↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

10/23

第10話 ヲタク少女、バレる


 確かに、このパワーはお布施稼ぎにとても助かってはいるのですが、全力(・・)を発揮出来てるかと言われれば……。


「そうでもないのですよ……」


 "へ、何でさ?"

 "イレギュラー倒せるなら、お布施どころか食い扶持も困らんでしょ?"

 "俺なら狩りまくって豪邸建てるぞ"


「ダンジョン連合の規定で、18才未満の探索者はD〜Fランクの魔石しか換金出来ないのです」


 これは、未成年がダンジョンで無茶をしないように定められたルールで、ドロップ品に関しては一律持ち帰ることは出来ません。

 因みに……ユイたんさんのように事務所に所属していれば、その限りではありません。


 そして、あたしに関しては。


「――最低のFランク魔石しか交換してもらえないのですよ……」


 "どういうこと?"

 "こんなに強いのに??"

 "D、Eランクが交換出来ないのはおかしくね?"

 "全然稼げないじゃん"


「それは至極単純です、あたしに魔力がないからなのです」

 換金のために探索者カードを提示するとき、個人データを照合して、実際に倒せる能力(・・・・・)があるかどうかを判断されます。

 それで、魔力ゼロという揺るがない事実が足を引っ張っているようで。


「要するに、あたしがEランク以降のモンスターを倒せるという信用(・・)が得られてないのです」


 初めてEランクのダンジョンウルフを倒した(ステゴロ)ときも、魔力ゼロなばっかりに、受付で魔石を押収されてしまいました……。


 "何だよそれ"

 "胸糞案件"

 "ダンジョン連合ゴミすぎ"

 "融通効かせろや"

 "だから毎年炎上すんだよアイツら"

 "そいつクビだろ"


「ひいい……!? 連合の方々はちゃんとお仕事を全うしただけなのです、どうか矛を納めてくださいまし!」


 ネットの民を怒らせたら、何が起きるか分かりません。


「コトネちゃんが強いモンスターを倒してるところをドローンで撮影して、それを観せれば連合も納得したんじゃないかな?」


「それはですね、あたしも一度考えたことがあるのです……」


 なけなしのお金(3万円)を握って、家電量販店のドローン売り場に足を運んだとき、その値段を見て思ったのです。

 メーカーによってピンキリ、高い物は10万円以上、最安値でも2万円代……。

 

 それであたしは思ったのです。


 ――あれ、このお金で赤スパ1回分投げれるのでは……?


「……気が付いたら何も買わずに帰宅にし、その日の夜にスパチャ代に消えてました」


 "おいいいいいいい!?"

 "いや分かるけど、分かるけど!"

 "ついつい趣味に使っちゃうんだよな……"

 "後の利益より目先の欲求"

 "正直な生き物や……"


 自分の辛抱のなさが憎い……!

 ですが、最速かつ最短でスパチャをお届け出来たので、悔いはないのです。


「やっぱりスパチャはやめられませんよぉぉ……本当なら、今すぐユイたんさんに投げたいくらいなのです……」


「コトネちゃん、おもむろにお財布を取り出さないで……!」


 "スパチャに取り憑かれてる……"

 "Dライバー全員で作り出した怪物"

 "虚ろな目でお札渡してくるの怖すぎる"

 "現代の怪異"

 "どっかの隔離病棟から抜け出したんか"

 

 ユイたんさん、あたしの想いを受け取ってくださいまし!


 すると。


 "¥20000:スパチャで思い出したけど、田中コトネ……お前、もしかしてコトねる大邪神か?"


「ぴゃ!?」


 思わず声が裏返る。

 そ、それは、あたしのネットでのハンドルネーム。

 

 "コトねる大邪神って……ありとあらゆるDライバーの配信に現れては、スパチャという名の怪文書を送る、あの激痛リスナーのことか!"

 "その1番の被害者がユイたん"

 "ぽつったーにもいるよな、歪んだ妄想ポエムの気持ち悪さだけで、2万人ものフォロワーを集めた"

 "あ、よく見たら名前も似てる"


 ひいいいいいいいいいいい!?

