第6話「再始動の現場と、家族の絆」
久しぶりの撮影現場に戻ってきた美紅は、少し緊張した表情を浮かべながらも、どこか誇らしげだった。
その隣には、ベビーカーに乗った大翔と遥香、そしてそれを押す悠真の姿がある。
「大丈夫? 無理してない?」
「ううん。……やっぱり、撮影の空気って、好きなんだよね。どこか“帰ってきた”って感じがする」
美紅はマネージャーでもある瑞稀と軽く打ち合わせを終えた後、撮影スタジオの控室へと向かう。
その間、ベビーカーに駆け寄ってきたスタッフの女性たちが声を弾ませた。
「うわぁ〜〜、双子ちゃん!? 可愛い……っ」
「この子たちが美紅さんと悠真さんの……?」
大翔は少し人見知り気味に、遥香はにっこりと笑っていた。
その時、スタジオの扉が開き――
3人の男性が現れた。
「お疲れさま、神谷くん。……それが、噂のご家族か」
現れたのは、悠真の勤める会社の要職にある3人だった。
•社長:三條 恒彦
穏やかだが鋭い目を持つ、カリスマ的存在。
•副社長:八代 直人
気さくで現場目線の発言が多く、社員の信頼が厚い。
•直属の部長:川嶋 翔一
クールで理論派。悠真の成長を静かに見守ってきた上司。
「皆さん……!今日はわざわざ……」
悠真が頭を下げると、社長の三條がゆっくりと近づき、ベビーカーの中を覗き込んだ。
「……なるほど。CMのテーマ、“家族と食卓の未来”には、君たちほどぴったりなキャスティングはないな」
八代副社長も笑って言った。
「こりゃあ話題になるぞ。神谷、君、パパとしてもなかなか様になってるじゃないか」
川嶋部長は腕を組み、うなずく。
「美紅さんの演技力と知名度もだが、“夫婦で本当に結婚している”という信頼感は、今の時代に強い訴求力を持つ。……この企画、行けますね」
美紅は少し驚きつつも、しっかりと姿勢を正し、言葉を返した。
「ありがとうございます。……私たち夫婦が“本物”だからこそ、伝えられる温かさがあると思っています」
その堂々とした姿に、悠真も心の中で小さく感嘆した。
(……やっぱり、美紅さんってすごいな)
撮影本番のリハーサルが始まり、スタッフたちが慌ただしく動き出す中、瑞稀が美紅に小声で耳打ちする。
「……あんた、ほんとママになったのに、変わらずカッコいいよ」
美紅は笑い、悠真と子どもたちに視線を送った。
「……でも、支えてくれる人たちがいるからだよ。ね、悠真?」
悠真は、黙ってうなずいた。
そして、双子が眠るまでの間、少し控え室で抱っこしながら語り合う――
“家族”という新たな舞台の、再スタートの物語が、今、始まったのだった。
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