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【推婚零日】『姉の同期が“推しモデル”でした。――交際0日婚…君に憧れて、君と結婚することになった夜。』  作者: AQUARIUM【RIKUYA】
『瑞稀視点――社長になった私と、M’s Create Entertainment。五十人の夢を支える日々』
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第1話「社長になった私と、変わらない家族」


「社長、おはようございます!」


「おはようございます、社長!」


朝九時。


都内・表参道にある芸能事務所――


『M’s Create Entertainmentエムズ・クリエイト・エンターテインメント


その代表取締役社長室へ向かう廊下には、今日も所属タレントたちの元気な声が響いていた。


「おはよう。今日もみんな元気そうだね」


私は笑顔で返事をしながら事務所内を歩いていく。


二年前。


私は、悠真と美紅に背中を押される形で独立した。


最初は本当に小さな事務所だった。


所属タレントは――


たった一人。


篠原美紅だけ。


けれど、美紅が所属したことで状況は一変した。


『篠原美紅が所属する新事務所』


そのニュースは芸能界に大きな話題を呼び、応募が殺到した。


設立一年目で二十五人。


二年目でさらに二十五人。


現在、所属する若手女優・モデルは五十名になっていた。


もちろん、一人では到底抱えきれない。


だから私は、昔お世話になった人たちへ連絡を取った。


そして現在。


私の隣には、頼れるスタッフたちがいる。


元大手芸能事務所マネージャーの


・安西真一(49)

・高瀬奈々子(45)

・城之内拓人(42)

・瀬川理恵(38)


さらに、


元スタイリストの


・柏木彩乃(41)


元ヘアメイクの


・森本美沙(37)


元キャスティング担当の


・水瀬祐介(46)


彼らが再び私と一緒に働いてくれていた。


「社長、十時から新人面談です」


秘書兼副マネージャーの高瀬奈々子さんがスケジュール表を差し出す。


「ありがとう、奈々子さん」


「今日も応募者が多いですよ」


「何人?」


「三十二人です」


私は思わず苦笑した。


「……美紅効果、恐るべし」


「ええ。本当に」


◇◇◇


現在、所属する若手女優たちの中でも特に期待されているのは――


皇燈璃すめらぎ あかり18歳

神樂羽瑠かぐら はる18歳

九重月詠ここのえ つくよ19歳

天羽澪那あまはね れいな19歳

東雲心羽しののめ こはね19歳

西園寺柚葉さいおんじ ゆずは20歳

月城詩音つきしろ しおん20歳

・一ノ瀬陽葵いちのせ ひまり20歳

久遠琉唯くおん るい21歳

雨宮星蘭あまみや せいら21歳

如月紬希きさらぎ つむぎ22歳

双葉美玖ふたば みく22歳

白雪莉央しらゆき りお23歳

桜庭乃愛さくらば のあ23歳

藤宮結月ふじみや ゆづき24歳


全員が十代から二十代前半。


芸能界ではまだまだ若手だ。


「社長!」


声を掛けられて振り返る。


そこにいたのは、皇燈璃だった。


「どうしたの?」


「今度のオーディション、絶対受かりたいです!」


「うん」


「頑張ります!」


「燈璃なら大丈夫」


そう言って頭を軽く撫でると、彼女は嬉しそうに笑った。


その姿を見ていると、ふと数年前の美紅を思い出す。


不器用だけど、真っ直ぐで。


努力家で。


誰よりも周囲を大切にする子。


そんな美紅は今――


この事務所のトップ女優として活躍していた。


◇◇◇


「社長、お疲れ様です」


午後三時。


撮影を終えた美紅が事務所へ戻ってきた。


「お疲れ」


「今日も新人ちゃんたち、頑張ってた?」


「頑張ってたよ」


「そっか」


美紅は優しく笑った。


社長室へ入る。


ここ数年ですっかり定位置になったソファに、美紅は自然に腰掛けた。


「ねぇ、瑞稀さん」


「ん?」


「社長になって後悔したことある?」


突然の質問だった。


私は少し考える。


「ないかな」


「ない?」


「もちろん大変だよ」


私は笑った。


「毎日トラブルばかりだし」


「うん」


「眠れない日もあるし」


「うん」


「でも」


私は窓の外を見る。


事務所の若い女優たちが笑いながら歩いている。


「あの子たちの夢を支えられる今が、私は好き」


美紅は静かに聞いていた。


「それにね」


「うん」


「昔は、悠真や美紅を支えることしか知らなかった」


「……」


「でも今は違う」


「社長として、みんなを支えられる」


「その責任が嬉しい」


美紅は優しく笑った。


「やっぱり瑞稀さんって凄いね」


「そんなことないよ」


「ある」


美紅は即答した。


「私は瑞稀さんが社長だから、この事務所にいたいって思えるもの」


私は思わず笑ってしまった。


「本当に?」


「うん」


「じゃあ、これからもよろしく」


「こちらこそ」


◇◇◇


夜。


仕事を終えた私は、久しぶりに神谷家を訪れていた。


玄関を開けると、


「瑞稀おばちゃん!」


「おばちゃん!」


大翔と遥香が飛び込んでくる。


「ただいま」


「ここ、私の実家でもあるしね」


リビングへ入ると、悠真が笑った。


「社長、お疲れ様」


「社長言うな」


「じゃあ姉貴」


「それでいい」


家族は変わらない。


社長になっても。


独立しても。


私は私のままだ。


そして今日もまた、誰かの夢を支えるために働く。


それが今の私の誇りだった。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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