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別行動になる仲間たちと別れてロキとリリアは村人が用意してくれた馬車に乗り込み、敵の根城に歩みを進めていた。
「ねぇリリアひとつ聞いていい?」
「なんでも聞いて、ロキ」
「僕たちが宿を出る時、たくさんの村人の気配を感じた。みんなどうして顔を出さないの?」
「あぁそれは恐れているからだよ」
「恐れてる?」
「そう、私たちを好意に扱うことはこの村を牛耳るコハク男爵に逆らうことになる。バレてしまえば重税やら罰やらで危害を被ることになるからね」
「じゃあなんで運転手さんは協力してくれるの?」
砂利道に揺られながらロキは馬を操作する中年の男を指さした。
「彼は勇気ある宿の主だよ、そうですよねアルダンさん」
「お心遣いありがとうございます、ご令嬢」
そう言って軽く会釈する。それからまた前を向いて運転に集中し始めた。
「ねぇ、今度は私からひとつロキに注文が」
しばらく沈黙が続いた後でリリアの口が開く。
「なに?」
「私の合図があるまで敵を殺さないこと」
「……分かった」
「よろしい」
「でも守ってほしかったら僕の身体に触れることだ」
「そういう魔法だったね」
ロキは何も答えなかった。




