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転生したら推しが私を嫌いな同級生でした〜完璧令嬢と呼ばれる私を前世の黒歴史で弄り倒してきます〜  作者: モチダ


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「え。⋯⋯⋯逆に、どうして気付かれないと思われたのでしょう?」


「ん?⋯⋯⋯⋯んん!???」


見たら分かるものを、「どうして気付いたのか」なんて聞かれても困る。

そう言いたいのにヘロイーズは納得がいかないようで、目をパチクリさせている。

余程、変装術に自信を持っていたようだ。

なんか、ごめん。


うーん。何て言うか、幼児向けアニメで悪役がバレバレの変装をするのを、アニメの世界では誰も気付かないアレ。

あたしもあの世界観を見習って、やっぱり気付かないフリをしてあげるべきだったのだ。

多分、カルロは気を遣って、ああ言ってくれたんだ。


そう思いエリアナがカルロを見ると、カルロは悪い笑顔のままだ。

心なしか機嫌が良さそうに見える。


あ。気を遣ったんじゃないんだね。

本当にヘロイーズの矜持をバキバキにしたいんだね。


カルロにフォローを求めるのは諦めてクラウディオを見ると、いつの間にか机に向かって次々と書類を捌いている。

このイケメン仕事中毒め。


「⋯⋯⋯確かに、わざとらしい目くらましのようなものは盛り沢山なのだけど、何と言えば良いのかしら⋯。あ!私、前世でコスプレイヤーの知り合いがいたのですわ!!もしかすると、それが原因ではないかしら?ふふ、⋯身元バレしたくないのでしたら、あれ位、化けて頂きませんとね!!」


どうだ!!

ヘロイーズの変装術のクオリティに触れずに論点をうまくすり替えてヘロイーズの変装を見破った理由と解決策を提示することに見事成功したのではないだろうか!


しかしヘロイーズの反応は思っていたのと違う。


「コ⋯、コスプレ⋯うっ⋯⋯」


見るとヘロイーズは俯き、胸元と制服のスカートを握りしめながら苦しそうな声を出している。


え?「コスプレ」の単語に反応している??

もしかして制服姿をコスプレと言われてダメージくらうような年齢なのかな。

てっきり2つ3つ年上かな位に思ってたんだけど。もしかしたら20代半ばくらいかも⋯

よし。うん。ヘロイーズに年齢関連の話題は禁句。ダメ絶対。


「コスプレイヤーって、あの溜まり場の仲間か?」


うおい。空気を読めって、カルロ!!

ヘロイーズに「コスプレ」の単語は禁句だよ!

ああ、でもそうか。

カルロはヘロイーズの矜持をバキバキにしたい人だった。

うん。話題をヘロイーズからそらしてあげよう。


「ちがうよ、バイト先の加東ちゃん。コミケ前とかバイト変わってって頼まれなかった?」


声を潜めてカルロに返すエリアナ。

先刻から何故か真上にカルロの頭があるから、これでも充分聞こえるだろう。


それはそうと。加東ちゃんってたしか黒川の事、気に入ってたよね。

コスプレの事、大っぴらにしてない感じだったけど、黒川には言ってたのかな?


「さあ。そんな奴いたか?て言うか⋯⋯⋯それ、本当にコミケか?単にサボってたんじゃねえの?」


あ、やっぱり黒川には頼んでなかったんだ。

コスプレの事を言いたくなかったのかも知れない。

うわ、勝手にしゃべっちゃってごめんよ!加東ちゃん!!


「ちがうよー、コミケの写真とか見せてもらったもん!あれ、すごいよね!別人!性別まで超えちゃって!神業!!」


バラしちゃったお詫びに加東ちゃんのコスプレの素晴らしさはしっかり伝えておくからね!


エリアナが加東ちゃんのコスプレのクオリティの高さについてカルロに熱弁する様子を見ながらジルダは、どこの誰とも知らない「カトウ」とやらがサボりじゃなくて助かったねと生温かい微笑みを浮かべ、その隣でキースは自分の主がその気になれば時代も世界も超えて人を呪う力がありそうで本気で震えが止まらない。

ちなみにケヴィンはヘロイーズがいるからしばらく休憩中なのか、たまたま今クラウディオに仕事を申し付けられて出払っているだけなのか、定かではない。


「こらこらカルロ。思い出話に花を咲かせるのも良いけれど、いい加減に腹を括ったらどうだい?エリーに「黒川が殺された真相」を話す為にヘロイーズに出てきてもらったんだから」


書類整理が一段落ついたらしいクラウディオが、ニコニコと王子様スマイル全開で近付いてくる。

ああ!どす黒い笑顔でもなく、わざとらしい笑いでもない!!これだよこれ!

