第5話「再会と、未来のための選択」
春の風が心地よく吹く、ある休日。
悠真と美紅は、双子をベビーカーに乗せて、ある広場にやってきていた。
そこでは――悠真の高校時代の友人や同期たち、40〜50人規模の大きな同窓会が開かれていたのだ。
「……久しぶりだな、みんな」
広場に集まった懐かしい顔ぶれに、悠真は小さく息をついた。
学生時代、共に過ごした仲間たち。進学した者、就職した者、家族を持った者――さまざまだ。
美紅も少しだけ緊張した面持ちだったが、横に並ぶ悠真の存在に、自然と笑みがこぼれる。
「うわっ……まさか来てくれると思わなかったわ!悠真!」
「てか……これが、美紅さんと……お前の子供!?」
双子を見た瞬間、周囲のざわめきが一気に強くなる。
「きゃ〜〜っ、かわいいっ……!」
「え? 双子なの!? マジで? 本当に……お前、もうパパなんだなぁ……」
笑い声とともに、皆が次々とベビーカーの中を覗き込んでいく。
「育児、大変か?」
「いや、マジで大変だよな。夜泣き、ミルク、オムツ……」
「私も、妊娠から出産までほんっと大変だった。育児ナメてたけど、ガチでキツいもん……」
「それでも……家族っていいよね」
次々と飛び交うリアルな声。
そして、ふとした拍子に――一人の女子が呟いた。
「でもさ、美紅さんが奥さんって、やっぱ羨ましいよ」
その言葉に、美紅は少し頬を染めながらも微笑んだ。
「ありがとうございます。……でもね、私も、悠真が夫で、本当によかったって思ってるの」
「え……」
「だって、毎日頑張ってくれるし、子どもたちの面倒も見てくれるし。
なにより、どんな時でも“家族を大事にしてくれる”人だから」
その場の空気が、ふわっと柔らかくなる。
悠真は少し照れたように笑いながら、言った。
「俺たち、交際0日婚だったけどさ……
結婚して、家族になって、今やっと――“本当の意味で恋してる”って思えるんだ」
そこにいた誰もが、その言葉に心を打たれた。
そして、広場の隅で瑞稀がスマホを構えながら、ぽつりと呟いた。
「やれやれ……弟のくせに、ほんと憎いぐらい様になってきたじゃない」
尚吾が隣でクスッと笑う。
「……でも、あれが“本物の幸せ”ってやつかもな」
春の空の下、家族と仲間に囲まれた一日。
それは、ただの再会ではなく――
未来のための“今”を確かめる時間だった。
そして帰り道、美紅がそっと言った。
「ねぇ悠真……次は、家族ぐるみのバーベキューとかしたいな」
悠真は笑って頷いた。
「うん。大翔と遥香にも、俺たちの大切な人たち、ちゃんと知ってもらいたいしな」
穏やかな時間が、ゆっくりと流れていった。
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