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サイバーファンタジーの異世界で本気出す  作者: 南田華南
怪人六面相編

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第27話 クーロン・マッキード

 なんだ・・・ここは・・・凄く・・・まぶしい。なんか・・・俺、最後まで

 何にも・・・できなかったな・・・そりゃ、そうか。俺、ただの日本の

 高校生だったもんな。獣人の魔法使い・・・か。初めて見たな・・・。


 梅川仁は、真っ白い空間に居た。そこは自分の手も見えなかった。


 やがて、仁の耳に聞き覚えのある声が聞こえてきた。


「やってくれたなぁ・・・だがこれで専念できる・・・。」


 あれ? この声、聞いたことがあるぞ? 誰だっけ?


「問題は、どうやって地球のことを聞くかだな。あいつも宇宙のように、

 心が広い奴だと良いな。」


 ・・・地球のことを知りたいのか。ということは、俺は宇宙人に

 捕まったのか? ああ、なんか、真っ黒い隙間が見えてきた・・・。


 突然、電源が入る音がした。ジンの眼球カメラが映像を鮮明に映し出す。


 目の前には、金髪と茶色い瞳、黒いヒゲを生やした男が椅子に座っていた。


 ジンが周囲を見渡すと、あちこちに天体の立体映像が飛び交っていた。

 目の前の男の足元は、まるで宇宙空間に浮いているようだった。ジンは、

 パワードスーツを動かそうとするが、反応がない。すると、男は言った。


「目が覚めたか。よく、ここまで来れたな。

ジン・ゼッカード。」


 いきなり声をかけられたジンは、ぶっきらぼうに謎の男に話した。


「誰だ、テメェは? おい、ここはどこだ!?」

「落ち着けよ。俺はお前の敵じゃない。なぜなら、お前は生きている。」

「? そりゃ地球のことを知りたいんだろ?」

「ああ。話が早くて助かるぜ。まずは、お互い自己紹介をしようか。

 俺はクーロン・マッキード。俺のことはクーロンと呼んでくれ。」

「・・・思い出したぜ。お前・・・お前がマシュアが言っていた地球を

 侵略しようとしている奴だな!! それでオレから情報を得たいのか!!」

「マシュア・・・ああ、そういうことか。それは、まったくのデタラメだ。」


 クーロンは真顔でジンに言った。ジンは、ギラギラと輝くクーロンの目を見る。

 

