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サイバーファンタジーの異世界で本気出す  作者: 南田華南
怪人六面相編

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第33話 地球は実在するのか

 ジンは、目の前に現れた2Dドットのキャラ、6名に注目した。


 1人目は、スキンヘッドで眼鏡を掛けたヒトの男性。1階でジンが倒した

 人物と違い、かなり恰幅かっぷくは良く、威厳に満ちている。会社の社長に見えた。

 スキンヘッドの男性は、青い扇子せんすあおぎながらジンを見下ろすように喋る。


「まーた都市伝説か。地球とかさぁ、信じている奴いんの?」


 2人目は、エルフの女性のようだ。落ち着いた様子で、男の話を聞いている。


 3人目はゴブリンの女性。栗色のボブカットで、縁の細い眼鏡を掛けている。


 4人目は、黒髪ロングで、碧眼へきがんの女性だった。地球のセーラー服に似た格好だ。


 5人目は、オークの爺さんだった。茶色い杖を持っているように見える。

 オークの老人は、ジンと六面相に対して、こう言ってきた。


「見せてもらおうかの。若さゆえの、詭弁きべんというものを。」


 6人目は、王冠おうかんを被った王に見える2Dドットキャラだった。


 ジンは嫌な予感がいた。曲者クセモノばかりの6人の中でも、一番怪しいのが王だ。


 ・・・六面相はこの6人を2Dドットキャラにする際に、自分の記憶を使った

 筈だ。とすると、最初の男は投資家か会社経営者。三人の女性は配信で知り

 合ったファン。爺さんは分からん。だが、あの王様のキャラはもしかすると

 ミドロワ王なのかもしれない。・・・ナジュリとつながっているのか?


