第22話 祖父母の真実
祖母は話を続ける。
「ある日、魔物発生場所の近くで、パニルちゃんくらい大きさの魔物が居たんだ。
もちろん退治しようと、剣を向けたとき…」
『ヤメテ。コナイデ。』
「て、言ったんだよ。
魔物が話すなんて初めて見たんだ。
それで、魔法で眠らせて…」
辛そうに話す祖母を見かねて、祖父が続きを話し始めた。
「わしらは研究所へ運んだ。
経過を観察、検査。の繰り返し。そして結果は――突然変異と言うことになった。」
「突然変異!?そんな事あるの?」
「無くはない。魔物は魔力が高いと、知能も高い事がわかっていたから。」
「そう、なんだ…」
「…でもそれじゃあ納得しない者がいて…」
「博士?」
「…そうじゃ。博士は…」
「私の弟。」
祖母が重たく口を開く。
「え、!?」
一同が驚く。
(ウソ…私、おばあさんの弟さんを!?)
カタカタ震えるパニルに、レイチェルは腕に力を込めた。
(レイチェル…)
少し落ち着くパニルは、祖父母の話しに再び耳を傾ける。
「私たち夫婦と、弟は話し合った。
半年経った時、その小さい魔物は、成長しなければ死にもしない。こちらが何もしなければ何もしない。そんな魔物も居たのかと、考えが変わってね。」
「ばあさんの弟に、研究を変えようと打診したんだ。そしたら…」
「次の日、弟はその魔物を解体した。
そして、脳と心臓を人間に移植して、血液を輸血する事になった。」
「…うっ。」
テュセは口を手で覆う。
それを見たアランは、肩に手を置いた。
「私たちは、弟に着いていけないと、息子夫婦と幼いテュセを連れて、帝国を出る事にしたんだ。」
祖母は一呼吸置いて、空を見つめて続ける。
「でも…許せなかったのね。私と10個年が離れてて、両親も早く逝ってしまったから、子供の頃からじいさんと三人、いつも一緒に居たんだよ。
そして、村を襲った魔物…弟の差しがねだと思う。」
「…うそ…。お父さんは、死んじゃっ――」
テュセは衝動的に椅子から立ち上がる。
「そうだ。わしは生き残ってしまったがな…。」
「だから、あなたたちが弟を止めてくれて、私は感謝してるよ。
きっとあの子の心は、瘴気に当てられすぎたんだよ…」
祖母が涙を流すと、話しはそこで終わった。
夜が更けても眠れないパニルは、外で夜空を眺めていた。
(おばあさんは、ああ言ってたけど、私はたくさん人を殺してしまった…指名手配とかされてるのかなぁ…大変な事になっちゃったんだ…。)
その場に横になるパニル。
(…それに、あの夢は…。)
不安の抱いたまま、パニルはその場で眠ってしまう。
「……。」
心地よい寝息が聞こえ中、静かにレイチェルはパニルを抱き上げる。
「…ねぇ、パニル。あなたが何であろうと、私は味方でいたいわ…」
愛情を込めて、額に口付けをした。




