修了検定の合格おめでとう。ここからは天界仮免許が天界で交付される、下界の一部の運転が許される
強面おっさんは真っ青な顔をして部屋を出ていった。
ルシファーはおっさん霊の耳元で何かを囁いた。恐らくは点数なのだろう。
ルシファー「修了検定の合格おめでとう。ここからは天界仮免許が天界で交付される、下界の一部の運転が許される」
ルシファー「第一検定のように天界だけの運転ではなく、より実践的に来世で運転できる仕組みとなっている。覚悟せよ」
「では解散。2時間後に受付で仮免許を受け取るように。決して破ったり、抹消するなよ。再発行はなく、地獄へ直行だ」
「はい」
水無月の少女は無言で部屋を出ていった。98点ってなんだよ…恐ろしい霊だ。
その後は、教官天使を隣にのせて、日本の運転してる人と意識共有して運転することになった。
セット教習や、高速教習、山道教習などでは水無月や幸恵さんたちを乗せて運転することが増えた。
幸恵さんは、運転するごとに運転の感を取り戻したのか、毎日若返るようになっていた。
水無月は何を言っても無言で回答しない。だが運転は非常に丁寧で問題がない。
相部屋でいつも、幸恵さんと一緒に時間を過ごすことになる。寝るという概念がないため、人間界の時間の同期によってそれまで「待つ」だけだ。空腹も、排泄もない。
幸恵「このまま順調に進めば、3人は3日後に卒業ね」
「幸恵さんは、来世に転生したら何がしたい?」
幸恵「そうね。また恋をして、運転して、大往生で死にたいわ!」
「素敵だ。俺の来世は、運転事故を減らすような職業、そうだな。教習所や警官になりたいな」
幸恵「でも、転生時に前世の記憶は消されちゃうんでしょう?」
「流行の漫画のように、赤子の時点で100%の前世記憶を持っているって相当稀だって天使から聞いた」
「数十億に1人の前世記憶保持者だけで、他はいつもどおり自我が7歳に来るまで何の記憶も残ってないってさ」
幸恵「こうやって佐藤さんと一緒に居られるのも、あとわずか。これが人間界のホテルなら良かったのに」
「ここでは幽体が触れても、記憶の共有にしかならないからな。指と指の感覚も、肌のぬくもりもない」
「苦しみと憎悪の人間界を去って、天界は居心地がよかった。でも、心のふれあいができる物質世界の方がいいや」
幸恵「そうね」
相部屋の3つのベッドは、両脇の2つは空席になった。
天界運転講習合宿卒業まで、あと3日




