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サイバーファンタジーの異世界で本気出す  作者: 南田華南
怪人六面相編

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第31話 段階論破

 ジンとタイラー達は、2Dドットグラフィックスの異空間に

 閉じ込められた。ジンは横を見ようとしたが、見えなかった。

 眼球カメラが固定されており、真正面からしか見えなかった。


 正面には黄色い帽子と水色の髪が特徴のドットキャラが見えた。


 目の前に白黒のテキストメッセージと、謎の声が聞こえてきた。


『ようこそ。ここは ぼうりょくのない クウカンです。

 いまから あなたたちに ゲームを してもらいます。』


 ジンは、目の前に映る2Dの六面相に話しかけた。


「おい。どうしてオレは真正面しか見えないんだ。」

「それがこの空間の仕様だからです。おいらも横は

 見えません。ここでは、おいらとゲームで勝てないと

 出られないようですね。おいらワクワクしてます。」

「は・・・? お前もオレらと同じって・・・。

 それじゃ閉じ込められたってことじゃねえか。」

「はい。だから、おいらはクリアを目指します。」


 のんびりとした六面相に、まずタイラーがキレた。


「オドレ! ワイはオノレを今からいてこます!!」


 2Dドットキャラになったタイラーは、カニ歩きのように

 六面相に近づき、六面相を殴ろうとした瞬間、雷が落ちた。


 ジンの真正面で、ビリビリ光るエフェクトと骸骨がいこつになったタイラーが見える。

 タイラーは空からの落雷攻撃によって、気絶した。それを見たジンが言った。


「暴力のない世界って・・・暴力が制限されている世界!?」

「あ、はい。おいら、平和主義なんで、物理的な暴力はここでは

 使えないんですよね。だから、ゲームを攻略しないとダメです。」


 六面相のことを疑うジンは、魔法生成AIのアミに話しかけた。


「もしもし、アミちゃん?」

「はい、ご主人様。」

「もしかして、今魔法攻撃もできない状況?」

「はい、ご主人様。現在、魔法攻撃はおろか、魔法辞書にもアクセスできません。

 完全に妨害されています。量子通信網ネットワークすら、アクセス制限されてます。」


 どうやら物質錬成でナジュリから教わった電磁パルス攻撃も出来ないようだ。


 ジンは、ナジュリが言っていたことを思い出し、アミに尋ねた。


「アミちゃん。この空間も星の重力の影響を受けている筈だ。六面相の空間の

 維持エネルギーと重力がぶつかって消える場所、つまり合計ベクトルが0に

 なるところが見つかると思う。アミちゃん、なんとか探してくれないか?」

「申し訳ございません。ご主人様。この空間は二次元宇宙です。つまり、

 Z軸がない空間では、三次元世界にある惑星の重力は干渉しません。」

「・・・ごめん、もう少し簡単に話してくれないかな?」

「私たちが一枚の紙のような世界にいると思ってください。その世界には

 上も下もありません。一方で、ご主人様が元居た世界は立体的ですよね?

