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その鍵を預けて  作者: ターチャン


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18/20

IF:続・妹編


 それからの生活は地獄だった。


 兄を探すことしか考えてなくて、だれにも行先を言わなかったことも裏目になった。


 兄を探さない両親に嫌気がさして一人暮らしをしていたことも。


 さすがに学校にも行かないのは誰かがおかしいと思ってくれて。


 行方不明で捜索されているかもしれない。


 でも、私も友達は少ない。


 まだ誰も気にしていないかもしれない。


 そんなことを考えていた時。


 あの女が近づいてきた。


「あきら様」


 心の中ではあの女と毒づいていても。


 表面上は普通の顔で、にこやかに「あきら様」と声をかける。


 そうしないと、お兄ちゃんが怒る。


 怒るだけじゃない。


 「あきら様」に言われた通り、私に罰を与える。


 子どものころ父に怒られた時とは違う。


 お兄ちゃんはどこまでも無表情で、それが妹のための正しい教育だと信じ込んでいるように。


 容赦なく、けれど淡々と私のお尻を叩くのだ。


 「あきら様」の言うままに。


 強く。


 我慢できないくらいに。


 だから、演技でも、にこやかに「あきら様」と呼ばないといけない。


「妹さんもお兄さんと同じように」


「友達はいないのかしら?」


「まぁ、私としてはありがたいけれど」


「捜索とかされてないのね」


「一応携帯は処分したし」


「このまま日付がたてば、誰も助けにこれないわね」


 女はにっこりと微笑んで、金属のベルトのようなものを私に見せる。


「ようやく届いたの」


「あなた用のもの」


「朝人君がつけてるものとおそろいよ」


 女はまたにっこりと微笑んだ。


 そして。


 兄に恐ろしい指示を出した。


「朝人君」


「妹さんにつけてあげて」


「はい」


 兄は何のためらいもなく、私の下着を脱がし、


 その金属ベルトのようなものを私に装着しようとする。


 抵抗しようとした。


 でも、ダメだった。


 首輪と拘束帯で、動けない。


 しかも、兄の力の方が強い。


 兄に大事なところを見られるだけでも、恥ずかしくて死にそうだった。


 でも、兄は前回、私のサイズを測る時も躊躇わなかった。


 そして今も。


 躊躇いなく、あきら様の言うままに。


 私にその金属ベルトのようなものを装着した。


「可愛い」


 あきら様は言う。


「兄弟でお揃いね」


「どう? 朝人君」


「はい。お揃いです」


「妹さん……とばかり呼ぶのは面倒ね。妹さんの名前は何かしら?」


「真理です」


「そう」


 女はこちらを見て言った。


「真理ちゃん。あなたは自分で気持ちよくなるのは好き?」


「前は朝人君も自分で気持ちよくなるのが大好きだったし、あなたも時には自分で気持ちよくなることはあるんでしょ?」


「自分でなんて、しません」


 嘘だった。


 週に一回は、いや、本当はもっとしている。


 あの、甘いような痙攣を味わうのはどうしてもやめられない。


 あきら様は、私の真っ赤になった顔をじっと見つめると。

 

 すべてを見透かしたような、ひどく艶やかな笑みを唇に浮かべた。


「そう。それなら全然問題ないわね」


「それを付けていると、当然だけどできないわ」


「え……」


「あなたはさすがに知らないかもね」


「朝人君がつけてるものも、あなたがつけているものも基本の機能はそれよ」


「自分で絶対気持ちよくなれない」


「でも、どうしても気持ちよくなりたい時は言いなさい」


「気持ちよくしてあげるから」


「朝人君は今何日目だっけ」


「ちょうど三十日です」


「そう。苦しい?」


「かなり苦しいです。でも、大丈夫です」


「今日は我慢しなくていいのよ。いま、外してあげるね」


 女が兄の金属ベルトを外すと、兄の大事な部分がそそり立つ。


「真理ちゃん、見てなさい。見てないとお仕置きするわ」


 兄のそんな姿を見るのは嫌だったが、しょうがない。


 言うことを聞かないと、ひどくお仕置きされるし。


 結局は言う通りにするしかなくなる。


 なら、最初から言うことを聞いたほうが良い。


「はい。あきら様。見ています」


私の目の前で。


あきら様の白い指先が、お兄ちゃんに触れた。


たった、それだけだった。


「――っあ」


お兄ちゃんは小さく、情けない悲鳴のような吐息を漏らした。


ビクン、と激しく身体が痙攣する。


たった一撫でされただけで。


彼はすべてのプライドを失ったように、甘い快感のなかに溺れていく。


「あ、あきら様……ありがとうございます、あきら様、ああ……っ!」


涙をボロボロと溢れさせながら。


お兄ちゃんは何度も何度も、あきら様に感謝の言葉を述べていた。


解放してもらう快感を、狂ったように感謝している。


その顔は、恐ろしいほどに。


恍惚とした幸福感に満ち溢れていた。


最初は見ているのは嫌だった。


でも、見ているうちに、自分でも兄が味わっている快感を……


いや。違う。私は違う。


「真理ちゃん」


私の様子を横目でみていたあきら様が私に言う。


「我慢できなくなったら言いなさいね」


 あきら様は、悪魔のようなほほえみを。


 こちらに向けた。

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