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サイバーファンタジーの異世界で本気出す  作者: 南田華南
パラメディオ編

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第35話 企業冷戦

 プライドシティで、大手メディアの収録現場が集まるメガフロンティアタワー。

 ここでは、様々な種族が報道機関のスタッフとして働いていた。AIによる報道が

 主流になりつつあり、近年人事査定AIで評価が低い従業員が解雇対象になる。


 そして報道を手掛けるディレクターの中には、AIbirthエーアイバースを商売敵と思う連中も

 少なくなかった。『シティ・トゥデイ』の報道内容も、その意思が反映された。


 ドワーフの女性キャスターは、渡された台本を読み込んでおり、カメラに向け、

 彼女はAIbirthエーアイバースに対するネガティブな内容を伝え始めた。


「臨時ニュースです。現在、シティでも犠牲者が出ている集団昏睡事件しゅうだんこんすいじけんですが、

 テクジアが開発したオペレーティングシステム『Mindowミンドウ 109』の中核的な

 プログラムであるカーネルが原因と、同社の子会社から内部告発がありました。

 この背景には、競合のAIbirthエーアイバースが、量子OS開発競争においてリードしており、

 今回の内部告発によってAIbirthエーアイバースは、益々業界のシェアを奪うと思われます。」


 赤毛のドワーフの女性キャスターは、隣に座るオークの女性評論家に話を振る。


「今回はゲストとして評論家のグレース・ロックモア教授を呼んでおります。

 グレース、今回の騒動の裏側には、熾烈しれつな開発競争の他にもあると聞いたけど、

 具体的にどんなことがあるのかしら?」


「ええ。まず、テクジアとAIbirthエーアイバースの裏には二つの巨大企業が関わっているの。

 テクジアは、パラメディオとつながっている。パラメディオの軍事兵器の

 OSはテクジアが開発しているわ。一方、新規企業のAIbirthエーアイバースには、シティでも

 評判が悪い犯罪企業ギャングだったケルベロスが、安全保障を担当しているの。」


「ケルベロス、4年前に勃発したゼルマニア戦争後に上場した民間軍事会社ね?」


「ええ、そうよ。上場したケルベロスは犯罪企業ギャングじゃなくなった。そして、

 彼らが戦場で使用した魔法生成AIは、AIbirthエーアイバースの手掛けるサービスなの。」


「つまり、ケルベロスは魔法生成AIの試験運用に協力したのね。」


「その時には、何千人ものゼルマニアの民間人が犠牲になったわ。そしてAIbirthエーアイバース

 魔法生成AIの開発に成功。莫大な富を築いた。最近は様々なAIアプリを

 リリースし、世界各国の製造業やソフトウェア企業の仕事を奪っている。」


「今回、内部告発されたテクジアのソフトウェア開発もAIbirthエーアイバースのAIにシェアを

 取られていたわよね? グレース、ぜひ見解を聞きたいわ。」


 するとグレースは、収録前の打ち合わせ通りにキャスターのシンディと話した。


「これは、テクジア陣営とAIbirthエーアイバース陣営の、冷戦が始まったと言えるわ。」

「それは、どういう意味かしら?」


「テクジアとパラメディオは七大企業セブン・パワーズAIbirthエーアイバースとケルベロスは新参者なの。

 だからパラメディオを支援するテクジアを弱体化させたいのよ。AIbirthエーアイバース

 ソフトウェア業界も支配し、ケルベロスはパラメディオの代わりに君臨する。」


「今回の内部告発は、AIbirthエーアイバースには朗報ろうほうなのね。」


「そう。それが今回の冷戦にも影響しているわ。テクジアはパラメディオに

 技術提供や投資もしている。パラメディオからすればテクジアがもし、

 倒産するか買収されるかして消滅したら困る。そうなれば競合他社の

