表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
今世もぼっちなのでソロでダンジョン全踏破します〜【スキル:孤独】持ちの配信者、ボス部屋も埋めたいので失礼しますね〜  作者: 絹田屋


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
23/37

第23話 地図、タダで出してるんで


 装備を強化に出した。戻ってくるまで、何日かかかるらしい。それまでは、深いところには潜れない。

 だから最近は、ウロボロス大迷宮の浅い階を、のんびり埋め直してる。マスとしては埋めてあっても、隠し部屋までは探してない。配信も、いつも通りつけていた。

 ……いや、いつも通り、でもないのかもしれない。

 最近、コメントの流れが前より速い。知らない名前が、どんどん増えている。


「えーと。今日は、のんびりです。コモル旧坑道経由で、ウロボロスの浅いとこ埋め直してます。泊まりになりますので、のんびり見てもらえれば……って。……なんか、人、増えました?」


 〔だんちょー〕そりゃ増えるだろ

 〔ねむ〕あちこちで名前見るよ

 〔名無し〕例の地図の人でしょ?来た

 〔名無し〕ようやく本人つかまえた

 〔名無しがWatching〕7階で世話になった地図ってここですか

 〔名無し〕初見です噂の人見にきました

 〔名無し〕いつも地図ありがとう助かってる

 〔通りすがり〕思ったより静かな配信で草

 〔名無し〕作業用に常駐しにきた

 〔名無し〕この淡々としたの逆に癖になる


「あー。……見てくれるの、ありがたいですけど。ちょっと、そわそわしますね」


 〔ワンモア〕そろぼっちさーん、こないだはどうもっす

 〔だんちょー〕ワンモアだ!?

 〔名無し〕は?ワンモア!?

 〔名無し〕大手降臨うおおおお

 〔ワンモア民〕大将ーーー!

 〔名無し〕なんで本人おるんだよ

 〔ワンモア民〕うちの大将がすんません、ちょっと通りますよ

 〔名無し〕同接跳ねてて草

 〔通りすがり〕コラボ以来か、これは見る

 〔名無し〕ワンモアきたなら残るわ


「あ、ワンモアさん。この前のあれ、すごかったです。……何回も死んでてハラハラします、ほんとに」


 〔ワンモア〕死ぬのは趣味兼仕事なんで♡ そろぼっちさんの地図、いつもガチで助かってるっす。装備戻ったら、こんど深層いっしょに行きましょ


「……はは、お手柔らかに」


-----


 〔名無し〕てかその地図、タダで全部公開してるけど儲かるの?

 〔通りすがり〕高く売れるだろ普通に


 儲かる、って言われても、ぴんとこない。配信で出してるぶんは、タダだ。隠す理由もないし、見たい人が見ればいい。それだけのことだと思ってた。


「あー。……配信のは、タダなんですけど」


 少し考えて、付け足す。


「ギルドに登録するやつには、ちょっとメモ付けてて。危ない床とか、崩れやすい壁とか。そっちは、買い取ってもらえるんで。……まあ、食うぶんくらいは」


 〔ねむ〕メモ代で生きてる

 〔だんちょー〕世界一やすい戦略物資

 〔名無し〕商売っ気なさすぎて心配になる

 〔通りすがり〕もう見てられん、こっちが払う


 ……と思ったら。

 ぴこん、ぴこん、ぴこん。投げ銭の音が、続けざまに鳴りだした。いつもの、比じゃない。


 〔だんちょー〕メモ代だ、黙って受け取れ

 〔名無し〕タダより高いものを払わせてくれ

 〔ワンモア民〕大将の分も投げとくっす

 〔ねむ〕いつも地図ありがとう

 〔名無し〕この人に稼がせる会、本日発足

 〔通りすがり〕投げ銭フィーバーで草


「え、あの。待って。……こんな、いいですよ。埋めてるだけなんで」


 止めようとしても、音は鳴りやまない。俺はちょっと困って、それから、小さく頭を下げた。


 損、か。よく言われる。でも、地図で損した気になったことは、今まで一度もない。埋めた分だけ、ちゃんと形になって返ってくる。だから大丈夫だと思う。


 ただ、ひとつだけ。最近、気になることがある。

 問い合わせっていうのが、ギルド経由で、たまに来るようになった。俺の地図をまとめて買い取れないか、とか。どこそこの国の、なんとか機関から、とか。しかも、ソルナだけじゃないらしい。ミナさんが、困った顔で伝えてくる。

 ……よく分からない。俺は、ただ埋めてるだけなのに。


「まあ、難しいことは、ミナさんに任せてます。俺は、埋めるだけなんで」


 〔名無し〕マッパー一筋すぎる

 〔ねむ〕そういうとこが好きだよ

 〔名無しがWatching〕この鈍感さが、いつか心配ではある


-----


「ンキュ!」

「お、この声は」

 

 コモルを寝ぐらにしてる謎のモンスター。そいつが走ってきて、俺の肩まで駆け上がってきた。


 〔だんちょー〕ころぼ!!!

 〔名無し〕ころぼだああああぁぁ

 〔ねむ〕癒しきた

 〔名無しがWatching〕尊死


「久しぶりだな。……あれ、なんかまた更にでかくなったか?」


 肩の上で、ころぼがンキュ、と鳴いた。前よりずっしり重い。手持ちの茹で肉を分けてやる。


「お前、よく食うなあ。……重いぞ」

「ンキュ!」

「聞いちゃいないな」


 〔だんちょー〕ころぼ元気そうでなにより

 〔ねむ〕無理はしないでね、二人とも


 二人とも、か。ころぼと、俺。

 いつのまにか一人じゃなくなってる気がして、ちょっと、くすぐったい。


 ウロボロス大迷宮の浅い層でも、油断はできない。それでもずいぶん余裕を持って回れるようになってきた。

 埋めて、モンスターと戦って、変動を眺めて、埋めて、ギミックを見つけて……を繰り返す。


「ンキュ〜」

「……お前、そういえば勝手についてきてるのはいいけど、これ俺がまた、コモルまで送らなきゃならないんじゃないの」

「ンキュ!」

「自分で歩きなさいよ」


 〔だんちょー〕かわいいねぇ

 〔名無し〕足にされるそろぼっちwww

 〔ねむ〕掛け合い最高

 〔名無しがWatching〕賢いwww


 歩いて埋めて、安全が確認できてる小部屋へと入る。ここなら変動が無いはずだ。


「じゃあ、ちょっと早いけど、そろそろ寝床確保していきますね。一旦ここらで区切ります」


 〔だんちょー〕おやすみー

 〔ねむ〕まだ見るよ〜

 〔ワンモア〕次は下で会いましょ!

 〔通りすがり〕おつかれ


 配信を区切って寝床の準備。だんだんとチャットもいつも通り静かになる。食事をしながら、寝袋を用意しながら、考えるのはウロボロスの深層のことばかりだった。


「ンキュ」

「ん。おやすみ、ころぼ」


 装備が強化されれば、また、いちばん下へ行ける。

 ……まだ、うんと空白だ。それだけが、今は楽しみだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