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第6話「未来の光、わたしたちの選択」



「美紅さん、新ブランドのCM出演、ぜひお願いします」


その日、事務所の会議室で、広告代理店とクライアントの代表者が並ぶ席で、正式なオファーが告げられた。


「今回は“母でありながら輝き続ける女性”がテーマです。

子育て中のリアルな美しさを映したいんです」


瑞稀は隣に座る美紅を一瞥しながら、静かに尋ねた。


「……受ける? 断ってもいいよ。今はまだ子どもたち小さいし」


美紅は一瞬だけ迷ったが、やがてしっかりと前を見据え、頷いた。


「やってみたい。……ママになっても、私らしくいたいから」



その頃、悠真の職場でも――

直属の部長・川嶋翔一のもとに、役員陣が集まりあるプロジェクトの話題で持ち切りだった。


「飲食部門の新ブランド立ち上げにあたって、イメージキャラクターを――」

そう話すのは副社長・八代直人。


「女性向けの商品ラインで、親しみやすさと華やかさを両立できる方が理想だな」と、専務の瀬戸健一。


そして常務・一ノ瀬遼太が言った。


「……実は、篠原美紅さん、どうだろう?」


一瞬、場が静まり、全員の視線が悠真に集まった。


「ご本人と連絡が取れるのは、神谷くん。

もちろん無理にとは言わない。ただ――今、一番この会社の“顔”として相応しい女性だと思う」



その夜。


「ねぇ、悠真。私ね、久しぶりにお仕事復帰して、

CM撮影が決まったの。子どもたちも、もう少し大きくなってきたし」


悠真は驚いた表情を見せながらも、嬉しそうに笑った。


「……それ、奇遇だな。俺の会社でも、美紅さんの名前がCM候補に挙がってる。

飲食業界の新ブランドで、女性向け。社長も副社長も推してる」


美紅は驚きつつ、真剣な顔になる。


「……それって、夫婦で仕事の話、交わしてもいいってこと?」


「もちろん。俺は、君がやりたいなら全力で応援する」


瑞稀がリビングから顔を出してきた。


「ってことで、正式にマネージャーの私から一言――

どっちの会社にも“正式に”OK出します。

ただし、撮影中にイチャつくのは、現場が凍るからやめてね?」


ふたりは苦笑し、うなずいた。



数週間後。


美紅がメインキャラクターを務めた新CMは、温かくもスタイリッシュな演出で話題に。

「子育てをしながらも輝く女性」として、多くの共感と憧れを集めていた。


撮影現場で、美紅は監督にこう言われた。


「君みたいな人が、きっと未来を明るくするんだよ」


そして、モニター越しに子どもたちの写真を眺めていた悠真は、つぶやいた。


「……君の光が、俺たち家族の未来を照らしてくれてる」


その言葉は、誰よりもそばにいた瑞稀の胸にも、温かく響いていた。



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!

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