 ケルベロスに負けてしまうわ。近年、AIbirthエーアイバースの技術提供で、ケルベロスも

 兵器業界に進出した。人工知能を搭載した戦闘機やドローンも低価格で

 提供し、パラメディオよりも売り上げが良い。つまり両社の緊張が

 高まっているの。いつ、シティや他国で衝突が起こるか分からないのよ。」


 ニュースは大型街頭ビジョンにも映し出されていた。シティの雑踏の中に

 たたずむ謎の人物がニュース映像を見ている。灰色のショートヘアと真っ黒な

 サングラス、薄い茶色のレザーコートが特徴の女性は、こうつぶやいた。


「終末時計の針が進む・・・か。」


 灰色の髪の女性はポケットに手を入れたまま、目的地へと歩いていった。





 プライドシティ ビジネス街 ワールド・キャピタル地区 特務省ジャッジ・オフィス





 壁掛け型のディスプレイでニュース速報動画を視聴する、二人の特務官ジャッジナイトが居た。


 青緑色の軍服を着用し、白髪と白いひげが特徴のエドワード・ラ・グッドマン。

 数々の難事件を解決し、安楽椅子探偵の異名を持つ。彼は椅子に腰掛けていた。


 そしてもう一人は、黒髪で白いタキシード姿。左は青い瞳、右は赤い瞳が特徴の

 ベンジャミン・ベーコンであった。コーヒーを飲みながら、エドに言った。


「まったく、愚民は憶測でしかモノが言えない。あなたは、どう思いますか?」

「ベン、お前はワシら魔族に礼儀正しいが、もうちっと他種族にも・・・。」


「伯爵!! 我々は高貴な血統を受け継ぐ名家。下々との差は必要ですよ★」


「やれやれ。・・・ふむ。今回の、テクジア社の件じゃが、ワシはむしろAIbirthエーアイバース

 ハメられたと思ったよ。確かに連中はシティで悪名高いケルベロスに要人警護や

 新兵器のテストをさせとるのは事実じゃ。だが彼らは大衆を標的にしとる

 ブレインデータハック事件はやっておらんぞ。むしろパラメディオの方が、

 コレクター事件でもシティやミドロワの大衆を襲っているんじゃよ。」


 エドは、ネットメディアが過剰にAIbirthエーアイバースを危険視している風潮に気づいた。

 そして、内部告発があったテクジア社について深掘りしないのも気になった。


「あなたもそう思いますか。七大企業セブン・パワーズのシティ・ポストもAIに仕事を

 奪われているという被害妄想があると僕は感じます。だから理由がある。

 AIbirthエーアイバースとケルベロス、この両社は古参企業から見れば、成り上がり者です。」


「そうじゃ。社会というものは、既得権益きとくけんえきがつきまとう。長年の立場を

 守ろうとする連中にとって、若いもんは自分達の脅威と見えるんじゃよ。」


「やはりカイザーは、コレクターともつながっていると思いますか?」


「長官から聞いたが、カイザーはコレクターが、女性に化けていることを

 なぜか知っていたんじゃ。議員にコレクターの詳細は伝えておらん。

 長官が伝える前に情報を入手できる。それは、主犯格しか考えられんのう。」


「ハハハハハ!! 所詮金儲けしか能のないトンマなんですよ★ なぜ長官が

 説明をする前に言ったんですかね!? 間抜けとしか言いようがない★」


 ベンジャミンは大笑いしていた。更に、エドは持論を述べ始めた。


「今回、テクジアはパラメディオを動かすじゃろうな。もしかすると、近々

 ケルベロスが襲撃を受けるかもな。じゃがな、我々は経政連同士の争いに

 積極的に関与するべきじゃない。ベン、ここは静観するんじゃぞ。」


「僕は政治に一切興味がそそらない体質なんで、大丈夫です★」


 エドの心配をよそに、確実に異世界を揺るがす異変が起ころうとしていた。





 プライドシティ 住宅街 フォートランド地区





 一方その頃、怪人六面相とのディベート対決を終えたジンは、早速『ブロード

 ゴシップ』に、ロズノフに関する新情報が投稿されていないか、調べていた。


 ジンのサイトを荒らした怪人六面相が入院し、彼の人力エージェントだった

