第24話 厄介事?
小さい町のギルドに寄ると、アランとレイチェルを知る冒険者に会う。
「よう!久しぶりだな!」
アランが軽快に挨拶をする。
「っ。アラン!
お前、今大変だぞ!」
「は?」
訳も分からず、ギルドから引きずり出されると、事の説明をしてくれた。
「…懸賞金が賭けられてる。
レイチェルとモフモフに!」
「なんですって!?」
レイチェルは驚く。
「詳しく聞かせてくれ。」
「フェンリルの瘴気を浄化しただろ?それをレイチェルとモフモフがやった事になってる。王都の兵士がギルドを巡回してるぞ。」
「なんで私!?」
「エルフだからだろ?そんな強力な癒しの力は無い。って言っといたけど…」
「なんでパニルもなの?」
テュセが堪らず口を挟む。
「あー、そのモフモフか。
レイチェルがいつも抱いてるから、魔力を増幅するかなんかだと思われてるみたいだ。」
「そんなぁ…。」
「きゅぅ…」(こんな所で足止め!?)
困惑する一同に続けて話す。
「…王都へ行ったらどうだ?何があったかわからないけど、説明しないと、一生追われるぞ?」
「…うーん、まぁな…」
「エルフの里へは、同じ方向だけど…」
一同はパニルを見つめる。
(あ、私の心配してくれてるんだ。)
「きゅんきゅう!」(追われ続けるのも嫌だもんね!)
王都に行く事にしたパニルたち。
――こうして一同は、トラブルの渦中へと足を踏み入れることになる。
それが、どれほど面倒なことになるのかも知らずに。
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王都の門をくぐった瞬間、空気が変わった気がした。
行き交う人々の服装は洗練され、石畳はどこまでも整えられている。視界に入るすべてが、これまでの街とは比べものにならないほど華やかだった。
「……ここが、王都」
思わず呟いたテュセは、瞳をキラキラと輝かせていた。
だが――
「キャー!」
路地から悲鳴が聞こえた。
「なんだ?」
「どうした?」
「おい、またか?」
色んなところからそんな声が聞こえる。
「おい、どうなってんだ?」
四人はフードを深く被ると、悲鳴が聞こえる方へ向かった。
ガラの悪い男が三人と、こちらもフードを深く被った細身の男。後ろには震える女性が立っていた。
「…なんだよ!一緒にお茶でも。って言ってるだけじゃんか。あ?」
「…こ、ことわり――」
「あ?聞こえねーよ!?」
「辞めろ!彼女は嫌がってる!」
フードの男が一歩出る。
「はっ!格好つけてんじゃねー!」
男が襲いかかろうとする瞬間、レイチェルがパニルを抱いたまま、地面を蹴った。
二人の間に、頭上からふわりと降りてくると、パニルの周りに小さな光の粒が集まる。
(少しだけ……ファイヤー。)
炎が男を軽く焦がすと、レイチェルが剣を向ける。
「去らなければ、もっと痛い目にあわせるよ!」
「わぁ……!」
「こんなの聞いてねぇぞ!」
「に、逃げるぞ!」
統率も何もなく、男たちは我先にと走り出した。
肩をぶつけ合いながら、みっともなく路地の奥へと消えていく。
「……助かった。礼を言う」
フードの男が、静かに頭を下げる。
レイチェルはちらりと一瞥しただけで、興味なさそうに肩をすくめた。
「当然よ。目の前で見過ごす趣味はないだけ」
それだけ言うと、くるりと背を向ける。
その拍子に――
ふわりと、フードの奥が揺れた。
一瞬だけ覗いた横顔。
光を受けた髪と、冷ややかな視線。
それはほんの刹那のことだったのに。
「……。」
胸の奥が妙にざわついて、視線を逸らせないでいた。
(なんだ……今のは……)
気づけば去っていく背中を、ただ見つめていた。
「二人ともすぐ、無茶するー」
テュセが楽しそうに二人を迎える。
「俺の魔法で飛ばせたのに。」
「ふふ。良いのよ!」
「きゅぷぷ」
周りがザワつくのを気にせず、王城の道へと進んで行った。
つづく。




