第3話「先輩ママたちとの再会、そして共演の打診」
復帰後のCMは大成功――
その反響は大きく、ネットニュースやSNSでは「ママになっても変わらぬ美しさ」「奇跡のツーショット」として話題になった。
ある日、事務所にて。
美紅は赤ちゃんを抱いた状態で、楽屋のソファに腰掛けていた。
大翔がすやすやと眠る横で、遥香は少し目を開け、母の顔を見上げて微笑む。
そこに、久々の顔が現れた。
「おーい、美紅。ほんとにママになってるー!」
現れたのは、同じ事務所でかつて一緒に活動していた村上紗彩と東雲梨菜。
二人とも数年前に結婚・出産を経験し、今では“先輩ママタレント”としてのポジションを確立していた。
「美紅、元気してた? やっと戻ってきたじゃん」
「うん……やっと、少しずつだけどね。でも、育児は本当に大変で」
「分かるわぁ〜〜。夜泣き、オムツ、離乳食……全部最初はてんてこ舞いだった」
「でもさ、なんかママになった美紅って、顔が優しくなった気がする」
笑いながら語り合う3人の会話は尽きなかった。
その場にいたマネージャーが話題を切り出した。
「実は、テレビ局から“ママタレ3人による特別番組”のオファーが来てて。
美紅、紗彩、梨菜の3人で“リアルな育児生活と復帰の舞台裏”って内容なんだけど……どう?」
美紅は少しだけ迷ってから、そっと大翔の寝顔を見つめた。
「……家族に相談してから、だけど……やってみたいかも。
同じ立場の人たちに、少しでも“分かる”って思ってもらえたら」
梨菜が笑った。
「さすが美紅。ほんと真面目。でも、そういうとこが好きなんだよね」
◇
その夜、自宅に戻った美紅は夕飯の食卓で悠真に話した。
「特番のオファーが来てて……でも、リアルな育児とか、復帰の悩みとかもさらけ出す感じになるから、ちょっと不安で」
悠真は、少しだけ考えてから答えた。
「俺は、美紅が“やりたい”って思ったなら、全力で応援する。
ただ、育児との両立はちゃんと協力するから、無理はしないで」
「……ありがとう。悠真が居てくれて、本当に良かったって思える」
「それ、結婚前から言ってくれてたよね」
「うん。………でも今は、もっと強くそう思う」
二人の手がテーブルの上で重なり合う。
その瞬間、隣の部屋から双子の泣き声が響き、美紅は苦笑しながら立ち上がった。
「さあ、“ママ”の出番、行ってきます」
育児と芸能活動。
その両立は決して簡単ではない。
だけど、美紅には支えてくれる人がいて――
そして、未来を見つめる強いまなざしがあった。
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