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転生したら推しが私を嫌いな同級生でした〜完璧令嬢と呼ばれる私を前世の黒歴史で弄り倒してきます〜  作者: モチダ


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フィオリーナがエリアナの目を見て、ゆっくりと話し始めた。

言葉を選んでいるのか、言い辛い内容なのか、はたまた両方か。


「エリアナ様!⋯⋯カルロ様は、その、エリアナ様を⋯クラウディオ殿下から、その、奪う⋯つもりなのではないでしょうか⋯!それならそれで、正々堂々と、対決なさるべきではありませんか?」


後半はカルロに向かって言ったようだ。


フィオリーナが何を見てそう思ったのか分からないけど、それは置いておいて。

フィオリーナってカルロの事、めちゃめちゃビビってたよね!?

超涙目になる位、ビビりまくってたよね!??

そんな相手に誤解とは言え、こんなこと言うのってすっごい勇気がいると思うんだよね。


え。すごくない?フィオリーナ、まじすごくない??


え。なに。

ヒロインって可愛いうえに男前なの??

どれだけ惚れさせる気なの?????



カルロは何も言わない。フィオリーナの話に続きがあるのを待っているようだ。

エリアナも穏やかな、けれど真摯な瞳でフィオリーナを見つめながら、フィオリーナが再び口を開くのを待つ。

そのフィオリーナはと言うと、また言い辛そうに少し俯いてしまった。


良いんだよ、フィオリーナ。ゆっくりで。

合法的にフィオリーナの顔をじっくりたっぷり眺めるチャンスなんだから。

いくらでも待つよ。



ほんの僅かの間、フィオリーナは口を真一文字に結んでから、思い切ったと言う風にカルロを見つめる。

その手には先程カルロに渡されたファイルの内の1つが握りしめられていた。


「最近、カルロ様から覚えるようにと言われるものの中に、淑女教育の範疇とは思えないものが混ざっている事には気が付いていました」


え。するどい。

あの量の課題をこなしながら、そんな事まで気付く余裕があるなんて。


「これってもしかして、⋯王太子妃教育の内容ではありませんか?」


え。フィオリーナって可愛い上にかしこい?

すっごいすっごい、かしこい??

可愛くて男前で鋭くてかしこいって最強かよ。

天は二物も三物も四物も与えたな。


「カルロ様は、その、⋯エリアナ様の事をお慕い、していますよね?」


え。まじか。

フィオリーナったら、肝心な所でドジっ子ちゃん。

それはそれで可愛いポイントなんだけど。

だけどね、カルロはフィオリーナが好きなんだよ。

知らないだろうけど、小さい頃から一途に想われ見守られていたんだよ。

うん。尊い。

いや本当。このカップルが見たかった。


それはさておき。

うーん。これはまずいよね。

これってつまり、カルロの不敬罪(冤罪)容疑、再びって事だよね?

そのくだりは今日の午前中に一度終わってるんだよ、フィオリーナ。

あの場にいなかったから知らないのも仕方ないけどさ。

こっちは生きた心地がしないから。

本当良くないから、それ。

でもフィオリーナは知らなかった訳だから仕方ない。


一番悪いのは誤解されるような言動をしたカルロだよ。

あとが楽になるように早めに王太子妃教育を始める気持ちも分かるけど、それはそれで優しさなんだけど。

バレて何か色々勘ぐられちゃってるじゃん。

しかもカルロの淡い恋心まで勘違いされちゃって。

本当、報われない男だよ。



と言う思いを込めた視線をカルロに向けると、意外にニヤニヤしている。

心なしか機嫌が良さそう?


あ、あれかな?

フィオリーナがビビらずに話しかけてきたとか、自分の話題をしてるとかそう言うのに喜んでるのかな?

まあね。あれだけビビられてたらね、そう言う些細な事でも嬉しくなっちゃうよね。

でも、自業自得だからね、カルロ。

女の子には優しくしないとね。


「対決、ね⋯」


カルロが呟いた。


あれ?

もしかして戦闘狂の血が騒ぐとか、そっちだった??

えっと何これ。血の雨が降るとかそういう展開??

止めたほうがいいやつだよね???


「フィオリーナ様。それは誤解ですし、対決と言うのは⋯」

「対決、と言うのは面白そうだね。どうだい、カルロ?今度の合同演習で私と競ってみる気はあるかい?」


穏やかに不穏な発言をするなんて、そんな人物、1人しか心当たりない。

エリアナが振り返るとクラウディオが生徒会室に入ってきたところだった。


「クラウ、あなたまで⋯」


「おや、エリーは対決に反対かい?意外と男同士の対決を好む女性も多いと聞いたけれど」


どこ情報よ、それ。

それともこの時代、この世界の女性はそう言うのが好きなのかな?

「私のために争わないで」的な??


⋯⋯あれ?ちょっと待って。

これってもしかして、上手く使えばカルロの願いを叶えてあげられるんじゃない!?


「フィオリーナ様、カルロ様のお慕いしているお方は私ではありませんよ。でも、そうですわね、⋯対決と言うのでしたら。対決してカルロ様が勝ったら王命でその想い人と婚姻関係を結べるように⋯⋯」


あれ?話しながら微妙に思えてきたぞ。

カルロ的にこれってどうなんだろう。


「⋯⋯カルロ様。お慕いするお方とは、気持ちが通じ合った上でご結婚なさりたいとお考えですか?」


エリアナがおずおずとカルロを見ると、カルロが真剣な目で答える。


「当然」


貴族にあるまじきだけど、カルロが言うと似合う。

是非とも実らせて欲しい。

フィオリーナと無理な分、是非ともその女性とくっついて欲しい。


でもそれっぽい女性の影がないし、カルロには婚約者がいないと言う。


カルロって、容姿も家柄も地位も能力も高いのに、それでも落とせない程の女性ってことかな?

⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯見たい。

すっごいすっごい見てみたい。

いや、分かってるよ?そう言うの良くないって。

でも、気になるじゃん。

ヒントだけでもくれないかな。


「カルロ様でも落とせないなんて、どんな女性か気になりますわ」


エリアナが興味津々な様子を隠しきれずにカルロに問うと、カルロは顎に手をかけ軽く首を傾げながらエリアナを見る。


「いや、好意は持たれているはずだ。ただ、なかなか素直になってくれなくて困ってる」


大した自信だな、とキースとジルダが呆れているが、エリアナはううむ、と唸って気付かない。


「そうなのですね、⋯女心は複雑ですからね」


既婚者かな?

子持ちバツイチ、とか?

熟女好き??


勢いよく立ち上がったエリアナは、すでに自分の机について書類を捌き始めているクラウディオに近づくと、小声で尋ねた。


「あの、クラウ?この世界、略奪婚ってあるのですか?カルロの想い人って、既婚者じゃないのでしょうか???」


でもカルロは誠実だから、略奪とかそんな事は出来ないんじゃないかな。

そうなると、せめてその女性の子供が成人したあとに再婚をすると言うのはどうだろう?


「成人って何歳でしたっけ?」


「一応、15歳で成人と見做されるよ」


クラウディオが書類をさばく手はそのままに、愉悦を含ませた声で教えてくれた。


今、お腹にいたとして最長で15年後。

32歳までには再婚できる。

その女性がどれだけ年上か分からないけど、子を望まなければ全然アリなんじゃない??


エリアナはスキップしたい気持ちを抑えてカルロに近付くと、「お耳を拝借」してガッツポーズをして見せた。


「(大丈夫!32歳でもカルロならイケオジだと思う!!!)」


めちゃめちゃ応援するからね!と言うと、カルロに半目で両頬を掴まれた。

なんでだ。




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