 その世界では上も下も存在し、惑星の重力で下に引っ張られます。」

「うん。それで?」

「つまり、この2Dドット空間では3Dの重力が干渉しないのです。それと、

 二次元宇宙のベクトルはX軸とY軸しか存在しません。三次元のZ軸がないと、

 交わることが最初から不可能なのです。なのでその方法は使えません。」


 詰んだ。なんか自分でも無理な気がしてきた。さっきから自分自身の

 姿も確認できないし、これは間違いなく上や下もない世界に入っている。


 ジンが指をこめかみに当てていると、六面相が話しかけてきた。


「あの、そろそろゲームしませんか? おいら、外の世界で配信待っている

 人達がいるんですよね。あなた達も外の世界、戻りたい、ですよね?」


 ジンとタイラーの部下達も2Dドットキャラになっており、自分の姿を

 自分自身で見ることが出来なかった。主観視点になっているからだ。


 ジンは、真正面にいる六面相に話しかけた。すると、目の前にテキスト

 メッセージが表示された。そのメッセージを、謎の声がそれを読み始めた。


『ルールその1。これから6人のゲームキャラと論戦してもらいます。

 ルールその2。まず、プレイヤーAとプレイヤーBがサイコロを振るい、

 出た目が大きい方が先攻後攻を選べます。先攻を選んだプレイヤーは、

 戦うゲームキャラを選べます。後攻プレイヤーは、先攻プレイヤーの

 ターンが終わるまで何も出来ません。ターン終了は、敵ゲームキャラの

 反論でプレイヤーがダメージを受けた時です。HPが画面右上に出ます。

 ルールその3。敵や他のプレイヤーへの誹謗中傷はペナルティを受けます。

 そのプレイヤーは行動不能になります。ルールその4。敵キャラを倒した

 プレイヤーは、上の階に行けます。先に6階に行ったプレイヤーが勝ちです。』


 いきなりゲームのルールが説明され、更に六面相の上に謎の6人のシルエットが

 映し出される。性別や種族が分からない。『?』の文字が顔に描かれている。


 ジンは、覚悟を決めた。ボーっとしている六面相に向かってジンはこう言った。


「よし。じゃあ、お前とゲームするぜ。それで勝ったらお前は人質を

 解放し、オレに1000万ダナーを現金で払ってもらう。いいな?」

「おいら、自分に正直な人が一番好きなんですよね。お金のために、

 他人を助ける人が、ね。じゃ、サイコロ振りますか。どうぞ。」


 ジンの目の前に、サイコロの二次元画像が現れた。ジンが画像に触ると、

 勝手にサイコロの画像がスロットマシーンのように変わり始める。ジンが

 再び触ると、画像が出た。サイコロの目の数は『4』と分かる画像だった。


 ジンは、縁起が悪い数字だと思った。六面相も目の前のサイコロの画像を触る。

 自動的にサイコロが変わり始め、六面相が再びタッチすると、『1』だった。


 出た目の数が大きいプレイヤーとなったジンは、先攻を選んだ。そして、

 まず一番左にあるシルエットの画像を触った。すると、急に暗転した。


 次にジンの目の前に現れたのは、2Dドットで描かれた茶髪の女性だった。


 ジンと六面相の目の前にテキストウィンドウが表示された。内容はこうだった。


『学歴は役に立たない。わたしは高学歴だけど、就職難だから。』


 ジンに向かって女性が話しかける。短い髪でリクルートスーツを着ている。


「わたし、スカイフォード工科大学の計算機科学科を卒業したんだけど、

 AIのせいで就きたい仕事に就けないんだよね。学歴って要らなくね?」

「オレはそうは思わないな。学歴は自分が努力した証明書になると思う。」

「は? 学歴は目安だろ。証明書なら資格の方だろ。あんた分かってんの?」


 それもそうだなと一瞬ジンが思った瞬間、画面右上のHPが10から9になる。


 ジンは、自分は論破されたということに気づく。どこからか謎の声が聞こえる。


『ジンさんは相手の言い分を認めたので1ポイントのダメージを受けました。

 次に後攻プレイヤーの六面相さんのターンになります。六面相さん、どぞ。』


 今度は2Dドットキャラになった六面相が、茶髪の女性キャラに話しかけた。


「あなた学歴要らないと言っていますけど、さっきからあなたの体験しか

 言ってませんよね? なぜあなたの経験が全生物の総意なんですか?」


 六面相の反論に、茶髪の女性キャラはビックリしたエフェクトで、反論した。


「だってわたしは高学歴だけど、就職できないからァ!!」

「なぜ、あなたが全生物の総意なのか先に答えてもらえますか?

 あなた以外の高学歴の人が就職しやすかったら、あなたの意見は

 間違っていると思いませんか? 6秒以内に答えてください。」

「・・・え、えーと、それは・・・」


 6秒過ぎた。すると、茶髪の女性キャラは泣くモーションに変わった。

 次の瞬間、ジンと六面相が話していた女性キャラが消え、階段が現れた。


 そして謎の声が再び聞こえてきた。テキストウィンドウも表示される。


『おめでとうございます。六面相さんの勝利です。勝った六面相さんは、

 次のフロアに行ける階段を登れます。負けたジンさんは、他のキャラに

 勝って、六面相さんがいる2階に来てください。再度ゲームが始まります。』


 六面相は、出現した階段の二次元画像に入る前に、ジンに話しかけた。


「このゲーム、1ターン目が勝負なんですよね。まず、敵キャラクターの

 意見を聞きます。敵の弱点を見抜き、一気に畳みかけてください。」

「おい、なんで敵であるオレにそんなことを教えるんだ?」

「このゲーム、おいらが次の階に進むには、対戦相手が来ないと

 始まらない仕様なんですよね。黒桜會こくおうかいの人に、譲りますか?」


 ジンは六面相の横を見た。3人のギャングの男達は、首を横に振っている。


 その様子を見たジンは、目を『^^』にしている六面相に対し、こう言った。 


「断る。オレの道はオレが決める。オレがやる。」

「分かりました。じゃ、おいら先に行ってますね。」


 そう言うと六面相は階段の画像と共に消えた。次に5人のシルエット画像が

 ジンの前に現れる。ジンは、今度は一番右のシルエット画像を触った。


 画面が暗転すると、次の相手は眼鏡を掛けた中年男性のようなキャラだった。


 再びテキストウィンドウが表示された。内容は『惑星正方形説』だった。


 まず、黒髪で眼鏡を掛けた男性キャラが高圧的な態度で、ジンに話しかけた。


「お前さ、この惑星が丸いと思っているだろ? 違うんだよ、全部正方形なの!!

 この世界は全部ドットで構成されている。丸い惑星なんて非科学的だ!!」


 ジンは六面相の攻略をふまえて、眼鏡を掛けた男性キャラにこう質問した。


「この二次元宇宙の太陽や衛星はどんな形なんだ。」

「あ? 丸いに決まっているだろうがァ!!」

「じゃ円形じゃねえか。太陽に照らされる衛星も丸かったら、

 この星も丸いってことだろ。他の天体が丸いんだからさ。」


 眼鏡を掛けた男は、怒ったモーションで、ジンに反論した。


「違う!! 私が言っているのは最小単位だ!! 正方形のドットが

 星に密集している。だからこの星は丸くない、正方形のかたまりなんだよ!!」

「お前はさっき丸い惑星が非科学的だと言ったよな。科学的に丸い惑星が

 この二次元宇宙に存在できないことを説明してくれ。6秒以内だ。」


 かなり屁理屈だと思ったジンだが、それが効いた眼鏡の男性キャラは

 黙り込んだ。6秒後、男性キャラはフフと笑って消失した。そして、

 代わりに階段の画像になった。ジンはその画像に触れ、2階に行った。

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