第4話「卒業アルバムと、ママになった私」
穏やかな日曜日の昼下がり。
リビングには子どもたちの笑い声と、心地よい日差しが差し込んでいた。
悠真は床に座って、寝返りの練習をしている遥香と向き合っていた。
美紅はソファに座りながら、膝の上にアルバムを開いていた。
「ねえ、悠真。見て、これ……大学の卒業アルバム、やっと届いたの」
悠真は顔を上げて、手元のアルバムに視線を向けた。
「おお、そういえば申し込んでたな。……あ、俺写ってる」
パラパラとページをめくると、懐かしい顔ぶれが映っていた。
仲の良かった航、圭吾、憲剛の姿。飲み会や学祭の集合写真。
そして、卒業式当日に撮った1枚――
美紅と写る悠真の姿。
「やっぱり……思い出深いな、この日」
美紅が微笑んで言うと、悠真も頷いた。
「あの日、同級生から色々言われたけど……
美紅さんが頬にキスした瞬間、なんか全部どうでもよくなった。
“俺はこの人と生きていくんだ”って、あらためて思えたから」
「ふふ。……あの時、ちょっとだけ緊張してたの。
だって悠真の大事な仲間たちの前で“奥さん”として振る舞うの、初めてだったし」
「でも、すごく綺麗だったよ。誇らしかった。今も、ずっと」
美紅はそっとアルバムを閉じた。
「ママになって、少しずつ変わったこともあるけど……
あなたの隣にいる私は、何ひとつ変わってないよ」
「俺もだよ。家族ができて、毎日がもっと特別になった」
そのとき――
「わぁ〜〜〜ん!」
遥香と大翔、同時に泣き出す。
悠真と美紅は顔を見合わせて、笑いながら立ち上がった。
「じゃ、俺は遥香担当ね」
「了解。私は大翔」
手分けして赤ちゃんを抱きかかえるふたり。
卒業アルバムに写る“学生時代の自分たち”はもういない。
でも、そこにあった想い出が――
いまのふたりを、そして家族を支えている。
そして、美紅はふと呟いた。
「次は……家族写真、撮りたいな。
私たち5人の、新しいアルバムの1ページ目、ちゃんと作りたい」
悠真はそれに、穏やかな微笑みで答えた。
「よし。次の休みに、撮りに行こう」
“卒業”は終わりではなく、新たな日々のスタート。
そして、家族の時間はこれからも続いていく――。
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