第1話「そして、再会の乾杯を――“あの日の僕ら”が集う夜」
続編
『未来へつなぐ、あの日の約束――交際0日婚と、家族になった僕らの物語』
週末の午後。大翔と遥香が通う小学校では、恒例の参観日が終わり、笑顔で家族と帰る親子の姿がちらほら見える。
悠真は少し早めに仕事を終え、美紅と一緒に2人を迎えに行っていた。
「今日もちゃんと発表できたね、大翔。遥香も手を挙げてたの、パパ見てたよ」
「えへへ、パパが来てくれると、がんばっちゃうもん」
「ママの方も見てたよね!今日のリボン、自分で選んだんだから!」
そんな子どもたちの声に、美紅は微笑む。
――あの交際0日婚から、もう数年。今では家族4人の生活もすっかり“日常”になっていた。
その夜。久々に連絡が来たのは、大学時代の親友・航からだった。
「今度、みんなで飲み会しようって話になってさ。
場所は渋谷の貸切ホール。大学の同期も先輩も後輩も、
それに……なんと、あの“白石靜香社長”も来るって!」
美紅と双子に「ちょっと行ってくるね」と伝え、悠真は夜の渋谷へ向かった。
ホールの扉を開けると、懐かしい顔が次々と――。
「悠真ーっ!こっちこっち!」
圭吾、憲剛、一樹、千帆、叶恵、茜、灯里、詩織、栞……
あの頃、同じ時間を過ごした仲間たちが一斉に集まっていた。
「てかさ、今でも信じらんないんだよね。
神谷悠真、あの“篠原美紅”と夫婦って、どんな人生だよ」
「テレビでもCMでも見てるけどさ、リアルで会ってると思うとマジ羨ましい」
「子どももいるんだよね? 今度、写真見せてよ!」
談笑の中、司会進行役の航がステージに上がりマイクを握った。
「皆さま、本日はお集まりいただきありがとうございます。
……そして、本日のスペシャルゲストをご紹介します」
ざわつく会場。その先に現れたのは、上品なロングワンピース姿の女性。
落ち着いた微笑みと、堂々とした所作。
「本日はお招きありがとうございます。“白石靜香”と申します」
「……えっ、あの“元慶応ミス女王”?」
「マジかよ、ニュースになった“歳の差婚”の……?」
ざわめきがさらに広がるなか、彼女の隣に立ったのは――
「はじめまして。佐伯悠輔です。…実は、白石社長と結婚しました」
大学の後輩・悠輔だった。
まだ20歳の彼が、40歳の大企業社長と結婚していたという事実に、全員が唖然とする。
「あの…僕たちも“交際0日婚”だったんです。
でも、出会ってすぐに『この人しかいない』って思って」
その言葉に――悠真の胸に静かに響くものがあった。
(……俺と同じだ。あの日、美紅さんに出会った瞬間に感じた、あの想いと)
飲み会の終盤、悠真と悠輔、ふたりの“交際0日婚経験者”は自然と並び、語り合っていた。
「悠真さんは、奥さんとの時間、どう過ごしてますか?」
「……何よりも、“今”を大切にしてるかな。
アイドルとかモデルとか、外から見た“美紅さん”じゃなくて、
家では一人の女性として、一緒に笑ったり、悩んだり――そんな日々が好きでさ」
悠輔は静かに頷きながら答えた。
「僕も、靜香さんと、これからそういう“家族”を作っていきたいです」
再会の夜は、懐かしい乾杯と、新たな絆の予感に満ちていた――。
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