第5話「家族写真と、ひとつの決意」
双子の誕生から数年。大翔と遥香は元気に育ち、家の中は笑い声にあふれていた。
ある日曜日、悠真と美紅、そして瑞稀の三人は、近所の大きな公園で子どもたちと過ごしていた。
「はるかー、そっちは危ないよ~!」
「ひろと、すごい、滑り台ひとりで登れたの!?」
周囲の親子連れに混じり、悠真はカメラで我が子の姿を追い、美紅は笑顔でベンチから手を振っていた。
その時だった。
ひとりの女子高生がこっそりスマホを構えた。
「……え、あれ、篠原美紅さんじゃない?あの人の子ども!?」
カシャ。
「やば……これ載せたらバズるかも」
帰宅後――
数時間も経たぬうちに、SNS上では小さな波紋が広がっていた。
「篠原美紅、ついに子ども初登場!?」
「双子なの?え、旦那さんって…誰?」
「後ろに写ってる男性、見覚えある……神谷悠真!?」
一気に騒ぎは広まり、夜には複数のまとめアカウントが“ニュース”として取り上げた。
事務所の社長・三條恒彦からの電話が鳴ったのは、その夜遅く。
「……美紅さん。この件、こちらで正式なリリースに切り替えます。パニックにならないよう、整えて発表を」
「瑞稀さんにも、対応お願いしてます」
瑞稀は電話越しに「了解です」と答え、
翌朝には広報チームと連携し、美紅のSNSに一文を投稿した。
『私たち家族の写真が偶然SNSに出回りました。
本来であれば静かに子育てしたい気持ちもありますが、
こうして皆さまに家族の存在を知っていただけたこと、嬉しくも思います。
これからも、仕事と家庭、両方を大切に歩んでまいります』
その文章と共に、美紅・悠真・双子・瑞稀の五人で写った“家族写真”が1枚だけ、控えめに掲載された。
──そして、その投稿は瞬く間に拡散された。
「美紅さん…ほんとにママなんだ…」
「こんなに自然で温かい写真、久々に見た」
「旦那さんが…神谷悠真くん!? モデルも俳優もいけるビジュアル!」
SNSには応援と祝福の声が相次いだ。
その夜。
寝室で、美紅はベッドにもたれて静かに笑った。
「……意外だった。もっと叩かれるかと思ったけど、みんな温かい」
悠真は、ベッドの隣に座って頷いた。
「俺、思ったんだ。
誰に何を言われても、俺たちがしっかりしてれば、揺るがないって。
これが“家族”なんだって、証明したい」
美紅はそっと手を握り、うなずいた。
「うん。
じゃあ、これからも――ふたりで。
……じゃなくて、5人で」
「だな。5人で、これからも」
──その手のぬくもりは、未来への“決意”だった。
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