 ジンがそんなことを考えていると、テキストウィンドウと謎の声が出現した。


『お二人とも、よく頑張りましたね。大変な思いをして、ここまで来れたと

 私は思っています。では、最終命題さいしゅうめいだいのお時間です。テーマは、地球という

 惑星は実在するのか、となります。サイコロを振り、肯定こうていと否定を選び、

 反論者への誹謗中傷ひぼうちゅうしょうに注意して、お二人で話し合ってください。判定は、

 この6人が決めます。1人1票で、得票数が最も多いプレイヤーが勝ちます。


 では、ジン社長 VS 怪人六面相様。六人論破、始めェエエ!!』


 ジンはサイコロの画像にタッチし、ランダムに変わるサイコロの画像に

 再び触れた。ジンのサイコロの目の数は、『5』だった。一方、六面相の

 サイコロの画像は『3』であった。ジンは転生者として、『肯定派こうていは』となる。


 そして『否定派』となった六面相は、急に笑い出した。そしてジンに言った。


「いやぁ~! とうとう来ましたね! おいら、宇宙人や異世界なんてないと

 思ってます。どうせ前世は地球人って言う人は金のためにやってますね。」


 六面相の話を聞いたジンは、早速肯定派として地球実在説を話し始めた。


「地球という惑星は実在する。なぜならシティに住む異世界転生者が作る

 料理は惑星ヴァドールで考案されたものじゃない。地球という別の

 惑星で生み出されたものばかりだ。調理法は、一朝一夕いっちょういっせきで完成しない。

 地球の料理人達が試行錯誤しこうさくご鍛錬たんれんで、積み重ねた歴史からくる。地球で

 考案された料理が実在する以上、これは地球があるという証拠になる。」


 突然、電子音が鳴り響いた。どこからともなく聞こえる謎の声が次の意図を伝える。


『ジン社長、ありがとうございました。ジン社長の肯定側第一立論こうていがわだいいちりつろんは、これで

 終了となります。次は、怪人六面相様の否定側質疑の時間となります。どぞ。』


 六面相は、地球実在説の否定派として、ジンが出した根拠を否定し始めた。


「ジン社長が出した地球実在説の根拠って、この星にない料理を作る人が

 居るから、その人は異世界人だよねって無理があるんですよ。それって、

 地球発祥の料理って証明できてませんよね?」


 六面相はニヤニヤしながら、ジンに反論した。ジンは六面相にこう言った。


「調理する料理人が、ヴァドール人に見たこともない料理を出してきたんだ。

 それが前世の記憶で再現したとなれば、地球の存在は否定できないぜ!!」


 六面相は、しつこく地球は実在すると言い張るジンにこう言った。


「えっとぉ、料理人ってそういうものです。そもそも斬新な物って、

 長持ちするんですよ。商品のビジュアルが独創的だったら、ヒトの

 記憶に残りやすいんです。だから料理人も新しい料理を考えます。

 これ、普通のことなんですよ。あと前世が地球人ですと言えば、

 話題になって客も集まっちゃうんです。ただの宣伝なんすよ。」


 審査員の女性ゴブリンが眼鏡をくいっと上げ、こう言った。


「そうね。創作料理だけで地球が実在する証拠とか、ないわぁ。」


 数秒後、電子音が鳴った。再び謎の声が聞こえてくる。


『六面相様、ありがとうございました。六面相様の否定側第一質疑は、これで

 終了となります。次は、六面相様の否定側第一立論の時間となります。どぞ。』


 2Dドットで描写された六面相が、なぜ地球が都市伝説なのかを説明した。


「まず、皆さん。地球って実際に見たことありますかね? おいら、

 地球見たことないし、地球の予想図をネットで見ただけです。

 それって虚構フィクションなんですよね。今ヴァドールで宇宙開発が

 盛んですが、一向に地球は観測されてません。都市伝説です。」


 スキンヘッドの男とオークの老人はうなずく。次はジンの肯定側質疑の時間だった。


「なぁ、六面相。地球が存在しないって、悪魔の証明だろ?」

「逆に考えてください。地球が全くないから存在しないんです。地球があると

 言い張る人々は証拠を持っていません。地球は都市伝説です。暇つぶしに

 地球って星があるんだ~って空想しているだけです。ただの娯楽っすね。」

「昔は空想の産物さんぶつだと思われていたものが、実在した場合もあるだろ。」

「なんかそういうエビデンスあるんですか?」


 ジンは数秒間沈黙していたが、すぐに六面相に対して言った。


「昔はブラックホールが観測できなかったけど、今は観測できるよなァ?」

「はぁ。」

「この星でもブラックホールは長らくの間、架空の存在として扱われた。

 ところが宇宙開発技術が進展し、それは空想のモノじゃなくなった。」

「まぁ、ブラックホールはそうなんじゃないですかね?」

「地球が見つかっていないのは・・・観測されていないからだ!!」


 王を除いた5人は騒ぎ始めた。その後電子音が鳴り、謎の声が言った。


『ジン社長、ありがとうございました。ジン社長の肯定側第一質疑は、

 終了となります。次は、怪人六面相様の否定側第一反駁ひていがわだいいちはんばくとなります。』


 六面相がジンに対し、地球とブラックホールの観測は別問題だと反論した。


「えっとぉ、ブラックホールが観測できるから、地球もいつか観測ができると

 しましょうか。ブラックホールはそもそも魔族の方が、重力崩壊の観点から

 存在を思いついた歴史があるんですね。だからブラックホールが見つかるのは

 時間の問題です。でも地球は架空の星なんで、観測できる訳ないんすよ。」


 六面相は反駁を終え、肯定側第一反駁こうていがわだいいちはんばくのジンはこう言った。


「ヴァドール人もそれならブラックホールを思いつく。だが、地球はあるんだ。」

「あのう、ちゃんとおいらの話聞いてますか? 他になんかデータあるんすか?」

「歴史だよ。元地球人のおかげで魔法を発動する機械を作れたよなァ?」

「はぁ。・・・・・・ん?」

「まず、シェーンという地球から来た転生者が、世界初のコンピュータを作った。

 そして彼が持つ地球の科学知識で様々なものが作られていった。そいつは、

 照明器具すら作らなかったヴァドール人が思いつかなかった発想だぜ!! 

