第18話 どうした解析装置!
▼26.06.13加筆修正 ▼26.06.14誤字修正
▼26.06.19誤字修正 ▼26.06.20教授の年齢と名前変更
▼26.06.21加筆訂正 ▼26.06.25レギスが普段ニンゲン姿なこと追記
なんと、のん太郎丸の学友は誰も呼び掛けに応えなかった。三十分ずっと呼び掛けたんだよ。のん太郎丸は今、窓辺でぷるぷる震えてる。怒ってるのかな。
とりあえずこれでわかったのは、のん太郎丸は人望がないもしくは嫌われ者だってこと。僕は後者だと思うな。だって偉そうなんだもん。
にしても暇だなぁ……退屈しのぎにのん太郎丸を解析でもしようか。
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【名 前】レギス・フルマトリローナ(省略済)
【種族名】グリモアニアワラルー
【出身地】アルフトラズマ大陸中央部ワーデール地方
【職 業】学生
【性 別】男
【年 齢】18
【レベル】18
【体 格】〖身長〗192cm/96cm〖体重〗78kg/27kg
【能力値】〖体〗D〖攻〗C〖守〗G〖速〗B〖精〗C〖魔〗BB
【属性一覧】雷,影
【魔法一覧】〖下級〗影〖中級〗雷
【スキル一覧】
〖固有〗-
〖種族〗小さき書物,スペルイート,ポケットスメル
〖習得〗獣化,速読,言語解析,高速詠唱,ピンポンダッシュ
【特記事項】
かつて世界中に名を轟かせた雷帝の魔女フルマトリローナの直系子孫の19代目。雷属性と非常に珍しい影属性の二属性持ち。現代では絶滅が危惧される超希少種族生きた魔書とワラルー獣人の混血。普段はニンゲンの姿になっている。引っ込み思案だが心根の優しい青年。メガマラ。童貞。健康。本名のレギス・メキザパット・ウルテス・カヴァナフェリート・イルルス・サティクォ・ナッソッテ・ヤト・カロカスピリ・ヘネーゼ・デリガ・ラ・ク・ル・ス・マ・グ・ア・フルマトリローナは歴代のフルマトリローナ家当主の名を連ねたもので、ジェダ本人の名はレギス。なお、ジェダはこの地方で陰キャの意。
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こ、心根の優しい青年!!?
他にも気になるとこはいくつかあるけど、こいつの心根が優しいて、しかも引っ込み思案……うっそだぁ。
え、解析装置壊れた?
何度か目を擦ってもう一回解析してみたけど結果は同じ。念のためにさらに二回……やっぱり結果は同じだった。
あの超優しいロイですら「優しい」なんて情報は出てこなかったのに。
ぷるぷる震え続けるのん太郎丸に訝しな視線を送る。そしたら気付いちゃった。怒ってるんじゃなくて、泣きそうなのをグッと堪えてるんだって。
「ええ~?」
どうにもさっきの態度と印象が違い過ぎて困惑する。それになんだか可哀想に思えてきちゃうよ。でもダメダメ。言うべきことは言わなくちゃだ。
「誰も来ないね」
のん太郎丸はビクッと肩を震わせた。そして振り向いて何でもないよな顔をする。けど丸見えだったよ? 振り向く前にごそごそ涙を拭いてたの。バレてないと思ってんだろうけどさぁ……。
「あ、あいつらは真面目だからな。授業をサボるなんしないのさ。特に実技はな。うむ、最初からわかっていたさ」
三十分も呼び続けといてそれは苦しいよ。
「あ、そう。なら僕、もう行くね。友達の所に戻らなくちゃだもん」
僕が全部を無視して出ていかなかったのは、ご飯をくれたお礼だ。もう十分付き合ってあげたから終わりでいいよね。
「えっ……?」
うわぁ……止めてよ、そんな悲しそうな顔するの。僕が苛めてるみたいじゃないか。なんなの、そのメンタルが強いんだか弱いんだか攻撃。くっそぅ、せめて名前だけは呼んであげようかって気になるじゃないか。
「さっきはああ言ったけどのん太――ううん、レギスは送還なんてできないでしょ。召喚魔法使ったのは許したげるから、フェリペスアス大陸までの路銀ちょうだい。自力で帰るから」
んっ! と右手を出して催促したら、レギスはその手を見たままぽかーん。数秒後、僕の顔に視線を戻して自力とはなんぞやみたいな顔になった。
しょうがないじゃん! 僕まだデコイズ使えないんだから!
