第30話 不審者情報
▼26.06.22誤字修正 ▼26.06.27誤字修正
自主練は昨日とうって変わって、最初からジェダが大人気だった。それは僕も同じで、特に一般ラウンジの使い魔がたくさん話しかけてくれたんだ。それより上の使い魔は遠巻きに見てたかな。
結局、お喋りしてただけで朝ごはんの時間が来ちゃったよ。
「雷、凄い音だったね」
「ふぁら~」
「たまに無音だから気付かなくて焦るときあるのよ」
今は一般ラウンジで朝ごはんを食べながら授業の開始待ち。自主練帰りに合流したシャノンとその友達も一緒だよ。お姉さん気質なゴルゴンバードのデーサとむっつりスケベなフラワーリザードのトーマス。基本的に主と使い魔は一緒にごはんを食べないらしい。それぞれで情報交換する意味があるんだって。
今日の草はアンバーボルト教授が地元から取り寄せてくれた高級雲草でとっても美味しい。魔力がミチミチに詰まってるんだ。
草なんて食べ物じゃないと思ってたけど、認識を改めたよ僕。
「そういえば今日も魔法実技は午後からなんだっけ?」
「ふぁらら~」
メネスがそうだと頷いてくれる。
「私たちは食べたらすぐ行くわ。リリーたちは五回生だから」
シャノンのご主人はリリカって名前ですごくモヤッとするんだけど、皆リリーって愛称で呼ぶからさらにモヤッとする。僕もリリカ7号のことリリーって呼んでたからね。
「聞きたかったんだけど、シャノンの主ってリリカ人形と関係あるの?」
「ふふっ、聞きたいの?」
デーサが意味深に微笑んだ。
「実はリリカ人形ってリリーのご先祖様がモデルになってるの。実家はすんごいお金持ちなのよ」
シャノンはそう言ってリリーにプレゼントしてもらったていう、金色の耳飾りを得意気に揺らしてみせる。
トーマスは顔を赤らめてる。どうでもいいけど、トカゲとウサギって交配できるのかな。
「ふぁら~」
あ、メネスも僕があげたテールバングルをアピールしてる。嬉しいなぁ。撫で撫でしようっと。
「そ、そういえば聞いた? 昨日、学生寮の北男子棟に変態が出たんです。各部屋を回って、寝てる学生の顔をじっと見つめるらしいですよ」
さっき僕が見てたのに気付いたトーマスが、焦り気味で話題を変えた。
「なのそれ、こわ~い」
「女子棟も不審者の注意喚起がでてたわ」
シャノンとデーサが嫌ぁ~って顔になった。
う~ん、それ絶対僕のことだよね。コルキスフレームになってたから暗闇と同化してたはずなのに、なんでバレたんだろ。
「……それ僕だね」
「ふぁっ!?」
「「「えっ!!?」」」
あちゃ~、皆びっくりしちゃった。
「実はメネスの主を探してたんだ。一昨日は見付けられなかったから、昨日は北棟に行ったんだけど、見付からなかったんだよね」
「ふぁ~ら~?」
「えっとね、メネスの主を辞めてくれないかってお願いしたくて……」
何で? と傾いて転けたメネスを起こしながら理由を話すと、他の皆も何で? って顔になった。
本当は見付け次第ぶっ殺そうと思ってたんだけど、僕ヤバいやつって噂されてるらしいから言わないでおいた。
「その方がメネス嬉しいかなと思って……」
「ふぁららぁ……」
無理だよってメネスはしょぼくれる。
「早目に自首した方がいいですよ。教授会議でも取り上げられるみたいってガインが言ってたましたから」
トーマスが教えてくれた次の瞬間、ズガガン! って落雷の音が聞こえた。
「詳しく聞きたいけど行かなくちゃ」
「また教えて」
「とりあえず俺たちは黙ってますからね」
シャノンたちはそう言い残してラウンジから出て行った。
「勝手にごめんね。嫌だった?」
「ふぁらら」
嬉しいよって言ってくれる。それから本当はそうしたいんだってことも。
なら僕のすることは変わらない。メネスに内緒でことを進められたらよかったけど、これからは一緒に考えよう。友達だもんね。
「ふぁ~ら~」
「え、そうなの!?」
なんとオーラメイダーは通いらしい。大学近くの一軒家を買って、そこで他の使い魔と暮らしてるって……そりゃ見付からないわけだよ。
でもメネスは使い魔の塔で寝泊まりしてるらしい。使い魔のうち必ず一体は大学内で生活する決まりがあるんだって。
「今日、行ってもいい?」
「ふぁらららら!」
ものすごい勢いで止められちゃった。オーラメイダーは隣国の王子で、護衛もたくさんいるんから危ないよって。
使い魔に暴力を振るう王族が是とされてるだなんて酷い国だ。僕の亡国発生装置が疼いちゃうよ。
それから僕たちはどうするのが一番いいか話し合って、昼ごはんを食べて魔法の実技授業へ向かった。




