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脱走ゴーレムは働きたくない!  作者: 173号機


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第43話 こねこね機とこねこ

▼26.07.08後書き追記 ▼26.07.21誤字修正

 結果から言うと、ペナルティ実習は続行になったよ。

 僕らを連れていくと言い張るリヴィアとそれに賛同する僕に対して、頑として首を縦に振らなかったんだ。


「でもさ、さっきも言ったけど、もうペメピゾンマカボニーの伐採は終わってるんだよ? 罰はクリアでしょ?」

「だからさね。最終日まで楽しい遠足を満喫できるじゃないか。アタイと鬼ごっこして遊ぼうじゃないか」


 なんてことを言われた。嫌すぎる。

 しかもギガゾディア教授は冒険者ギルドにも顔が効くらしくて、リースを使いに出してギルドマスターに話をつけちゃった。僕の居場所を突き止めた理由ってのを責め立ててね。

 リヴィアたちは悔しそうな顔してたよ。今はペメピゾン森林の高~い場所で魔物を狩ったり採集をして時間を潰してるらしいよ。


「あ~あ。ロイたちに会いたかったなぁ」

「びょ~」

「まだ到着していないのだろう?」

「シャーーーー!」

「そうなんだけどさぁ……」


 解放された僕とジェダは、燃え尽きて灰と骨と魔石、あと土や岩だけになったペメピゾン森林の五番目から下の森、第一野営地からすぐの所へ戻ってきた。放火の後始末をしなきゃだからね。

 ちなみに、さっき動かなくなったネコも一緒だよ。トビハネユリブドウにやられてもうダメかと思ったけど、ぎりぎり間に合ってたみたいなんだ。ユックの聖火魔法はスゴいね。

 ネコはジェダにシャーシャー言ってるけど、僕にはベタ甘。背中に乗せてくれてるんだよ。尻尾四角錐(テールピラミッド)派の僕でもついコロッといっちゃいそうな可愛さだ。


「それにしても驚いたよね。寮に出たっていう不審者がリヴィアの仲間だったなんて」


 そう、僕がオーラメイダーを探して夜な夜な徘徊してた同じタイミングで、リヴィアの仲間の箱族も僕を探して男子寮を調査してたんだって。 

 箱族って見た目はニンゲンだけど、色んな種類の箱になれちゃうから潜入も簡単だっただろうね。

 いや~、自首しなくてよかった~。不審者は僕じゃないってことで片付きそうだもん。ていうかそもそも僕はバレてなかったってことだしね。無罪無罪。


「しかし、勝手に抜け出してきて、また怒られるのではないか?」


 ネコに怯みつつもジェダは隣にぴったりくっついてる。バイバイしようとしたのが、だいぶ堪えてるみたいで、ちょっと離れようとしただけでガシッて腕を掴んでくるんだよ。まあその度、ネコにシャー! ってされてるんだけどね。


「大丈夫じゃないかな。皆、ついて来てるし」

「なにっ!?」


 やっぱり気付いてなかったか。

 きっと僕たちが離れていくとこに気付いたギガゾディア教授が、ついでだからって第三野営地に集合したばかりの学生たちに尾行訓練を言い渡したんだよ。

 突然の予定変更に慣れてそうな五回生たちはともかく、ヘパイスはぐったりしてそう。メネスとパールも疲れてるかもね。オーラーメイダーは……ふっ。


「もっと気配を感じ取ってみなよ。すぐわかるから」

「むう……」


 ジェダは首を捻ってるけど、ギガゾディア組は隙あらば僕らを殺そうかって感じがしてて、アンドロミカ組は楽しそうにコソコソお喋りしてるからどっちも見付けやすいよ。

 一応、監視してはるんだろうけど、あとで教授たちにバレバレだったよってチクらなくちゃ。少しでもギガゾディア教授の興味が僕たちから逸れて欲しいもんね。


「……ここら辺でいっか」


 森の中心辺りで僕はネコから降りた。


「本当に元に戻せるのか?」

「元には戻さないよ。もっと良いところにするからね」


 当初の予定とはちょっと違うけど、既にネコとは相談済み。ジェダの尻拭いも兼ねて、ここをパラダイスにするって決めたんだ。へへへ。

 てなわけで、先ずはフォグミストヘイズですべての灰と骨と魔石を霧にする。そしてこねこね機で、こねこね、こねこね、こねこねこね……ふぅ、なんとか魔核にすることができた。だいぶ小さいけど、まあこんなもんかな。

 ジェダは魔核を見たことがないようで、不思議そうな顔をしてる。


「はい、これ食べて」


 差し出すと、手のひらに収まるサイズの魔核をネコは嬉しそうに丸呑みした。


「びょ、びょごごごごごごっ!!」

「な、どうした!?」


 目をカッと開いて震えだしたネコを見て「あれほど私を責めたくせに毒を盛ったのか」なんて的外れなことを言うジェダは放っておいて、不滅のアルコルトルア管理マニュアルを起動する。


「えっと、確か……あ、あった。これこれ」


 マル秘情報にある後輩の増やし方って項目を参照して、ネコの回りに魔法円を描いていく。これはあんまり見せない方がいいから、アンバーボルト教授の(・・・・・・・・・・)種族スキル【クラウディアツリー】を発動して尾行してる学生たちが近付けないようにしておく。ついでに同じく教授の固有スキル【NO.9】を変化中のネコに使っておいた。

 これ、真面目で曲がったことは許しません、みたいなアンバーボルト教授のものとは思えない卑怯すぎるだろってくらいの反則級固有スキルなんだよ。極軽度の腰痛を受け入れたって絶対連結したいって思ったもん。


「ネコさん、ネコさん、オエッてするときはオーラーメイダーの母国方面にしてね」

「びょ~!」

「それから、そのうちアルファド(馬鹿)アドイード(二人)が先輩面して押し掛けてくると思うけど、気に食わなかったら殺っちゃっていいからね。どうせ死なないから」

「びょご!」

「あと、僕のことは内緒にしてね。あとあと、ジェダが本当にごめんね」

「ぎょが!!」


 ブラッディデビルキャットからペネビゾンデビルグレープタイガーっていう新種の仔猫型魔物に変化したネコは「ぎょがががが!」って一鳴きして森を復活させると、僕にそっと頬擦りしてから姿を消した。


「い、いったい何をしたんだ……」

「この森をダンジョンにしたんだよ」

「ダ、ダンジョンだって!?」


 ずっと青い顔で見てたジェダがもっと青ざめた。そりゃそうだよね。Dランクの魔物がいきなり最上位クラスの魔物、ダンジョンマスターになっちゃったんだもん。気圧されて当然。むしろ失神しなかったことが凄い。


「そうだよ。これで元通りどころかパラダイスの完成だよ。嬉しいね」

「パラダイスなもんか! ただでさえ危険な場所が、より危険なダンジョンになるだなんて最悪だ!」

「そんなことないよ。ダンジョンの少ないアルフトラズマ大陸に世界で九番目に豊かなダンジョンができたんだよ」


 それにあのネコはフルマトリローナ魔法大学の使い魔には優しくするって約束してくれたしね。きっと良い遊び場になると思うな。

 なんてことをギガゾディア教授にも言ったら、大目玉を食らった。

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