とエリアナが感激すると同時に、そのセリフでヘロイーズ登場時まで意識が戻された。


「あ、そう言えば」


黒川が先輩に殺される程の理由。

あと出来れば、先輩が黒川に何を言ったか。

それを聞き出そうとしていたところだった!


「そうなんだぞ!その為にこの私が直々に!!エリアナ嬢に会いに来たんだぞ!」


ヘロイーズもノリノリの様子でカルロの肩越しにエリアナを覗いてくる。


「⋯⋯⋯⋯⋯ちっ」


え。

今、カルロ、舌打ちした?

え。

カルロ、あんた、誤魔化すつもりだった??


恨みを込めてカルロを見上げると、不貞腐れたような視線とぶつかる。

なるほど。「腹を括った」ようだ。

あと、ちょっとかわいい。カルロのくせに。


「さてと!さてさて!!どこから話すのだ!?何が聞きたいのだ!??どこまで聞きたいのだ!!!??」


「全部です。全部、話して下さいませ」


「おやおや、随分と欲張りさんなのだね!エリアナ嬢は!!だが良いのかい!?情報はお宝なんだぞ!!よもや、ただで貰えるなどと思ってはいないだろうね!!?」


「お金、でしょうか?」


エリアナが自由に使えるお金についてジルダに聞いておけばよかった。

不安気にジルダを見ると力強く頷いてくれる。

頼もしい。とそこへ、ヘロイーズの顔がフレームインしてきた。


「勿論、違うんだぞ!!お金なんかで私の情報を手に入れられると思っているならば、それはお臍でお茶が沸くと言うものなんだぞ!」


「それでは⋯⋯身体ふぐっ」


困ったようにエリアナが自分の鎖骨から胸元にかけて手を滑らせていると、カルロに両頬を掴まれて上を向かされた。


これはアレかな?

カルロの怒り顔を見せつけられているのかな?

もう「怒っている」と口にするのも面倒になったのかな??


「完璧令嬢エリアナ嬢も勿論魅力的だが!私が興味があるのは秦野少女の方なんだぞ!!」


はっはっはっとヘロイーズが笑う。

秦野少女。

光凛のことだろうか。光凛のことだろうな。


(え。⋯⋯⋯セフレになりたかったのかな?)


「ヘロイーズの前世なんざ知ったこっちゃないが、少なくとも今世のあいつはヘテロだ」


すかさずカルロが情報を差し込んでくる。

さすがは痒いところに手が届く『エスパーカルロ』

だけどそろそろ頬を掴んでる手は離していいんじゃないかな?


それはさておいて、ヘロイーズは別にセフレになりたい訳ではないようだ。

いや、もし仮にセフレになりたいとか言われてしまっていたら困ったどころの話ではない。

しかも、エリアナではなく光凛がいいと言うではないか。

到底無理な話だ。

そんな無理難題な要求をしてくる人間じゃなくて助かった。


「ヘロイーズ様がお優しい方で安心しました」


「ううむ、なるほどなるほど!これはまた、なかなかにやり難い令嬢なんだぞ!!牽制とか嫌味ならけちょんけちょんに蹴散らしてやる所なんだがね!」


はっはっはっと笑うヘロイーズが頭を掻いている。


「まあ、いいさね!悪いが私も暇ではないのでね!!さくさくっと話を終わらせてもらうんだぞ!」


そう言ってエリアナの目を見る。


「私が求める対価は「秦野少女へのインタビュー」だ、⋯なんだぞ!!近いうちにお邪魔するから待っていて欲しいんだぞ!」


そう言ったあとヘロイーズは「黒川が殺された真相」を言い残して生徒会室をあとにした。

フィオリーナの異母姉の友人役に戻るためだろう。


ヘロイーズの言う事には、

黒川は先輩の薬物関係を始めとした、いくつかの犯罪の証拠をかき集め少年院送りにした。

刑が確定するまでに3年。実刑は2年。

つまりあれから5年後に出所した先輩が、黒川の前に現れ犯行に及んだようだ。



「未成年で2年は重いんだぞ!!しかも3年で刑を確定させるなんて、きっと黒川少年は、それはそれは頑張ったんだぞ!」


カルロに半ば無理矢理つまみ出されるヘロイーズをクラウディオが労っていた。


「忙しい所を呼び出して悪かったね。助かったよ、ヘロイーズ。あと、ヘロイーズの変装はエリー以外には充分通用するレベルだから安心すると良い」




完璧令嬢エリアナでも知る由のない前世の刑法に関する予備知識。光凛はきっと知らないだろうとヘロイーズは去り際まで補足して行ってくれたようだ。



つまり黒川は、

それはそれは頑張った結果、殺されたと言う。


そりゃないよ神様。

黒川が不憫すぎるよ。

「いつ解放してあげるんだよ⋯」



「他にも聞きたい事があるんじゃないのかい?エリー」


生徒会室の入り口にクラウディオに腕を掴まれたカルロが立っていた。




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