 それはどう説明するんだァ!! 怪人六面相ォオオ!!」


 ジンはついに六面相に向かって指を指し、ディベートではあり得ない行動に

 出た。相手の意見を曲解きょっかいせず、感情的にならずに話す行動規範ルールをぶっ壊した。


 2Dドットキャラになっている六面相の頭から汗のエフェクトが出た。


 他の5人の審査員も、ジンの指摘に動揺した。確かにコンピュータは

 地球人が来るまで存在しなかった。なぜなら、暗算能力が非常に高い

 魔族が既におり、これ以上の計算速度の向上は必要なかったからだ。

 シェーンという男がミドロワ王国に来たという歴史が地球の存在を証明した。


 続けて、ジンは席に座っている6人の審査員に向けて、こう話し始めた。

 最早、ジンはディベートよりも演説とも思える行動を起こしていた。


 ジンの脳の中に潜む、もう一人のジンの亡霊ゴーストが自由を求めて、暴れ出した。


「あんたら6人は魔法生成AIによって作られたんだろ? 科学は、好奇心から

 始まったんだよ。空を飛ぶ飛行機を作りたい人達が、どうすれば鳥のように

 飛べるのか。雷のエネルギーを利用し、実験や事故で亡くなった人達もいる。

 その人達はなァ、未来のオレらのために必死で頑張って来たんだ!! 地球人も

 ヴァドール人のために、技術を伝えたんだよ。発明品を安価で提供できる

 社会にするため、オレら実業家は資本を投じてサービスに変えるんだよ!!」


 ジンは腕を振りながら科学者と実業家の努力があって、文明が生まれたと

 力説した。それに対し、六面相は怒りの表情を浮かべて、ジンに反論した。


「・・・資本主義が発展した結果、おいらの星は不幸の星になりました。

 貧しい人は高い医療費や光熱費を払えなくて、企業や銀行から借金しています。

 資本主義が暴走して、資本主義が不幸の連鎖を生んだんですよ!!」


 そう主張する六面相に対し、ジンは力強く反論した。


「地球人のテクノロジーを使って、魔法生成AIやヒューマノイドを作ったのは

 お前らヴァドール人だろうが!! 何でも資本主義のせいにするなよ!!

 地球で生まれた資本主義を取り入れたヴァドール人は、ヴァドールの魔物を

 勝手に改造して生物兵器に変え、挙句あげくの果てにギャングを法人化させる。

 地球じゃ考えられないほど、この惑星はモラルハザードに向かっているぞ!!」


 ジンは、今まで対峙したハンクやコレクターのことを思い出した。彼らは

 犠牲者を出し、自分の行いを正当化していた。そこに倫理観りんりかんはなかった。

 

 ジンはモラルハザードを誤用していたが、誰も指摘することがなかった。

 それほど、六面相の異空間はジンの勢いに支配されていった。


 そして、ついに六面相も感情的なジンの言動に感化され、ジンに怒鳴り始めた。


「じゃあ、おいらの星はどうすれば良かったんですか!! 地球人が来なければ、

 この星はずっと平和だったんですよ!! 経済格差や戦争もなかった!!」

「やっと認めたなァ!!」

「は?」

「地球人が来なければ良かったと、お前は地球の存在を認めたって

 言ってんだ!! 本当はとっくに気づいているんだろ!!

 正直に言えよ!! 地球があるって思っているんだろうがァ!!」


 ジンの、怒涛どとうのパフォーマンスに、圧倒された怪人六面相は硬直した。


 彼は、有名になるにつれ、それまで陰謀論だと思っていたことも、

 実在することを知り始めた。地球発見のために莫大な金が使われ、

 その金をシティの貧しい人や貧しい国に使えばいいのにと思いながら、

 その流れを止められない自分の本当の実力に、心の中で薄々気づいていた。


 すると、今まで黙っていた王が、口を開いた。王は、ゆっくりと

 ジン達に話をし始めた。それは、六面相も知らないことだった。

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