第42話 ヒトラミアの女
▼26.07.07誤字修正
オリハルコンネットには封魔と対ゴーレム仕様の魔法文字が刻まれてた。それなりの知識と技術を持ったヒトが丁寧に作ったってのがよくわかる。
でもさ、僕を捕まえたきゃそれなりじゃあ足りないよね。
向こうもそれがわかってるのか、魔法使いやテイマーが硬直魔法だったり服従のスキルを使ってきたりしてる。かなり人数が多いから、共同で依頼を受注してるのかも。
僕を捕えたい理由は優秀なダンジョン産ゴーレムだからだろうけど、もしかするとルトルさんのせいかもしれない。ルトルさんに似てる僕は厄介ごとに巻き込まれるって、元ご主人が言ってたから。
「うっとおしいなぁ……」
さっさとこの場から立ち去りたいのに。ああ、ほらジェダに追い付かれちゃった。
「な、何をしている!!?」
大声を出したジェダにチラッと視線をやる冒険者たちには躊躇いもなにもなくて、粛々と僕を回収しようと行動していく。
「そやつは私の使い魔なのだぞ! 危害を加えるなど許さん! 今すぐ解放しろ!」
わあ勇ましい。けど今はそれもなんか腹が立つ。
「ほう、お前さんがこいつの主なのか」
冒険者たちに指示を出していた、白と緑の入り交じった長髪のヒトラミアのお姉さんが、ジェダに近付いて目を細める。次の瞬間、拳がジェダの鳩尾にめり込んでた。
ジェダは胃液を吐いてうずくまちゃったけど、ちょっとだけ胸がスッとしたよ。
「ただちに捕縛せよ! イコルアと共に連れていく!」
ん、このヒト、僕の名前を知ってる……オリハルコンネットを霧にして反撃しようとしてたけど一旦止めておこう。
「ねぇ、もしかして世界使い魔支援保護機構のヒト?」
短髪のお姉さんに声をかけたら少しビクッとされた。
「ウチらがかい? ハハッ、確かにガラも悪けりゃ血の気も多い奴らばかりだが、あんな異常者どもと一緒にされちゃ困る。ウチらは真っ当な冒険者さ」
「真っ当な……? う~ん、そうは見えないけど」
自分で言うだけあって、お姉さんもその仲間も相当ガラが悪い。山賊だって言われた方がしっくりくる。
「見えなくてもそうなのさ。ほれ」
お姉さんが冒険者登録証を見せてくれた。Sランクだ。名前はリヴィアか……あ、解析解析っと。
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【名 前】リヴィア
【種族名】ヒトラミア
【出身地】アルフトラズマ大陸西部グラエキア海イオゼ島
【職 業】冒険者,ドルイドランサー
【性 別】女
【年 齢】239
【レベル】201
【体 格】
〖上半身〗122cm〖下半身〗368cm〖体重〗278kg
【能力値】
〖体〗BB〖攻〗S〖守〗BB〖速〗A〖精〗SS〖魔〗AAA
【属性一覧】
〖先天〗火
〖変化〗水,氷,雷,愛
【魔法一覧】〖中級〗火〖上級〗火〖特級〗-
【スキル一覧】
〖固有〗ラミャヘッズ
〖種族〗誘惑,属性変化,スケイルドレス,ドローンアイ
〖習得〗千連,飛翔槍,オディン槍術,リコルヌスピア
ミスルトウフィールド,ラッキークローバー,他多数
【特記事項】
魔物のラミアによく似たヒト種。魔物のラミアにできることはヒトラミアにもできると言われるほどそっくりだが、完全な別種。変化属性の数で何度生まれ変わったかがわかる。冒険者パーティー『海鳴りの岬』のリーダー。ネズミ肉と蛇肉が好物。ドライアイ。飲酒過多による脂肪肝。デビルクラミジア感染症。
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うむむむ……ガルルーといい、積極的に連結したいのに限って嫌な病気もちなのなんでなの。
「いやぁ、あんたが暴れなくて助かったよ。依頼書には頭のネジを全部どっかに落としてきた、ヤバい奴だって書いてあったからね」
「ほぁ? 僕のボディパーツにネジなんかないよ?」
ネジ付きなんて失礼じゃない? それはもうゴーレムじゃなくて機械人形じゃん。
「……そうかい。ま、それはいいとして、あんたらをギルドに納品するのがウチらの仕事だ。悪いけど大人しくしててくれよ」
「もしかして僕、バラバラにされて売られちゃう?」
「まさか! アルフトラズマ大陸の北部中にあんたの捜索依頼が出てんのさ。魔法学校を中心に探してくれってな」
「捜索……もしかしてロイたち!?」
「さあね。依頼主は公表されてない」
きっとそうだよ。だって僕が探してって言った場所にドンピシャで捜索依頼だしてるんだもん。
わ~、嬉しいなぁ。
なんでかジェダも捕獲されてるけど、このままついて行けば三人に会えるかな。
「ねぇねぇ、依頼主は冒険者ギルドにいるの?」
「いや。ただ別の大陸からこっちに向かってきてる最中だってのは小耳に挟んだね」
うんうん。絶対そうだ。ロイとユックとついでにオル。メネスを紹介したいな。ギルドに行く前に第三野営地へ寄ってくれないかな。
「聞いたジェダ? 僕の友達が迎えに来てくれるんだって――ふぁ?」
ちょっと見てない間にジェダは猿轡をされて、魔法封じとスキル封じの腕輪もつけられてた。
「なんかジェダ、罪人みたいじゃない?」
「みたいじゃなくて罪人だ。依頼主が自分たちのゴーレムが拐われたって訴え出たんだとよ」
「へぇ~。そうなんだ」
そこは友達のゴーレムって言って欲しかったな。ちょっと残念に思ってると、ジェダがむぐむぐ言い始めた。僕に助けを求めてるっぽい。
「……さっきのこと謝るならいいよ」
「むぐっ!? むぐぐぐっ!」
ちょっとなに言ってるかわかんないね。まあでも了承したってことにしてあげよう。
「ジェダが僕を召喚したのは事故だよ。影精霊の悪戯が原因だったってわかったんだ。だから罪に問わなくていいかな」
「影精霊? なるほど。そういうことなら依頼主も納得するかもしれないが、連れて行くことに変わりはない。じゃなきゃ報酬が減っちまう」
「いいけど、今は実習中なんだよね。教授たちに説明してくれる?」
「かまわないよ」
「あ、その前にペネピゾンマカボニーを五十本伐採してくれないかな」
「むぐぅ!」
ジェダはぶんぶん首を振ってるけど、僕は早くロイたちを安心させてあげたい。この人数がいれば伐採もそう時間がかからないと思うしね。
「いいのかい? ウチらを使うと高いよ?」
「いいよ。払うのはジェダだし」
「むぐぐぅ!!?」
もっと首を振り始めたジェダは見なかったことにして、僕はリヴィアたちに伐採をお願いした。
▼26.07.06 タイトル変更