 マズいです、この流れはマズい!

 田中コトネとコトねる大邪神、この2つが結びついてしまったら、社会的死なのです!

 絶対……絶対死守〜!


「ふひ、ふひひ、何をおっしゃっているのか、まるで分かりません」


 "何か怪しいな"

 "正直に吐けよ"

 "そういうのいいから楽になろうや"

 "コトねる大邪神、ユイたんのイレギュラーのときにもいなかったな"

 "ぽつったーの更新もイレギュラーから止まってる"

 "アイツがユイたんのピンチに言及しないわけない"

 "そういや、まだコトねる大邪神からスパチャ投げられてないな"

 "ユイたんの配信ならいつも開始5分以内で投げてくるのに"

 "投げたくても投げられない状況……だとしたら"

 

 す、鋭い……皆さんの本業は探偵ですか!?


「や、やめてくださいまし! あたしはしがないヲタクの田中コトネ、それ以上もそれ以下もないのです!」


「皆やめてあげて、私はそんなことどっちだっていいよ」

 

 ユイたんさん……!


「コトネちゃんとコトねる大邪神さん、2人とも私の大事なファンなんだ、同一人物かどうかなんて些細な問題。確かにコトねる大邪神さんが来てないのは寂しいけど……きっと事情があるんだよ、今はそっとしといてあげて欲しいな」


 ユイたんさんは、ぱんっと手を合わせる。


「だからもうやめて、私からリスナーさんに……一生のお願いっ!」


 "出た、ユイたんの伝家の宝刀!"

 "デビューから通算253回目の一生のお願い"

 "まぁユイたんが言うなら……"

 "一生のお願いなら仕方ない"

 "これで許しちゃうのがワイらなのだ"


「もう大丈夫だよコトネちゃん、安心して♪」


 ぐううう、心が痛い……!

 罪悪感で死にそうです。

 その曇りなき眼、こちらを一切疑っていません。

 ですが、これで身バレは防がれました。

 ヲタクにとって、現実(リアル)とネットの顔が結びつくのは死活問題。

 これからも、あたしは仮面(コトねる大邪神)を被りながら応援致します!


「ユイたんさん申し訳ございません、一生のお願いまで使わせてしまって……」


「大丈夫、今日の分を使っただけだから♪」


「本当にありがとうございましゅ」


「でも……コトネちゃんがコトねる大邪神さんだったら嬉しいな、もしそうなら私……2人分の愛をあげちゃうかも」


「あたしです」


「コトネちゃん……!」


「あたしがコトねる大邪神です」


 鼻血を垂らしながら、アカウント画面を見せるあたし。


「2人分の愛を下さい」

 

 "wwwwwwwwww"

 "コイツwww"

 "あっさり自白しやがったwwwwww"

 "あんなに否定してたのに笑笑"

 "【速報】田中コトネ=コトねる大邪神"

 "愛に釣られやがったwwww"

 "ユイたんに謝れwwww"


 えーどうとでも言って下さい。

 そりゃ白状しますよ、本人だって。

 だって2人分の愛ですよ、社会的死なんて安いもんですよ。


「どうか……愛を……ユイたんさんの愛を……!」


「今はダメ」


 ユイたんさんは、あたしの唇に人差し指を当てる。


「終わったらね♪」


 ブハッ!!

 あたしはだくだく流れる鼻血を抑える。


 "コトねる、顔面殴られたみたいになってる"

 "罪な女ユイたん"

 "クラスの男子を勘違いさせる女子ユイたん"

 "自分が可愛いと気付いていない、最も可愛い存在ユイたん"

 

 終わったら……終わりますね、これは。



 【お礼&お願い】

 お読みいただきましてありがとうございます。

 連載継続のためには、★評価とフォローが必要でございます。


 続きが見たい!

 ヲタクと推しの絡みが見たい!


 と思っていただけたなら、是非★評価とフォローをしていただけると励みになります!

 どうぞよろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。