 どうも信用ならない。クーロンは、自分を公開処刑にしようとしていた人物だ。


 すると、クーロンが「パチン」と指を鳴らした。突如、ジンの目の前に

 マシュアの個人情報が書かれている立体映像が映し出された。クーロンは、

 ジンにマシュアの正体について説明を始めた。それは初めて聞く話だった。


「マシュア・オルデンバーグ。奴の正体はミドロワ王のスパイだ。」

「!! 王の、スパイ・・・だと!?」

「俺が地球侵略を考えていると。だから転生者のお前は疑っている。

 考えてみろ。最初にそういうことを吹き込んだ奴こそ、怪しいだろ。」

「待て!! 確かにマシュアはスパイだったが、それはロズノフの手先_」

「だったらマシュアは殺されないだろ。あとロズノフは王とは関係ない。」

「? 一体どういうことだよ、訳が分からないぞ!!」

「まず、マシュアから話そうか。地球侵略を考えているのは、ミドロワ王だ。

 マシュアが所属する組織は公務省。公務省の諜報機関、MRBの諜報員だ。」

「MRB?」

Midolowaミドロワ Royalおうりつ Bureauきょく、ヴァドールでは通称MRBと呼ばれている。

 つまり、王直属の組織だ。王はミドロワ憲法で権力を制限されているが、

 この世界の覇権国であるミドロワ王国の最高権力者だ。このヴァドールは、

 ミドロワ王国の通貨ダナーが世界中で使われている。MRBの目的は、王の

 命令で、お前のような異世界転生者を飼い慣らすことだ。他にもいるぞ?」


 クーロンは、再び指を鳴らした。そして、ジンはその立体映像に驚愕した。


 金髪のポニーテール、青い瞳、真っ赤な軍服の女性。それはナジュリだった。

 立体映像にはナジュリの個人情報が表示され、所属名はMRBと書かれている。


 目の前の信じられない光景に、ジンはクーロンに反論した。


「ウソだ!! ナジュリが王のスパイ!? なんであいつが!!」

「初めに出会ったことを思い出せるか? お前がナジュリと初めて会った日だ。」

「・・・オレはナジュリに捕まり、俺はあいつと取引をしたんだ。」

「なるほど。お前はナジュリからも俺のことを聞いたんだな?」

「それは・・・お前が俺の公開処刑を望んでいると言われたんだよ!!」

「おいおいおい。なんで俺がお前を処刑したいんだよ。」

「俺のせいでお前の会社の株価が急落したから、お前が要望書を出したと_」

「あのな。宇宙スケールで物事を考えろ。俺が転生者のお前を処刑したら、

 それで連鎖的に他の転生者も巻き込まれるだろ。なんで地球から来た奴を

 たかが8000億ダナーの損害で訴えるんだよ? お前はむしろ被害者だろ。」


 クーロンは真顔で話している。まだ信用できないジンは、こう反論した。


「ナジュリは今までオレを助けてくれたんだぞ!! あいつはそんな奴じゃ_」

「それが王の命令だったら、お前はどう思うんだ?」

「!? 王はオレを助ける・・・王の目的は転生者の・・・保護!?」

「いいか。よく聞けよ。まず、この世界の科学技術は地球から転生した、

 シェーンという男が発展させた。彼がコンピュータを開発させた。」

「・・・スターク・ジョナスだ。前世でオレが目標とする人物だ。」

「本当の名前はそうなのか。俺もあの人のことは尊敬しているぜ。」

「お前もか!? ・・・あとマシュアから聞いたが、お前は人工知能の神を

 作って、ロボットを新しい種族にしようとしているヤバイ奴だって_」

「それこそ、陰謀論だぜ。うちの会社のロボットを種族にすると、労働法の

 餌食えじきになっちまうだろ。宇宙開発では、生物よりもロボットが有効なんだ。

 俺はブラックホールの中でも活動できるロボットを開発している。俺はな、

 ブラックホールからホワイトホールを発見し、そこを通れば地球があると_」

「はぁ!? ホワイトホールの向こう側に地球があるのか!?」


 ジンはクーロンが地球へ行く方法を既に見つけていることに驚いた。


 クーロンは話が脱線したと思い、ジンに対して王の真の目的を語り始めた。


「俺も権力者だからな。王も気を許した。王が俺に直接、野望を語ったんだよ。」

「野望・・・ミドロワ王は、ヴァドールの支配じゃ飽き足らないのか?」

「王は宇宙制覇を目指している。どこまで支配できるのか、試したいのさ。

 知的生命体がいる星には友好を装い、頃合いを見て、自分の魔法で消すんだ。

 ・・・ジョナスが居なくなったようにな。今から50年前、核の魔法実験を見た

 ジョナスは王に抗議した。そして次の日、王国政府はジョナスが行方不明だと

 メディアに公表した。おかしいだろ、なんであの人が消えちまうんだ。」

「・・・ウソだろ? ジョナスは、王に暗殺されたって言いたいのか!!」

「真実は誰にも分らない。だが、今のミドロワ王、マキシマス8世は俺に

 こう言った。『余は、永遠に続く我が国の安寧あんねいを望むのだ。』とな。他の国が

 ミドロワよりも軍事力があることが不安なんだよ。だから地球人がこの星に

 転生したら、地球人を安心させ、逆に地球人から情報を収集しているんだ。」


 ジンの中で、だんだんクーロンの話が分からくなった。そういえば、ナジュリは

 経政連の話はしても、ミドロワ王国のことは一切言っていないことに気づいた。

 それは、ナジュリが王のスパイだったからか。オレを王から遠ざけたのか!?


 まだ疑っていると思ったクーロンは、ジンにナジュリの目的を語った。


「うちの人工衛星にも情報が集まる。ナジュリは王と何度も会っている。

 王の命令で東ゼルマニアの独裁者、マルコフを殺したのはナジュリだ。」

「・・・ああ、それはマシュアも言っていたな・・・。」

「誰もが第一印象で、そいつの全てが分かると思っているが、スパイが一番

 やりやすいのは、単純な奴だ。肩書や見た目で、ちょっと優しくされたら、

 自分が認められたと勘違いする。もし権威のある人物の腰が低かったら、

 賢くない奴ほど見下す。そう油断してくれた方がコントロールしやすい。」

「愚者を装うのか。まるでタロットカードだな。」

「ま、その話は置いておこう。ナジュリは、お前を利用してロズノフを倒す。

 ロズノフの目的は、王の上位存在である、『神』の具現化だからな。奴らは、

 神宝計画しんぽうけいかくという名前の計画を進めているんだ。その目的は、全生物の

 意識を一つのAIに集積し、肉体を持たない量子情報生命体『電脳神エーアイゴッド』を

 この世に誕生させることだ。俺らを含む全生物の意識は、神に吸収される。」


 なんだそれは。まるで昔見たアニメやゲームの話だぞ。一体どうやって!?


 ジンが黙っていると、クーロンはロズノフがどうやって吸収するのかを教えた。


「現在起きているクラウド・ブレインデータ強奪事件だ。この星では、VRゲームが

 流行っている。そのデバイスから意識を奪う。奪った意識をAIに学習させる。

 無限に奪い続け、AIの技術的特異点シンギュラリティを起こさせる。AIは様々な人格を理解し、

 そして吸収した生物の意識を統合させる。ロズノフもイベントホライズンを

 越えて、地球に到達したいんだ。量子情報生命体となって通り抜けるためだ。」


 その後もジンは、クーロンから王とロズノフが地球侵略を考えていることを

 教わった。王は平和パックス・ミドロワーナ、ロズノフは電脳神エーアイゴッドの創造だった。そしてジンは、

 クーロンに尋ねた。クーロンが地球を探したいのはどうしてなのか気になった。


「じゃあ、お前は一体地球を見つけたら、何がしたいんだよ!!」


 クーロンはドヤ顔でジンを見つめると、笑いながら話した。


「決まってんだろ!! 地球人と一緒に宇宙の謎を解き明かすんだよ!!!!」


 クーロンは椅子から立ち上がり、嬉しそうな顔で、ジンに自分の目的を語った。


 地球人は自分達と同程度の文明レベルを持っている。それなら宇宙開発も進む。

 宇宙を開拓するのは莫大な金と時間が掛かるが、地球人とヴァドール人が力を

 合わせれば宇宙の謎が分かると喜んだ。ジンは、クーロンが分からなかった。


 クーロンは陰謀論を語っているのか、それとも事実を述べているのか、

 ジンは、まだ結論を出せなかった。一方、ナジュリも動き出していた。

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