 黒桜會こくおうかいも解放され、ジンのサイトのランキング上位の大半を占めていた都市

 伝説や陰謀論の投稿情報は急激に減った。その代わりに、株価予想や掘り出し物

 情報などが投稿されていた。正しい情報交換が行われるようになると、ジンの

 会社も取引相手が増えていった。もしも社会的信用が高まれば、ジンのもとに

 貴重レアな情報が手に入る。それもあって、ジンはこのサービスを始めた。


 ジンが立体映像を見ながら、投稿情報を調べていると、ゼンが話しかけてきた。


「社長! AerospaceXエアロスペースエックス弊社へいしゃに融資をしたいと申しております!! メールには具体的な金額や日時が____」


「断っておいてくれ、ゼン。」

「はぁぃぃい!?」


「悪いが、いまはクーロンと組むべきじゃない。オレはナジュリと先に契約を

 結んでいる。今日ニュースで知ったが、オレがクーロンの会社にいる間、

 社員が夢遊病になったり、ロボットが緊急停止したりと、不可解なことに

 巻き込まれた。多分、ナジュリが自分の部下を使ってオレを助けようとした。

 オレがクーロンの融資を受けたら、ナジュリはオレを裏切り者として

 認識する。だからゼン、悪いがクーロンの話は断ってくれ。」


「そういうことなら・・・分かりやしたァ!!」


「それよりも、ミシェルの帰りが遅くないか? あいつ、買い出しに

 行ってから2時間以上も経つぞ? お前、何か知らないか?」


「ミシェル姉さんは何も言ってませんけど?」


 すると突然インターホンの音が鳴った。今日は来客の予定はない。

 ゼンは立ち上がると、インターホンの近くまで走っていった。


 ゼンがモニター越しに覗くと、灰色のショートヘアとサングラスの

 女性が見えた。ゼンは、自分達を狙う敵の刺客しかくかもしれないと警戒した。

 ゼンは、突然現れた訪問者に話しかけることに決めた。


「はい。『ワイルドパンク』です。ご用件は?」


「事前に連絡しなくて申し訳ないな。私はクライド・フォンダ・ラ・オズボーン。

 株式会社『ケルベロス』の創業者だ。御社おんしゃの、創業者と直接話したい。」


 ゼンは後ろを振り返り、リビングにいるジンにケルベロスの創業者が

 会いたいと伝えた。ジンは、ゼンにクライドを部屋に入れるように頼んだ。


 灰色の髪で、薄茶色のレザーコートを着ているクライドは、ジンが座っている

 ソファに腰を下ろした。対面のジンに向かってクライドは言った。


「単刀直入に言う。我が社と共にパラメディオが所有する島にある研究所を

 襲撃する計画に参加してほしい。その研究所は量子セキュアクラウドを

 使って生体情報を収集しているが、現在起きているブレインデータの

 強奪事件に利用されている。正規の方法では、パラメディオは倒せん。」


「!! オレらにテロ行為をさせようって言っているのか!?」


「パラメディオからすればそうだな。我が社からすれば通常業務だが。」


「ちょっと待ってくれ。うちはユーザーの自由な情報発信サイトだ。

 頼むところを間違えているぞ? そういうのはスパイとかだろ。」


「パラメディオの背後にいるのはミドロワ王国の諜報機関、MRBだ。」

「!! MRB・・・王直属の組織じゃねえか。どういうことだ?」


「実はな・・・ヨシロ自動車を除く七大企業セブン・パワーズは、ミドロワ王国から経済

 援助を受けている。ミドロワは、このシティを独立国家として、

 諸外国に説明しているが、実際にはミドロワの衛星国なんだよ。」


 ジンは、クーロンが言ってたMRBが実在する組織ということを確信した。

 それまでは、クーロンが陰謀論で騙していると思っていたジンだったが、

 クライドの話は衝撃的だった。更にクライドはジンに事情を説明した。

こちらも段落がミスがあり、修正しました。セリフが長く、頑張って細かく分けてみました。

色々と読みづらく、申し訳ないと思います。初めて書いたとはいえ、情けないと思います。

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