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2. 魔術学園

魔術学園は中学1年から高校3年までの6年間一貫の教育方針の学校です。

中学の3年間は一般の公立中学の授業内容をそこそこ学びながら、魔術に関する一般的な知識を座学で学びます。

そして座学と並行して、魔力を自分の中で感じてうまく循環させる訓練を行うのです。


その魔力の循環を自分の中で感じられるようになると、他の人の魔力も分かるようになります。

伯父さんの家で私が肩を回した時、私には見えませんでしたが私の魔力が魔術庁の人にめがけて飛び出たらしく、皆さんにはそれが見えたのですね。


中学で基礎を学んだら、高校の3年間で専門課程に分かれます。


まずは戦闘魔術科。瘴気と呼ばれるマイナスエネルギーでおかしくなってしまった人を祓う、最前線で戦う戦闘員を養成するコースです。


次に治癒魔術科。これは前線で戦う戦闘員がケガをした時などに治す魔術師を育てるコースです。この治癒魔術師も戦闘の現場まで行き、戦闘員を支えます。


そして魔道具科。戦闘員は色々な戦い方をしますが、魔道具を使う戦闘員も多いです。その魔道具を作る魔術師を育てるコースです。魔道具師は基本的には戦闘の現場には行きません。


そして研究魔術科。魔術や戦闘方法、そして人を蝕む瘴気を学術の側面から研究する魔術師を養成するコースです。

ネックレスから魔力の系統を読み解いて私の元へたどり着いたのはこの研究魔術師の分析の結果です。


この4つのコースに高校1年から分かれ魔術師候補生として3年間学び卒業すると、プロとして全国21のブロックの部隊あるいは魔術庁本庁に散るのです。


* * *


そんな学びの場である魔術学園は山奥にありました。


東京と聞くとビルが沢山建って人がとても沢山歩いているようなイメージがあります。

でも学園は都心から1時間以上電車に乗り、更に車で30分以上山を登った自然の中にありました。


引越のために伯父さんの運転で山を登って行くと、緑の中に門と塀が見えてきます。

その囲われた感じは外からの侵入を拒むように見えました。


実は、魔術を使える人がいるということは公にはされていません。


今でこそ魔術使い達は国から手厚く保護され魔術師としての職を得ていますが、少し前の時代までは、よくわからない力を持つ存在として迫害されることもあったと聞いています。

そのため積極的には存在を公表しないでほしいという声が今でもとても多いのです。


瘴気を祓う過程で人目に触れることもありますが、そういう人達にも詳しいことは知らせずその場限りの接触になるとか。


日常の中に溶け込んでいる、でも決して相容れない異質な存在──それが魔術使い、そして魔術師なのです。


「学園は結界が張られているんだ。通常は魔力のあるものしか見えないし入れない。 

 輝子伯母さんは、今日は学園から許可が下りているから結界の中に内に入れるし建物も見える」

「私は魔力がないからね」

伯父さんの説明に伯母さんはニコニコと相槌を打ちます。


そういう事情なので、麓の駅前の高いビルに上っても一般の人には学園の建物等は一切見えないらしいです。

結界ってすごい。


門をくぐる時にザワリと体を撫でるような感覚がありました。

伯父さんを見ると「身元確認とボディチェックだ」と教えてくれます。


門を入ると広い敷地に大きな建物がいくつも建っているのが見渡せます。


「ああ、懐かしいな……」


伯父さんがポツリと呟きました。

伯父さんとお母さんは、この学園を卒業しています。

「卒業以来?」と尋ねると「ああ」と答えました。


今日は引越だけなので直接女子寮に向かいます。

女子寮はシンプルなコンクリート打ち放しの、でもきれいな建物でした。


「なんだ、今はこんなに綺麗なのか。俺の時はくっそボロかったのに」


当時は2人一部屋でお風呂もトイレも食堂も寮員で共有だったらしいです。

今は食堂だけは共有ですが、他は全て個室に備えられていると聞いています。

個室にもミニキッチンがついているので、もうマンションみたいなものですね。


「違いすぎだろ」

ボヤく伯父さんに伯母さんと2人で笑います。


女子寮の寮母さんに挨拶をすると、じっと見つめられました。


「お母さんにそっくりね……」

寮母さんはもう高齢の方です。

もしかしたら学生時代のお母さんを知っているのかもしれません。


──昨日の夜に伯父さんから言われたことを思い出します。


『紗良。俺は今までお前を魔術から隔離してきた。 

 お前につらい思いをさせたくなかったし、それが亡くなったお前の母さんの願いでもあったからだ。     

 だがこれからお前はその世界に入ることになる。親の世代を知る者もまだまだ多い。

 お前はつらい思いをすることもあるだろう。 

 耐えられない時はいつでも帰ってこい。俺も輝子も、いつでもお前を待っている』


早速お母さんを知っている人に会いました。

でも変な目で見られたわけではありません。

憐れみの目でもないように思います。

だから、大丈夫!


心配そうにこちらを見てくる伯父さんに微笑んで、

「これからよろしくお願いします!」

と寮母さんに元気に挨拶ができました。

こうやって、私の魔術学園の日々は始まったのです。

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