↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
91/122

第1話「初めてのドラマ現場――新人たち、プロの世界へ」


「東雲月詠音さん、九重結羽乃さん、そして天ヶ瀬綺星さん。来月放送開始の連続ドラマ『青空のその先へ』への出演が決まりました」


朝十時。


M’s Create Entertainment本社大会議室。


私――篠原瑞稀の言葉に、新人たち十人は一斉に息を呑んだ。


「えっ……」


「ほ、本当ですか……?」


呼ばれた三人は、信じられないという表情を浮かべていた。


「本当だよ」


隣に座っていた篠原美紅が優しく微笑む。


「おめでとう」


「お、おめでとう!」


「すごい!」


会議室には拍手が響く。


しかし。


拍手を送りながらも、複雑な表情を浮かべる少女たちもいた。


神代瑠璃寧。


桜宮詩珠希。


白銀柚羽璃。


天星院澪珠。


全員が同じ夢を追う仲間であり、同時にライバルでもある。


そのことを、少女たちは少しずつ理解し始めていた。


「ただし」


私は言葉を続ける。


「今回は主要キャストではありません」


「皆さんは主人公たちが通う高校の生徒役です」


「台詞も多くはない」


「でも」


私は三人を見つめる。


「初めてのドラマ現場で学べることは、きっとたくさんある」


三人は真剣な表情で頷いた。


「はい!」


◇◇◇


数日後。


都内撮影スタジオ。


連続ドラマ『青空のその先へ』クランクイン当日。


「すごい……」


綺星はスタジオへ足を踏み入れた瞬間、思わず声を漏らした。


巨大な照明。


忙しく動き回るスタッフ。


衣装ラック。


メイクルーム。


そして。


数十人のキャストたち。


まさにテレビの世界そのものだった。


「緊張する……」


結羽乃が小さく呟く。


「私も」


月詠音も表情は固い。


その時だった。


「おはよう」


優しい声が聞こえた。


振り返る。


そこにいたのは――。


主演を務める篠原美紅だった。


「美紅さん!」


三人は慌てて頭を下げる。


「そんなに緊張しなくていいよ」


美紅は笑った。


「今日は失敗してもいい」


「まずは現場を楽しもう」


その言葉に、三人は少しだけ表情を和らげた。


◇◇◇


午前九時。


スタッフ全員が集合する。


「本日より『青空のその先へ』撮影開始となります!」


監督の挨拶。


続いてキャスト紹介。


主演・篠原美紅。


人気俳優たち。


ベテラン女優たち。


次々と紹介されていく。


そして。


「M’s Create Entertainment所属新人女優」


「東雲月詠音さん」


「九重結羽乃さん」


「天ヶ瀬綺星さん」


三人は緊張しながら前へ出た。


「よろしくお願いします!」


現場から温かい拍手が送られる。


「新人さん?」


「かわいいね」


「頑張って」


スタッフたちの声に、三人は少し安心した。


◇◇◇


最初の撮影は教室シーンだった。


三人はクラスメイト役。


月詠音には一言だけ台詞がある。


『おはよう、今日のテスト勉強した?』


たった一言。


しかし。


カメラが向けられた瞬間――。


「お、おはよう……」


声が小さい。


「カット!」


監督の声が飛ぶ。


「東雲さん」


「はい!」


「もっと自然にいこう」


「はい!」


二回目。


「カット!」


三回目。


「カット!」


月詠音の顔は次第に青ざめていった。


一方。


綺星も笑顔を作るタイミングが分からず苦戦していた。


結羽乃も立ち位置を何度も間違える。


プロの現場。


その厳しさを三人は痛感していた。


◇◇◇


昼休憩。


控室。


月詠音は一人で俯いていた。


「私……向いてないかもしれない」


「そんなことない」


声を掛けたのは美紅だった。


「でも、何回も失敗して……」


「月詠音ちゃん」


美紅は隣へ座る。


「私、デビューした最初のドラマで三十回以上NG出したことあるよ」


「えっ?」


「本当」


「美紅さんが……?」


「うん」


月詠音は驚いていた。


「誰でも最初は失敗する」


「大事なのは、次どうするか」


「……はい」


「それに」


美紅は微笑む。


「監督さん、月詠音ちゃんのこと褒めてたよ」


「え?」


「目がいいって」


「カメラに映ると、自然に視線が集まるんだって」


月詠音の瞳が少しだけ明るくなった。


◇◇◇


午後。


再び撮影。


月詠音は深呼吸をした。


(大丈夫)


(失敗してもいい)


(まずは楽しむ)


そして――。


「おはよう! 今日のテスト勉強した?」


監督がモニターを見る。


数秒後。


「……OK!」


現場から拍手が起こった。


「やった!」


綺星が飛び跳ねる。


結羽乃も笑顔で拍手する。


月詠音は思わず涙ぐんでいた。


「ありがとうございました!」


大きな声で頭を下げる。


その姿を、美紅は少し離れた場所から見守っていた。


「成長したね」


隣にいた私も頷く。


「うん」


「まだ始まったばかりだけどね」


◇◇◇


撮影終了後。


三人は疲れ切っていた。


「ドラマって大変なんだね……」


綺星がソファへ倒れ込む。


「うん」


結羽乃も頷いた。


「でも」


月詠音が静かに言う。


「すごく楽しかった」


「私も!」


「また現場に来たい!」


三人は顔を見合わせる。


そして笑った。


今日、三人は知った。


ドラマの現場は厳しい。


失敗もする。


悔しい思いもする。


それでも――。


演じることは、楽しい。


その気持ちこそが、女優としての第一歩なのだと。


そして翌週。


新人たちは、さらに厳しい演技レッスンへ挑むことになるのだった――。   



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

もしこの物語に少しでも「面白い!」と感じていただけたなら——


ブックマーク & 評価★5 をぜひお願いします!


その一つひとつが、次の章を書き進める力になります。

読者の皆さまの応援が、物語の未来を動かします。


「続きが気になる!」と思った方は、ぜひ、見逃さないようブックマークを!

皆さまの応援がある限り、次の物語はまだまだ紡がれていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。