第12話 失踪?
パチパチと焚き火の音と、香ばしい香りが、辺りに漂う。
今、夕飯の支度をしている…のだが…
「ねぇ、アラン知らない?」
「さっき、湖の方へ行ったよ。」
――そう。アランが居なくなってしまった!
(大丈夫かな〜?夕飯出来てるのに…いつも一番に食べるのに…)
「探してくるね。」
少し心配そうなレイチェルは、湖へ走って探しに行った。
「まぁ、これが当然よ…」
「きゅー…」
「先に食べちゃおっか!」
「きゅきゅん」
テュセとパニルが食事を初めても、二人が戻ってくる気配はない。
「はぁ…探しに行った方がいいかなぁ?…」
「きゅるぅ…」
――一方アランは。
「…マジかよ!」
アランは森の中で、じっと息をひそめていた。
「アイツらだよな…」
【遡る事1時間前】
「あー、この辺に落としたと思うんだけどなー…」
湖近くで、アランは探し物をしていた。
少し先のほうで、話し声が聞こえる。
「お姉ちゃん!これキレ〜…」
「ホントだ〜――っ!お姉ちゃんに寄越しなさい!」
「なんでよ!私が拾ったのに!!」
「お姉ちゃんだから!」
テュセと同じ背格好の姉と、少し小さい妹が、アランの落とし物を拾って、持って行ってしまった。
「貴方たち何してるの?
早く次の町に行かないと、夜になってしまうわ…」
母親が言うと、二人は「はーい。」と返事をして、後に続いた。
「あ!待て!」
アランが声を掛けても、彼女たちには届かず、去ってしまう。
それを追って、気づけばここまで来ていた。
「――居た!」
アランは息を切らしながら、ようやく親子に追いついた。
「待ってくれ!それ、俺のなんだ!」
姉妹は足を止め、不思議そうに振り返る。
「本当にあなたの?」
疑いの目に、アランは一瞬言葉を詰まらせるが、すぐに息を整えた。
「……ああ。大切な人への贈り物なんだ。」
その言葉に、姉妹の表情が変わる。
「恋人?」
「あぁ!だから――」
真剣な眼差しなアランとは裏腹に、妹がぱっと顔を輝かせた。
「えぇ!?どんな人?付き合ってどのくらい?お兄さんイケメンだから、やっぱりキレイな人なの?」
「えっ…あ、うん…キレイだけど…」
思わぬ質問攻めに、アランは固まる。
「辞めなさい。」
母親が妹を手で制止する。
「ちょうど私たち、旅の音楽一家なの。雰囲気作りしましょうか?」
「雰囲気、作り?」
「お兄さん!そのままプロポーズしちゃいなさいよ!」
母親は前のめりで提案すると、姉妹も賛同する。
「いや、俺たち冒険者だから、結婚はまだ…」
「冒険者だからよ!いつ死ぬかわからない…どんな困難な旅でも、二人手を取り合って進んで行く…あぁ、ステキ!結婚しかないわ!」
「お母さん…ステキ…」
そこへ父親と姉妹の兄が、木陰から出てくる。
「良いねぇ!曲は祝福の旋律はどうだ?」
「いや、オアシスの背景にも合う、風流れる賛美歌が良いよ。」
かくして、アランのプロポーズ大作戦が幕を開けるのだった。
つづく。




