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レイヴン戦記  作者: 一弧
第一章 急転
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エピローグ

 のんびりとしたものだった、伯爵一行を見送った後は文字通りたいしてやる事は残されていなかった、行政、財務に相当する問題は以前の記録を頼りにユリアーヌストヒルデガルドがエレーナの助言を仰ぎながらほとんど片づけてくれた、飲み込みの早い彼女たちの事だ『次はもう助言もいらないだろう』というエレーナのお墨付きだった。

 そんな彼に課せられた仕事はとりあえず特になかった事もあり、書庫に眠るレギナントの残した資料、日記、戦術理論等を読み過ごす事となった、物欲しそうな目をしていたゲルトラウデに『一緒に見る?』と聞くと尻尾を振らんばかりに喜び彼以上に熱心に読み漁っていた。

 平和を満喫しながら確実に以前より高くなった生活水準を喜んでもいたが、顔色を窺わなければいけない人がけっこう多いという点がかなり問題だった。

 戦時中等の緊急事態や、スタート間もない緊張感が終わると平穏な中で不気味な水面下の戦いを起こしそうな人物の顔が二人ほど浮かんで、それ以上は考えないようにした。

 子供も、できた順番や誰にできたかによっては血を見ることになるのではないか・・・・と考えて、怖くなって考えるのを止めた。

 まぁ、なるようにしかならないんだろうからなぁと考えながら日常を満喫していた。



「そういえばお決めになりましたか?急ぐ事ではありませんが、いつまでも決めないというのも問題かと。」


 夕食の席でカイが尋ねて来る、


「う~ん、どうしたもんかねぇ~」


「なんの話ですの?」


 主語が欠如した会話で、会話内容に心当たりのなかったユリアーヌスが尋ねる、この問題は隠す問題でもないが偶々テオドールとカイで話していて話題に上ったものであり、他には特に相談していない問題であった。


「いやね、個人紋の意匠をどうするかって話だったんですよ。初代が鴉と道化師、先代が鴉と死神、家紋である鴉と何を組み合わせるかってとこなんですよね。」


「道化師、死神ときたら悪魔なんてどう?」


 ヒルデガルドが面白そうに提案するが、ユリアーヌスが即時却下する、


「教会を敵にまわす気?却下!」


「戦はハッタリなんでしょ?だったらインパクトあっていいじゃない!」


「教会に睨まれるデメリットもわからないの?」


 ため息まじりに肩をすくめながら言うユリアーヌスの言動が癪にさわったのか、絶対に後に引かない姿勢で口喧嘩をエスカレートさせだした。

 収集をつけるには代案でも出さなきゃどうしようもないと思い、オズオズとテオドールが話し出す、


「いっそ女神なんていかがでしょうか?」


 その言葉に口論はピタリと止まったが、二人の口から同時にハモるように質問が飛んだ、


「「いいわねえ!ところでその女神のモデルは誰かしら?」」


 チラっとカイに助けを求めるように視線を投げるとソソクサと部屋を退出して行くところだった。

 『間をとって私で、とアルマは思ったが言い出す度胸はなかった。』

 なんと答えれば一番被害なく終える事ができるであろうか考え、ギリギリの回答を出した、


「う~ん、やっぱり武門の家としてはアテナかなぁ、美の女神アフロディテとか狩猟の女神アルテミスなんかも捨てがたいねぇ」


 腕を組み考え込むようにしながら言うが、その場にいる他の者達の考えは一致していた。

 『こいつ。逃げやがったな!』と。

 彼の受難に満ちた人生はまだ幕を開けたばかりであった。

 


 これで一区切りです、本で言うなら一巻終了のような感じです。

 プロット的には現在八巻までできていますので、ちょっと休んだらまた書きたいと思います。

 読んでくださった読者様に感謝をこめて。

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