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転生したら正体不明のモフモフでした。なのに世界の運命にぎっています  作者: 白 月虹


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第19話 レイチェルの決意

「――くそ!」


ケイトが逃げようとした時、エルフの弓が足を掠める。


「うっ!」


「辞めてくれ!」


アランがエルフたちとケイトの間に入る。


「…アラン。悪い…」


振り返ると、涙を流すケイトが居た。

まだ意志のあるケイトは、自分にナイフを突き立てようとする。


――刹那。


神官たちの、眠りの魔法がケイトの手からナイフを落とし、倒れる体をアランが受け止めた。


神官たちの詠唱が止み、ケイトの体から何かが削がれるように、青白い光がゆっくりと収束していく。


玉が、わずかに震えた。


そして、ぴき。っと小さな音をたてて、再び封印された。


「もう、大丈夫よ。」


レイチェルが微笑みかける。


「ありがとう、ございます…。」


「だが、このままにもしておけない。」


エルフの長は、感情のない瞳でケイトを見下ろしていた。


「どういう……」


「すべての記憶を消して、追放する。」


「記憶…?」


「宝玉に魅入られた者は、再び同じ過ちを繰り返す可能性がある」


「――そんな!こいつと、親友なんです!

施設の、子供たちも、こいつに懐いてて!

お金だって、みんなのために…」


「…もう決めたことだ。その記憶があると、また同じ事を繰り返すだろ?人間とはそう言う生き物だ。」


「決めつけんな!」


「現にそやつは魅入られた。あのまま外に出たら、盗みをして人を殺すぞ?その方がよかったのか?」


「くっ…。」


「お前も一緒に出ていけ。もう傷は癒えたのだろ?近くの街まで送ってやる。」


「お父様!」


レイチェルを射抜く視線だけ送り、口を噤んだ。


「…二人は、里のために働いてくれました。

せめて、夜が明けてから…」


「良いだろう。二人を牢へ。

監視も付けておけ。」


「そんな!おとう――」


「レイチェル!良いんだ。ありがとう。

真夜中に放り出されるよりマシだ。」


レイチェルの肩手を置き、長に一礼した。


━━━━━━━━━━


レイチェルは長の部屋にいた。

目には涙と決意が滲んでいる。


「……これで、わかっただろう」


低く、重い声で長が告げる。


「人間は、我らと相容れぬ存在だ」


「……それでも、私は…」


その光景を確かに見た。

欲に呑まれ、宝玉を盗んだ人間の姿を。


「レイチェル。そなたは、行く行くはこの里の長になるのだ。」


「わかってます。でも、私…アランが好きなの。人間でもエルフでも関係ない。って。彼は言ってくれたわ!」


「バカげた事…人間は移りゆくものだ。」


長の声が、わずかに鋭くなる。


「良いの!私が側に居たいの。」


「…はぁ。レイチェル…。」


呆れたような長に、レイチェルは続けた。


「アランは冒険者。ケイトが居なくなったら剣士が必要でしょ?

彼が…彼が、居なくなったら、里にこの身を捧げます。なので、それまで…」


「……。」


沈黙が続く。


「お父様。」


「はぁ…分かった。お前は反対しても出て行ってしまいそうだからな。それなら約束しておいたほうが良いだろ。」


「ありがとう!」


そう言うと父親に抱きついた。


「人間の寿命は短いからな。すぐ戻る事になるだろうし。」


「っ!そんな言い方、許さないわ!」


ぷいっと顔を背けるレイチェルを、長は目を細くして見つめていた。


翌朝。


まだ目覚めないケイトとアランを馬車に乗せ、出発する。


「――! アラーン!待ってー!」


馬車が止まる。


「お見送りか?そんな事されると、別れが辛く――」


最後まで言う前に、レイチェルはアランに口付けをした。


「私も行くから!」


「はぁ?良いのか?」


「ええ!お父様に許可は貰ったわ!」


こうしてエルフの娘は、外の世界へと歩き出した。


小さくなる馬車を見守る長。


「…嫌いではなかったのにな。」


呟いた長の顔は、父親に戻っていた。


【そして現在】


「…まぁ、こんな感じで、俺は招かれざる客なんだよ。」


「私だけでも、行ってくるわよ?」


「追い出されたらな…でもお義父サマに話さないと、いけないことも…。」


二人の顔は赤くなる。


(なに?ウザー…)


冷ややかな視線を、テュセは二人に送る。


「…先に、ここを無事に出ないとだな。」


「そうだね。パニルもまだ、目覚めないし…」


ギルドのある町まで来ると、息を潜めるように、宿で一夜を過ごした。



つづく。

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