったという満足感と羞恥心とで顔を紅潮させたイゾルデを余所に他のメンバーは拍手をするのも忘れて大爆笑していた、一人だけは複雑な半笑いであったが、


「エレーナ様一度お亡くなりになってたんですね!」


「ええ、私も初めて知った!」


 ユリアーヌスの冗談にエレーナが返すと、一同から爆笑が洩れる、


「それにしても、前聞いたのとちょっと違いませんでしたか?」


 アルマも泣きながら尋ねる、もちろん笑い泣きである、


「ああ、それはね、色々なヴァージョンがあるのよ、もっととんでもない展開のもあるわよ。」


「ああ、それも聞いてみたいです。」


「イゾルデ、リクエストが入ったわよ!」


「鬼かよ!」


 魔女たちの和やかなお茶会は吟遊詩人イゾルデの熱演で大いに盛り上がった。



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