そういえば魔力Aのユックと連結しても開放されなかったな。全然意識したことなかったけど、デコイズを動かすための魔力量ってバカ多いのかも。
「一秒でも早く帰りたいの! ほら、早くちょうだい!」
「い、嫌だ……」
む、ケチだな。フルマトリローナって世界の三割を買えるくらいの財を築いた魔女でも有名なのに。受け継いだ財産くらいあるでしょ。
それにアルフトラズマ大陸とフェリペスアス大陸は隣同士。そりゃそれなりに距離はあるけど、お金持ちお坊っちゃんのお小遣い数ヶ月分くらいで賄えると思うんだ。
ここからあの灯台までじゃなくて、大陸を越える分だけで済ませてあげる僕はだいぶ良心的だよ。
「嫌だ、行かないでくれ」
あ、そっち。悪いけどお断りだよ。召喚魔法なんて魔物にしてみたら誘拐と同義だからね。許す、と言うこと聞いてあげるはイコールじゃないんだよ。
「お願いだ。お願いだ……」
うげっ、膝から崩れ落ちて泣き始めたぞ。情けなさ過ぎてハンサムな顔が台無し……でもないか。まあこの瞬間を切り取って絵画にしたがるヒトはいるかもだ。けど、情けないは情けない。
推測だけどレギスはこういう泣き落とし常習犯じゃないかな。圧倒的な助けてオーラにこ慣れてる感を感じる。あの偉そうな態度もこのための伏線だったんだきっと。
でもさ、あいにく美形が情けない顔でお願いしてくるなんて見慣れてるんだよ僕。だって元ご主人は毎日情けない顔晒してたもん。そんなんじゃ僕の気持ちは変えられないよ。
「初めて……初めて召喚できたんだ。子どものころから失敗続きで、ようやく俺だけの使い魔を喚べた。それがイコルアなんだ」
な、な、な、なんだってぇぇぇぇ!!?
今の言葉は酷い侮辱だった。
子どもの頃の召喚魔法っていったら、練習用のあれだ。Gランク魔物の中でも特に弱い、魔物かどうかも疑わしいお散歩草の召喚……そんなのを失敗し続けてるヒトに喚ばれて拒絶できなかったなんて、つまり僕あれ以下ってこと!?
あああ、僕も膝から崩れ落ちてしまった。ショックで涙が溢れる。そんな僕を見てどう勘違いしたのか、レギスはパッと笑顔になって抱き付いてきた。
「ああ、ありがとう! 私のために泣いてくれるとは、イコルアはなんて優しい使い魔なんだ!!」
抱きしめからの頬擦りに頬っぺにキスまで……いや、もう、ちょっと…………ダメだ。動けない。ショック過ぎて全身の回路がショートしたのかもしれない。
ただただされるがままになっていたら、バンッと部屋の扉が開け放たれた。
「静かになさいフルマトリローナ! 今は講義中なのです――んまっ!!」
入ってきたのは、オリーブブラウンの髪を三つ編みお団子ヘアにセットした神経質そうな女のヒト。縁のない銀色テンプルの眼鏡が一層、神経質さを助長してる。綺麗なヒトなのにコーディネートが悪い。
女のヒトは僕たちを見て何故か固まってたけどすぐにハッとして、杖を取り出してレギスに拘束魔法をかけた。
「なんとはしたない! 特別応接室で破廉恥行為など許されませんよ! 学長に報告致します!!」
「アンバーボルト教授――むぐっ!?」
ごろんと床に転がったレギスが弁解しようとしたけど、喋る前に「お黙りなさい!」って口も塞がれちゃってた。
教授かぁ。魔法大学の教授なら魔力いっぱい持ってるかな。それにロイたちと連絡できる手段をもってるかも。
僕は解析装置の再確認も兼ねて、真っ赤な顔で指輪型の使い魔に伝言を預ける教授を解析することにした。
解析結果
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【名 前】メリッサ・アンバーボルト
【種族名】スカイエルフ
【出身地】浮遊大陸セイアッド帝国西部離島ゲルタ集落
【職 業】大学教員,研究者,雲海の魔女
【性 別】女
【年 齢】2264歳
【レベル】69
【体 格】〖身長〗170cm〖体重〗59kg
【能力値】〖体〗E〖攻〗F〖守〗F〖速〗E〖精〗BBB〖魔〗A
【属性一覧】風,雲,植物,腐
【魔法一覧】
〖下級〗植物,水,風〖中級〗水,風〖上級〗水,風
【スキル一覧】
〖固有〗No.9
〖種族〗クラウディアツリー,スカイアロー
〖習得〗短縮詠唱,ゲイルフォース,クラウディブルーム
他多数
【特記事項】
空の暮らしに適応したスカイエルフ。出身地ゲルタ集落は青の雲森という秘境にある。クランバイア系の魔法学校出身者が他系統の魔法学校で教鞭をとるのは珍しい。職場では非常に神経質な反面、私生活は激ヤバだらしなさ。引っ越しを繰り返している。専門は属性融合。研究室では新しい融合の発見及び作成の可能性を研究している。極軽度の腰痛持ち。
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