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サイバーファンタジーの異世界で本気出す  作者: 南田華南
コレクター編

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第12話 面接

  ジンがマンションに到着し、ベンジャミンと別れた後、

 ジンが目指す2007号室の近くに、謎の男が騒いでいた。


 「お願いします!! ミシェルさん!! 社長に会わせてください!!」


  視界に男の姿が入った。泣きながら両手でドアを叩いている。

 ボサボサ頭で、黒いヒゲと茶色い目が特徴の男は語り出した。


「もう俺どこにも行くところがないんです!! 会社なくなって、

 おやっさんが言っていたゼッカード社長のところに行くしか

 ないんです!! 俺を・・・俺を・・・働かせてください!!

 何でもしますから!! 営業でも雑務でも何でもやります!!」


 このまま放置すると近所迷惑になると考えたジンは男に話しかけた。


「おい、やめろ。近所迷惑だ。」

「!! あ、あ、あ、すいません!! ・・・ん?」


 ボサボサ頭の男はジンを上から下へ見つめると、ジンに言った。


「ジン・・・社長・・・ですよねぇ!? 報道動画で見ました!!」

「・・・・・・ああ。そうだが?」


 突然男は土下座し、下を向きながらジンに対して懇願した。


「後生の頼みです!! 俺を雇ってください!! もう俺、ジン社長しか

 頼れる人居ないんです!! おやっさんが亡くなって、おやっさんが

 言っていた貴方なら、おやっさんを殺した奴に会えると思うんです!!」

「ちょ、ちょっと待て。おやっさんって、誰だよ?」

「マシュア社長です!! 俺ァ、おやっさんが経営する依頼代行の

 会社で営業やっていました。・・・申し遅れました!! 俺の名は、

 ゼン・デ・ロス・サントス!! ゼンと呼んでください!!」


  ゼンと名乗る男は顔を上げた。男の目からは大粒の涙が流れている。

 外の雨のように目から水が流れ、リクルートスーツもよく見ると雨で

 濡れていることに気づいたジンは、男を見下ろすように喋った。


「おい。オレはまだ世間じゃ殺人鬼扱いだぞ。他を当たれ。」

「嫌です!! 貴方と一緒に居れば、おやっさんの仇を取れます!!」

「・・・・・・オレが犯人じゃないと、思わないのか?」

「思いません!! おやっさんが毎日貴方のことを褒めてました!!

 貴方はどんな仕事もこなす奴だと!! 男が認める男に過言はねぇ!!

 俺ァ、おやっさんが人を見分ける天才だと思っていますから!!」


 ・・・マジかよ。どうする・・・さっきナジュリから来訪者に

 気をつけろと言われたが、いきなり現れたな。暑苦しい奴だ。


 ジンはゼンに警戒しながら、ゼンに向って話し始めた。


「どうやってこの場所を知った? ネットじゃまだオレがここに

 住んでいるとは知らない筈だろ。お前にオレの場所を教えた奴が

 居るだろ。答えろ!!」

「・・・・・・いません。」

「あ? 言えない?」

「いえ!! いません!! 俺ァ、ミシェルさんが投稿した画像をAIに

 検索させて、自力でたどり着いたんです!! ミシェルさんがSWSに

『念願のレストラン、ル・マルガリーテでウニの生パスタ旨し。

 夜景も綺麗でござる。』と、この住宅街にしかない料理屋から、

 この近くに住んでいると思って、速攻で来たんです!! そしたら

 ミシェルさんが居るマンションに偶然清掃ロボットが入ってて、

 そこで俺ァそのままマンションに入れたんです!!」

「・・・・・・・・・・・・・・」


 ミシェル・・・なにやってんだよ。そしてセキュリティざるじゃねえか。

 なんで不審者がマンションに入っていたのをロボットは警備会社に言わない。

 うーん・・・まだ聞きたいことがあるが、こいつと廊下で_____


  二人が廊下で話していると、突然2007号室のドアが開いた。

 ドアの隙間から、ジト目のミシェルが覗き込んでいる。

  それを見たゼンは、物凄い勢いでドアの隙間に顔を挟んだ。

 いきなり近づいた男にビックリし、ミシェルはドアから離れた。


「お願いします!! 中に入れて話を聞いてください!!」


  ゼンは泣きながらミシェルに懇願した。ジンは呆れながら、

 ドアの隙間に挟んで熱く語るゼンに向かって話しかけた。


「分かったよ。とりあえず、立て。ボディチェックする。

 その後で、お前を中に入れるか決める。」

「・・・!! ありがとうございやぁす、ジン社長!!

