第8話「CMの現場で見えた“家族”のかたち」
飲み会から数日後。
新しいCM撮影が、都内のスタジオで本格的に始まった。
今回のテーマは、“家族で囲む幸せな食卓”。
出演は、神谷悠真と篠原美紅――
そして、特別出演として双子の赤ちゃんたちもカメラの前に立つことになった。
「泣かないといいけどなぁ……」
悠真は抱っこ紐の中で眠っている息子・**大翔**を見下ろしながら、そっと呟いた。
隣では、美紅が娘の遥香にミルクをあげている。
そこに、マネージャーであり姉でもある瑞稀がやってきた。
「悠真、美紅。あんたたち、やっぱ本番に強いわね。
しかも双子たちまで……寝起きなのに、この落ち着きよう。天才かも」
「いや……姉貴、それは親バカってやつだよ」と悠真は照れ笑い。
──
セットの準備が整い、本番が始まる。
家族4人でテーブルを囲み、食卓を囲む幸せな時間を演じる――
…はずだったが、遥香が途中でぐずり始めてしまった。
「美紅さん、一度休憩を入れましょう」
スタッフの判断で、撮影は一旦中断。
悠真が代わりに遥香を抱き上げ、あやす。
その姿を見ていたスタッフの一人が、思わず呟いた。
「……あれ、ガチで“お父さんの顔”してるな。演技じゃないんだ」
別のスタッフも言った。
「ふたりとも、まるで本当のCM用に生まれてきた家族みたい。羨ましいって思っちゃうよね」
──
撮影は、何度か中断を挟みながらも進んでいった。
その合間に、美紅はモニターを覗きながら、ふと呟く。
「ねぇ瑞稀。これが、私の“第二のステージ”かもね」
「芸能界に戻ってきたって意味?」
「それもあるけど……ママとして、パートナーとして、一人の女優として。
全部が今、ちゃんと繋がってる感じがするの」
瑞稀は、何も言わずにその背中を見つめた。
「……そっか。それなら、私は支えるだけ。どんな未来でも、二人が歩くなら」
──
撮影終了後、現場に現れたのは――
あの3人の幹部たち。
•社長:三條 恒彦
•副社長:八代 直人
•直属の部長:川嶋 翔一
「今日も素晴らしかったよ」
「子どもたちまで自然体で、本当にありがとう」
「悠真くん、次はぜひ、商品のスピンオフCMにも出てほしいね」
美紅と悠真は笑顔で頭を下げ、双子たちは小さなあくびをしながらパパの胸で眠っていた。
瑞稀が最後にぽつりと呟いた。
「……こうやって、人生のステージが少しずつ増えていくんだね。
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