彼女に愛を向けている理由を少し考える。
私は付き合っている彼女のことが好きだ。付き合うなら彼女以外はあり得ないし、来世もその先も、彼女がいい。
彼女は境界知能だ。しかし私は、彼女が周囲の人間より劣っていると感じたことはない。付き合った当初から、「どんな状態になっても、私がいる」と伝えているし、「〇〇は、私と対等だ」とも言っている。
確かに、愛着障害による他責や浮気、低レベルな嘘はあったが、それは境界知能以外の知能を持つ人間にも見られるものであるから、境界知能特有の問題ではないと感じている。
――彼女は、一般的な人間に見られる策略や利益を獲得しようとする打算をしない。私は彼女のこの特徴を「尊敬できるもの」として敬愛している。
ゆえに、彼女は私と対等であり、私が好きになった人であり続けている。
仮に、世界一の美女や世界一のお金持ちが私にアプローチをしても、それらの外部的特徴は、私にとっては何の価値もない物であるため気持ちが動かない。
彼女の「打算をしない」という特徴の前では、全てのものは無価値だと感じる。
⋯⋯それを聞くと、「『打算をしない異性』が現れたら乗り換えるってことか?」と考えるかもしれないが、その異性は、私と彼女の15年の歴史を越えることはできない。
無理だ。
つまり、私は彼女の打算をしない性質に敬愛を持っており、15年経ったいまでも、そのままでいる彼女に愛情を持っていると言える。
【あとがき】
――そういえば、私は彼女と15年も付き合っているわけだが、「⋯⋯なんで15年も付き合っているのに結婚してないの?」と疑問に思う人がいると思う。
その理由は単純で、彼女の姉に気を使っているからだ。
私は少年院に入っていた。
姉の夫は警察官だ。
警察官は昇進するときに、身内に犯罪者がいると昇進しにくいという噂がある。
私は法的にも犯罪者ではないし、前科持ちではないのだが、そんな昇進にまつわる噂が関係してか、付き合い始めた私たちの関係に、その姉は「私の幸せを壊さないで!!」と怒ってきた。
私たちは何もしていない。
ただ、付き合って笑っていただけだ。
だから私は、彼女と結婚していない。
これからもしない。
あくまでも噂なのだろうが、それによる不安をより刺激する行動をとる意義もない。