 俺ァ、俺ァ・・・本当に面目ねぇ・・・!!」

「いいからさっさと立て。ほら、両手を上げろ。」


  ジンは念入りにゼンの体をボディチェックした。

 どうやら機械化人間サイボーグではなく、ゼンが着ている服も

 光学迷彩機能はないようだ。武器も持っておらず、

 そのままマンションに来たようだ。ジンはゼンを

 中に入れることに決め、ゼンは頭を下げた。




 ジンのマンション 2007号室 居間





 ゼンは正座しており、ソファに座るジンとミシェルに話しかけた。


「これが俺の履歴書です。どぞ。」


  立体映像ではなく、胸ポケットからぐしゃぐしゃに濡れた紙を

 渡してきたゼンに、座っているジンは布マスク越しに話しかけた。


「あー、それはあとで見る。今から面接だ。履歴書に書いていないことを

 面接で話したことが分かったら、オレはお前の採用を断る。それでいいな?」

「はい!! 宜しくお願いします!!」

「まず、志望動機だ。うちの会社、『Bocchiボッチ』を選んだ理由は?」

「御社は創業者お一人で業務をこなすとお聞きしました!! そこで自分なら

 ジン社長の負担を軽くするために貢献できると思いました!! 前職では営業、

 その他に備品補充も担当していました。前の職場でも実績を誉められました!!」

「・・・次だ。お前の得意なことはなんだ?」

「はい!! 営業とカラーテです!!」

「あ? カラーテ?」

「カラーテとは、打撃を主体とする格闘術です!! 俺ァ、オリエント地区の

 出身で、前世は格闘家だったと言う父親と一緒に稽古していました。

 おかげで、素手で鉄を殴ったり、手刀で斬れます! もし鉄板か鉄製の

 シールドをお持ちなら、今から証明できます!!」


  ジンは片手で目元を隠した。いきなり地球で聞いた空手という言葉を使い、

 しかも手刀で鉄を斬れると言い張るゼンに対して、理解が追いつかなかった。

  ところがそれを聞いたミシェルが立ち上がり、部屋に入っていった。数分後、

 部屋から鉄板を持ち出してきた。ミシェルは鉄板を見せると、ゼンに言った。


「じゃ、今から証明して。これ、ジンくんの素材にする予定だったもの。」


 ミシェルは無表情で、ゼンの目の前に鉄板を置いた。ゼンはこう言った。


「了解です!! では、鉄板の上を持っていて下さい!!」


  ミシェルが両手を上げて鉄板を支えた。するとゼンは立ち上がり、

 左手を握り、右手に力を込める。ゼンの体から白いオーラのような

 気体が放出された。ジンは今起きていることを疑った。白いオーラが

 突然赤いオーラに変わると、ゼンは声を出して右手を鉄板に当てた。


鬼神流きしんりゅう・・・九沙那儀クサナギ!!」


  開掌の形で小指側の側面を鉄板にぶつけると、レーザーで焼き切れたように

 鉄板は真っ二つに分断された。ゼンの右手には赤いオーラがまとわりつき、

 分断された鉄板からは熱で焦げた匂いがし、溶解した鉄が目の前に現れた。


  それを見たミシェルは持っていた鉄板ごと、仰向けに倒れた。

 ジンがすぐさま立ち上がり、ミシェルの体を抱きかかえた。

  どうやら気を失ったようだ。ゼンの気迫と今起きた現象で

 頭が混乱していたミシェルは、正気を保てなかった。


  ゼンは両手でXのような形を作り、素早く両手を腰の位置に置いた。

 そして、不思議そうにゼンを見つめるジンに対して技の説明を始めた。


鬼神流きしんりゅうというのは、カラーテの正式名称です。創始者はうちの親父です。

 そしてさっき社長達に見せたのは、初歩的な技ですね。体内の活力ルン

 限界まで高めて、小指側に集めます。そして熱を帯びた手で鉄を斬ります!!」

「は・・・? ちょっと待て、活力ルンってなんだ!?」

「気功です。この異世界の生物なら誰もが持つ生命エネルギーです。」


 いきなり専門用語を言われて困惑したジンに対し、アミが話しかけた。


「ご主人様、アミが推論するに量子操作に近いです。ゼン様の右手の側面に

 量子に含まれる電子と光子を高エネルギーに変換し、衝突させることで、

 目標に対し指向性のエネルギーを照射したと推測します。」

「!!」

「ただ、先ほどゼン様の生体情報を分析したところ、ゼン様は魔族でありません。

 AI使わないで魔法を発生させたとなると、アミには到底理解できません。」


 アミの疑問を聞いたジンは、目の前に立っているゼンに話しかけた。


「おい。お前、どうやって魔法を使ったんだ? 魔法生成AIはあるのか?」

「あー・・・一番安いAIが両手の手の甲に挿入したマイクロチップにあると

 思います。昔、親父に病院に連れられて、そこで外科手術を受けました。」

「・・・・・・つまり、お前の手には魔法生成AIがあるのか。」

「え!? そうなんすか? なんか集中すると頭の中に数式みたいなのが

 毎回思い浮かぶんですけど、すぐ消えるんで気にしたことなかったです。」

「普通は脳インプラントに組み込むんだがな・・・伝達速いし。」


  ジンの話を聞いたゼンは笑った。笑っているゼンを尻目に、ジンは

 不可解な空手を使う男を試験採用することに決めた。もし目の前の

 男がロズノフのスパイだったら、その時は鉄を斬るヒトと戦うことに

 なると思索した。ジンはミシェルをベットまで抱きかかえて運ぶと、

 再び正座しているゼンに、冷蔵庫から取り出したピザとジュースを

 渡した。その後、ジンとゼンは数時間、二人で昔のことを語った。

  こうしてジン・ゼッカードは新たな従業員を雇うことになった。


 次の日、ジンは新たな会社名を考えることになった。


  ゼンを雇用したことで個人経営者ソロプレナーじゃなくなったジンは、昔のジンが考えた

 会社名も変えるべきだと思った。しばらくして、ジンは立体映像を目の間に

 出現させ、その映像に触り始めた。数分後、会社名『ワイルドパンク』の

 メッセージが画面に現れ、ジンはミシェルとゼン、アミの名前を登録した。

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