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転生したら正体不明のモフモフでした。なのに世界の運命にぎっています  作者: 白 月虹


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第13話 アランの覚悟

レイチェルは森へ足を踏み入れていた。


「アランどこ〜?

結構大きいオアシスなのね…」


ガサガサっと音がして、その方向を警戒していると、アランが飛び出してきた。


「アラン!?」


「レイチェル!?」


二人は目が合ったまま、硬直していると、アランが口を開いた。


「あー、ホシがキレイだナぁ…」


「そうね。ってどこに行ってたのよ!みんな心配してたのよ!?」


「ごめん!色々事情があって!

そ、それより…」


どこからか、綺麗な旋律が流れ出す――

それはまるで、アランの背中を押すように。


「……アラン?」


「キミはこのホシよりキレイダ。」


ぎこちないアランを不審な目で見つめるレイチェル。その視線に気づいたアランが、両頬をパン!と叩くと、片膝をついて跪いた。


「…レイチェル。

人間の俺はすぐ死んでしまう。君にとってはひと握りの時間かもしれない。その時間に俺を入れてくれないか?

――死が二人を分かつまで。」



挿絵(By みてみん)



「良いの?」


「そっちこそ。」


アランはいつもと違い自信なさげだった。でもレイチェルは嬉しさで、涙をぽろぽろ落とす。


音楽が途切れる頃、二人は静かに抱き合っていた。


「……長生きしてね。」


小さく呟いたレイチェルの言葉に、アラン

は頷くと、何も言わず強く抱きしめた。


演奏が終わると一家は茂みから顔を出す。


「きゃー!」


当然何も知らないレイチェルは驚いた。

事の説明をするアランと、一家。


「ステキな曲が流れてるとは思ったけど…」


「みなさん、ありがとうな!」


「いやぁ、こんな場面で、演奏出来るなんて嬉しかったよ!」


「うん、楽しかった〜」


賑やかな一家は、町へ行くと言ってその場を後にした。


「アラン、このブレスレット…」


「あぁ、覚えてるか?

3年前にお揃いで買ったけど、レイチェルが魔物退治中に、岩にぶつけて壊れたやつ。

町の市場で似たようなのあったから…気に入ってただろ?」


「うん…嬉しい。」


「ごめんな!プロポーズのつもりじゃなかったから、指輪じゃなくて。今度良いのあったら買おう?」


「…でも、これでいい。アランが私の事思って買ってくれたものが。」


「そっか…。」


穏やかな時間が流れると、二人は、はっと何かを思い出す。


「パニル!」「テュセ!」


「あー、忘れてた。」


「戻ろう?今は私たちだけじゃないもんね!」


「そうだな。」


嬉しそうなレイチェルの後ろを、アランはゆっくりと歩く。


その表情は穏やかなまま、頭の中では別のことを考えていた。


(テュセには……ちゃんと、伝えないと)


応えられない想いを、どう言葉にするべきか。

胸の奥に、わずかな重さが残るまま、二人の元へ戻って行った。


「アラン!レイチェル!」


「きゅーー!」


「パニル!テュセ!

遅くなってごめんね!」


「ごめんなー!」


テュセとパニルが、帰ってくる二人に両手を振ると、アランとレイチェルも笑顔で返す。ほんの2、3時間の事なのに、数日会っていないような感覚が、それはもう無くてはならない存在を意味していた。


「お腹空いちゃった!」


満開の笑顔のレイチェルに、テュセは違和感を覚える。


「ぷきゅきゅ、ぷきゅ。」


パニルは一生懸命、料理の説明しているのが可愛くて、レイチェルはパニルを膝の上に乗せた。

腕にはブレスレットが光る。


「…テュセ。ちょっといいか?」


「ん?…うん。」


少し離れた所で、二人は向かい合っていた。しばらく沈黙の後、アランがぽつりと口を開いた。


「……俺、レイチェルが好きなんだ。」


その言葉に、胸の奥がきゅっと締め付けられる。

けれどテュセは、顔色ひとつ変えずに小さく頷いた。


「うん。わかってる…。」


「だよな…。」


アランは苦笑して、頭をかいた。


「アランは優しいね。こんな私にも、ちゃんと向き合おうとしてくれてる。」


「優しくなんかないさ。

逃げて、壁を作って、入ってくるな。ってしてるだけだ。」


「ふふふ。やっぱり優しい…

好きだよ。ちゃんとわかったのは最近だけど、叶わないって分かってた。でも好きになるのは自由でしょ?」


「テュセ…。」


「大丈夫。今すぐは無理でも、ちゃんと気持ちの整理するから。

私まだ、14歳だし!」


「え!あ?まだ14?」

(子供だとは思ってたけど、俺の半分じゃん…あぶなー…。)


「言ってなかったっけ?」


「あ、あぁ。歳聞くのもあれかと思ったしな。」


「やっぱり優しいー!」


楽しそうな声が聞こえて、レイチェルとパニルは様子を伺うように、近づいてくる。


「何?歳の話?」


「レイチェル。…テュセ、14歳だって。思ったより子供で驚いたよ。」


「へー。」


「興味なさそう…まぁエルフさんからすれば、1日にもならないでしょうけど!」


拗ねてるのか、八つ当たりなのか、テュセはレイチェルに悪態をつく。

その態度に素っ気なくレイチェルは返事をする。


「そうね。」


心地よい風が四人の間を通り過ぎる。


「アラン。」


「ん?」


「……。私、200歳って言ってたけど…

本当は277歳なの。」


「!?」


一同が驚く。


「まぁ、エルフにしたら、77歳なんて1日みたいなもんだし、200も277も変わらないわよね!」


「……。あーんー、まぁ?」


(え…それでもサバ読み過ぎじゃない?)


「…おばさんには変わらないわね。」


「っ!!」


テュセのポツリと零した言葉が、風に運ばれる事はなかった。



つづく。

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