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レイヴン戦記  作者: 一弧
第一章 急転
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アルマとの房事

 ここ数日テオドールは夜はアルマの寝所に通うようになっていた、最初は不慣れでぎこちなくただ耐えるようにしているアルマの相手をする事は、快楽よりも疲労感の方が大きくかったが、回数を重ね慣れてくるとアルマも積極的になり、若く体力があるだけに、夜の営みはユリアーヌスとの情事より激しいものとなっていた。

 精神的な部分も大きかったように思われる、テオドールはいくら慣れてきたとはいえ、王族であったユリアーヌスには、どことなく緊張感を持って接しているが、昔からの馴染みであるアルマに対してはほとんど緊張感もなく接していた、特に閨での関係ができてからは、怪我を負う前のアルマに少しづつ戻って来ているようで、この変化は昔の彼女を知る村人達やエレーナを喜ばせた。

 一戦終えインターバルを置いていると、アルマはじゃれるように纏わりつきながら話しかけてきた、


「ここ数日こっちに来てくれているけど、ユリアーヌス様はだいじょうぶなの?」


 彼女にしてみればテオドールの来訪は喜ばしい事であったが、ユリアーヌスの怒りを買うような事態は避けたいとの思いがあった、彼女はユリアーヌスも含め全員がそれなりに幸福になれる道を模索する上で偏りが不和を招く原因になるのではないか?という事を本能的に感じていた。


「ああ、それなら心配ないよ、ほら、あれの日なんだよ、まだしばらく続くんじゃない?」


 テオドールにしてもユリアーヌスの機嫌を致命的に損なうような事になったらどうなるかは分らなかった、しかし、領主の機嫌を損ね処刑されたという話は余所の村などでは珍しい話でもなく『王族を怒らせたらどうなるか?』など、恐ろしくて考えたくもないと思っていた。だからこそユリアーヌスが不調な時以外は必ず閨を共にするようにしており、場合によっては情事なき同衾を行う気遣いを持つこともあった。情事の際も『アルマと関係を持つようになってからおざなりになった』等と思われないために一切の手抜きができないという緊張感が生まれていた。ただただ楽しかった時期が早くも終わってしまい、妊娠でもしてくれれば義務感や緊張感から解放されるのだろうが、今回も上手くいかなかったようであった。

 そんな事を考えていると、アルマが少し湿ったような声で話しかけてくる、


「正直ね、こんな体で気持ち悪がられたらどうしようって不安でたまらなかったの・・・・」


 偽らざる本心からの言葉であった、実際に右胸の乳房から脇腹にかけてはケロイド状になった醜い火傷跡があり、髪で隠された右顔にも爪で裂かれた傷を覆うように焼かれた跡がハッキリと残っていた。そのため彼女は月明かりすら嫌がり、情事は常に完全な暗闇で行われていたため、傷跡を目にする機会はほとんどなかったが、手で触れた際の感触は柔肌とははっきり異なるものであった。


「ああ、んなもん気にしないよ、もし嫌なら婚約話の時に遠回しに断ってたしねぇ」


 彼は彼女の前だという気安さもあり、ぞんざいな口調で言ったが、この言葉は半分は嘘であった。村を共同体として維持していく上でアルマのように村への貢献によって生じた不幸に対して、名主衆や領主がフォローするのが暗黙の了解となっており、名主の家に生まれた彼にとっては極めて断りずらい案件でもあったのだ。ただ、実際に肌を重ねてみると、そこまで気になるものではなかった、完全な暗闇の中での絡み合いは行為への集中感を増し、ユリアーヌスよりも引き締まった若い身体はテオドールを十二分に満足させた。もっとも、肉付きのいいユリアーヌスの身体もそれはそれで非常に魅力的であり、窮屈な領主としての生活の中で、役得を感じる部分の多くはこれが占めていた。

 そんな事を考えていると、だんだん催してきて、インターバルを終え再戦に挑むのだった、そしてそんな彼をアルマも嬉しそうに応じ夜は更けていった。

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