IF:続・妹編
それからの生活は地獄だった。
兄を探すことしか考えてなくて、だれにも行先を言わなかったことも裏目になった。
兄を探さない両親に嫌気がさして一人暮らしをしていたことも。
さすがに学校にも行かないのは誰かがおかしいと思ってくれて。
行方不明で捜索されているかもしれない。
でも、私も友達は少ない。
まだ誰も気にしていないかもしれない。
そんなことを考えていた時。
あの女が近づいてきた。
「あきら様」
心の中ではあの女と毒づいていても。
表面上は普通の顔で、にこやかに「あきら様」と声をかける。
そうしないと、お兄ちゃんが怒る。
怒るだけじゃない。
「あきら様」に言われた通り、私に罰を与える。
子どものころ父に怒られた時とは違う。
お兄ちゃんはどこまでも無表情で、それが妹のための正しい教育だと信じ込んでいるように。
容赦なく、けれど淡々と私のお尻を叩くのだ。
「あきら様」の言うままに。
強く。
我慢できないくらいに。
だから、演技でも、にこやかに「あきら様」と呼ばないといけない。
「妹さんもお兄さんと同じように」
「友達はいないのかしら?」
「まぁ、私としてはありがたいけれど」
「捜索とかされてないのね」
「一応携帯は処分したし」
「このまま日付がたてば、誰も助けにこれないわね」
女はにっこりと微笑んで、金属のベルトのようなものを私に見せる。
「ようやく届いたの」
「あなた用のもの」
「朝人君がつけてるものとおそろいよ」
女はまたにっこりと微笑んだ。
そして。
兄に恐ろしい指示を出した。
「朝人君」
「妹さんにつけてあげて」
「はい」
兄は何のためらいもなく、私の下着を脱がし、
その金属ベルトのようなものを私に装着しようとする。
抵抗しようとした。
でも、ダメだった。
首輪と拘束帯で、動けない。
しかも、兄の力の方が強い。
兄に大事なところを見られるだけでも、恥ずかしくて死にそうだった。
でも、兄は前回、私のサイズを測る時も躊躇わなかった。
そして今も。
躊躇いなく、あきら様の言うままに。
私にその金属ベルトのようなものを装着した。
「可愛い」
あきら様は言う。
「兄弟でお揃いね」
「どう? 朝人君」
「はい。お揃いです」
「妹さん……とばかり呼ぶのは面倒ね。妹さんの名前は何かしら?」
「真理です」
「そう」
女はこちらを見て言った。
「真理ちゃん。あなたは自分で気持ちよくなるのは好き?」
「前は朝人君も自分で気持ちよくなるのが大好きだったし、あなたも時には自分で気持ちよくなることはあるんでしょ?」
「自分でなんて、しません」
嘘だった。
週に一回は、いや、本当はもっとしている。
あの、甘いような痙攣を味わうのはどうしてもやめられない。
あきら様は、私の真っ赤になった顔をじっと見つめると。
すべてを見透かしたような、ひどく艶やかな笑みを唇に浮かべた。
「そう。それなら全然問題ないわね」
「それを付けていると、当然だけどできないわ」
「え……」
「あなたはさすがに知らないかもね」
「朝人君がつけてるものも、あなたがつけているものも基本の機能はそれよ」
「自分で絶対気持ちよくなれない」
「でも、どうしても気持ちよくなりたい時は言いなさい」
「気持ちよくしてあげるから」
「朝人君は今何日目だっけ」
「ちょうど三十日です」
「そう。苦しい?」
「かなり苦しいです。でも、大丈夫です」
「今日は我慢しなくていいのよ。いま、外してあげるね」
女が兄の金属ベルトを外すと、兄の大事な部分がそそり立つ。
「真理ちゃん、見てなさい。見てないとお仕置きするわ」
兄のそんな姿を見るのは嫌だったが、しょうがない。
言うことを聞かないと、ひどくお仕置きされるし。
結局は言う通りにするしかなくなる。
なら、最初から言うことを聞いたほうが良い。
「はい。あきら様。見ています」
私の目の前で。
あきら様の白い指先が、お兄ちゃんに触れた。
たった、それだけだった。
「――っあ」
お兄ちゃんは小さく、情けない悲鳴のような吐息を漏らした。
ビクン、と激しく身体が痙攣する。
たった一撫でされただけで。
彼はすべてのプライドを失ったように、甘い快感のなかに溺れていく。
「あ、あきら様……ありがとうございます、あきら様、ああ……っ!」
涙をボロボロと溢れさせながら。
お兄ちゃんは何度も何度も、あきら様に感謝の言葉を述べていた。
解放してもらう快感を、狂ったように感謝している。
その顔は、恐ろしいほどに。
恍惚とした幸福感に満ち溢れていた。
最初は見ているのは嫌だった。
でも、見ているうちに、自分でも兄が味わっている快感を……
いや。違う。私は違う。
「真理ちゃん」
私の様子を横目でみていたあきら様が私に言う。
「我慢できなくなったら言いなさいね」
あきら様は、悪魔のようなほほえみを。
こちらに向けた。




