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9. 再び学園で理由を考える

「秋月……!!!」


時刻は午後8時。

この前より更に遅いのに、今日も門の横のベンチには里中くんが待っていました。


「里中くん、また待っててくれたの?」

「お前がまた跳んだって聞いて」

「うん。心配をかけてごめんね」

「どの魔道具に跳んだ?やっぱり錫杖か?」

「ううん。魔道具じゃなかった。」

「え……?」


その時、私を追い抜く人から声がかけられました。


「秋月、行くぞ」

「はい」


風祭さんです。


「里中くん、ごめんね、これから先生達と話さなきゃいけないの。心配してくれて本当にありがとう。気をつけて帰ってね」


寮まではすぐですけれど、何があるか分かりませんからね。

里中くんはまだ立ったままこちらを見ていたけれど、私は手を振って風祭さんの後を追ったのでした。


──そして、再びの会議室。


「……これは、錫杖だとかそういうものが要因ではなさそうですね」


そう唸る魔道具科の主任先生。


「取り敢えず跳ぶ要因の1つは風祭隊員であろうことは分かりました。秋月も、かな?

それとも他の学生が跳ぶ可能性もあるのか?どういう条件で跳ぶのかの検証が必要かな……いつ跳ぶか分からないのは危険すぎる……」


ブツブツと呟く主任先生の言葉に、申し訳なく思います。

そこに風祭さんが静かな声を上げました。


「すみません、私からお話したいことが……。

ただ秋月にとっては、保護者に立ち会っていただいた上で聞いた方が望ましい内容になってしまうかと思うのですが」


保護者立ち会いが望ましいって、どんなことでしょう?

風祭さんが何を言いたいのか分からず戸惑うのですが、先生方と第6部隊の皆さんにもしばらく沈黙が起こりました。


その沈黙を学園長先生が破ります。


「秋月、今日は帰りなさい。ご苦労だった」


この学園や魔術の世界では、権利などよりも優先されるものがあります。

組織として上の立場の人がそうすべきだと判断したことは、下の者はそれに従わなければなりません。

当事者だからできれば今聞きたいなと思ったけれど、そこは守るべき絶対的なルールです。


「本日はまたご迷惑をおかけしまして申し訳ございませんでした。それでは、お先に失礼致します」

礼をして席を離れます。

首筋は……今は熱くなっていませんでした。


■ ■ ■


秋月紗良が部屋を出たところで、俺が

「では、改めて──」

そう言った途端、

「待て、風祭」と華岡隊長が制止した。


「お前はこれから話すことを、秋月の保護者も聞くべきだと思うんだな?」

と尋ねる。


「それなら、何度も同じことで集まるのは時間の無駄だ。今から来てもらう。先生方も宜しいな?」

無言で頷く教師達とは対照に、華岡隊長の言葉に面食らったのは副隊長の田野上さんや俺だ。


「いえ、これからですか?取り敢えず風祭から話を聞いて、秋月の保護者には先生方から話していただけばよいのでは?」

「いや、もう話は通してあるはずだ。そうですよね?」

華岡隊長の言葉に、学園長が頷く。


「──呼ぼう。もう麓には呼んである。すぐに来るだろう」


その話の通りの良さに、もしかして華岡隊長や学園長はこれから話そうとしている内容の予測がついているのではないか──そして、その話が既に秋月紗良の保護者にも伝えられているのではないか。

そう思った。


そして学園長の言葉に違わず、程なくして秋月紗良の保護者である、伯父の秋月武明が部屋へと入ってきたのである。

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