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第4話「ライバルたちの文化祭」


十一月。


秋も深まり、街路樹が鮮やかに色づく頃。


現役高校生組にとって、一年で最も盛り上がる季節がやってきた。


――文化祭。


学校生活最大のイベントと言っても過言ではない。


しかし、M’s Create Entertainmentに所属する少女たちにとっては、もう一つ大きな問題があった。


それは――。


文化祭と芸能活動の両立。


◇◇◇


私立桜ヶ丘学園高等学校。


二年A組。


「綺星! 準備手伝って!」


「はーい!」


天ヶ瀬綺星はクラスメイトたちと楽しそうに教室を飾り付けていた。


今年の出し物は――


『お化け屋敷』


「綺星は受付ね!」


「えー! 驚かせる側やりたい!」


「綺星、怖がらせるより笑わせそうだから」


「ひどい!」


クラス中が笑いに包まれる。


そんな時だった。


クラスメイトの一人がスマートフォンを見ながら言った。


「そういえば、綺星って最近放課後忙しいよね」


「部活?」


「それとも彼氏?」


「違うよ!」


綺星は慌てる。


もちろん、芸能活動のことはまだ話していない。


言うべきか。


言わないべきか。


綺星は少しだけ迷っていた。


◇◇◇


一方。


私立白桜女子高等学校。


神代瑠璃寧は、クラスの合唱発表の練習をしていた。


「神代さん、ソロお願い!」


「え?」


「神代さん、歌上手いじゃん」


「うん!」


「お願い!」


結局、瑠璃寧がソロパートを担当することになった。


「緊張する……」


「大丈夫だよ!」


クラスメイトたちが励ます。


その様子を見ながら、瑠璃寧は思った。


(こういう時間も大切にしたいな)


女優になる夢。


でも。


高校生活も大事にしたい。


その想いは日に日に強くなっていた。


◇◇◇


都立青葉高校。


東雲月詠音は、相変わらず文化祭実行委員を務めていた。


「東雲さん」


男子生徒の佐野翔太が近づいてくる。


「何?」


「これ、看板のデザインなんだけど」


「うん」


「東雲さん、絵上手いから見てもらえる?」


「いいよ」


二人は並んで作業を始める。


「東雲さんって、本当に何でもできるよね」


「そんなことない」


「あるよ」


佐野は笑った。


「もっとクラスでも話せばいいのに」


「……苦手だから」


「もったいないな」


月詠音は少しだけ微笑んだ。


そんな何気ない時間も、彼女にとっては新鮮だった。


◇◇◇


そして文化祭当日。


午前九時。


それぞれの学校には多くの来場者が訪れていた。


綺星のクラスのお化け屋敷は大盛況。


「いらっしゃいませー!」


持ち前の明るさで、綺星は大人気だった。


「綺星って接客上手だね」


「将来サービス業向いてそう」


「いや、女優さん!」


綺星は思わず言ってしまった。


「え?」


教室が静まる。


「あ……」


数秒後。


「女優?」


「え?」


「どういうこと?」


綺星は観念した。


「実は……芸能活動してるの」


「ええええ!?」


クラス中が大騒ぎになる。


「本当に!?」


「嘘!?」


「だから最近忙しかったの!?」


綺星は照れながら頷いた。


「うん」


「でも、まだ新人だから」


するとクラスメイトたちは笑った。


「綺星なら絶対有名になるよ!」


「応援する!」


「サインちょうだい!」


綺星は思わず泣きそうになった。


「ありがとう」


◇◇◇


その頃。


白桜女子高等学校では、瑠璃寧が合唱発表を終えていた。


大きな拍手。


「神代さん、凄かった!」


「感動した!」


「歌手もいけるよ!」


友人たちが笑顔で囲む。


瑠璃寧も自然と笑顔になっていた。


◇◇◇


そして青葉高校。


文化祭終了後。


後夜祭。


校庭には多くの生徒が集まっていた。


「東雲さん」


佐野翔太が呼び止める。


「何?」


「文化祭、お疲れ様」


「ありがとう」


「これ」


差し出されたのは、月詠音が描いた看板の写真だった。


「記念」


「……ありがとう」


「また来年も一緒にやろう」


月詠音は静かに頷いた。


「うん」


◇◇◇


その日の夜。


M’s Create Entertainment本社。


文化祭を終えた高校生組が集まっていた。


「楽しかったー!」


「青春だった!」


「最高だった!」


皆、笑顔だった。


その様子を見ながら、美紅が言う。


「皆、いい顔してる」


私も頷く。


「うん」


「やっぱり高校生活って大事だね」


すると綺星が言った。


「私、文化祭で芸能活動してること話しました!」


「え?」


「皆、応援してくれました!」


瑠璃寧も笑う。


「私も友達に話そうかな」


「私も」


月詠音も小さく呟いた。


夢を追うこと。


学校生活を楽しむこと。


どちらも諦めなくていい。


少女たちは少しずつ、自分だけの歩き方を見つけ始めていた。


しかし。


そんな穏やかな日々の中で――。


ある質問が、事務所中を騒がせることになる。


「社長!」


「恋愛ってしてもいいんですか?」


その一言から、新たな物語が始まるのだった――。  



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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