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転生したら推しが私を嫌いな同級生でした〜完璧令嬢と呼ばれる私を前世の黒歴史で弄り倒してきます〜  作者: モチダ


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15

クラウディオを交えての昼食の時間。

流石に休養室ではなく、クラウディオ在学中は王族専用とされている食堂の一室に集まった。


例によってカルロが、ジルダとキースを指差し「こいつらは」と言いながらエリアナの顔を見たあと「一緒に食うんだな。分かった」と続けた事によりジルダとキースの地獄の時間が始まった。

ちなみにその間カルロは一切クラウディオの方を見なかった為、クラウディオの意向は丸っきり無視である事もジルダとキースの胃を痛めている。


エリアナがクラウディオは仕事が出来なくて落ち着かないんじゃないかと見当違いな心配をしてクラウディオを見ると、にこやかにカルロとエリアナのやり取りを眺めていた。

クラウディオは仕事をしていてもしていなくても、にこにこ穏やかな爽やかイケメンであった。


食事の席にはクラウディオの従者も1人加わったが、愉快そうな顔で「畏まりました」と着席し、興味深そうにエリアナを見ている。

なるほど第一王子の従者ともなると、なかなかに肝の座った男のようだ。



一番奥にクラウディオが座り、その手前にエリアナ、カルロと続いて座る。

クラウディオの従者がカルロと向かい合う形で反対側のクラウディオの手前に一席空けて座り、キースとジルダがそれに続いて座った。


妙な間が空いてはいるものの、大人数の食卓はまるでお誕生会みたいだなとエリアナは思った。

お誕生会なんてTVでしか見たことないけど。


すると妙な空席は招待客がまだ揃っていない為で、これから埋まっていくのではと勝手な妄想でエリアナはほくそ笑み、それを横目で見るカルロは満足気だ。

そんな2人とにこやかに談笑するクラウディオを見て、愉快そうにニヤニヤするクラウディオの従者にキースとジルダは尊敬と畏怖の目を向ける。

そんな感じで昼食は問題なく進んでいった。


食事が始まって少し経つと、意を決した様にエリアナが隣に座るカルロに尋ねた。


「穏便に、って、どうなさるお心算だったのです?」


昨日のやり取りでカルロが「折角穏便に済ませてやろうと思ったのに」と言っていたのが気になっていたようだ。


カルロがチラリとエリアナを見ただけでまた食事に戻ったので、エリアナも渋々お肉を口に運ぶ。


え。何これ。柔らかい。口の中でとける。

そう言えば今日のメニューはクラウディオと同じものだ。

え。王族ってこんなに柔らかいお肉食べてるの?

歯がなくなっちゃわない??


「お前の聞きたいことに1つだけ答えてやる」


お肉の柔らかさに感動していたエリアナは、一瞬カルロの言葉の意味が分からなかった。


「⋯⋯え?」


「って、言うつもりだった」


(え。まじか)


淑女の微笑みは絶やさずソワソワとし始めたエリアナにカルロが意地悪く笑う。


「⋯答えて欲しいか?」


「ですが、「穏便じゃない方法」で話は終わりましたので」


淑女じゃない光凛でも、約束は守る。

淑女のエリアナは、もっと守る。


「俺の言う事を聞くなら、答えてやる」


飛びつきたい程の申し出だが、同時に黒川からは想像もつかない申し出にエリアナは動揺した。

もちろん淑女らしく動揺を見せずに、動揺した。


(え、言う事聞けって、⋯え?カルロが?まさか、え??あ、でも騎士って戦いの後の高揚感?とか何かそう言うの?を発散?させるのが大変とか何とか??)


最近、騎士が出禁になった娼館で大暴れしたと言う事件が世間を騒がせた。

学園内もその話で持ち切りで、その流れでエリアナがたまたま聞きかじった情報だった。

真偽の程は定かではない。


(カルロは鍛錬を欠かさないって聞いたし、本当に()()()()お願いなら、いくら面倒を掛けているカルロと言えど、きっぱりお断りしなくては)


「カルロ様、大変申し上げにくく、また日頃より大変お世話になっているカルロ様のお申し出ではございますが」


「言っておくがエロいことじゃねえぞ」


(まじか。早く言ってよ。そしてエスパー健在)


「お前、本っ当、碌でもねえ奴らとつるんでたんだな」


呆れた顔のカルロにエリアナはフフンと得意気に鼻を鳴らす。


「お言葉ですがカルロ様⋯⋯⋯⋯⋯あの、少しお耳を拝借してもよろしいですか?」


代わりの言葉を色々探してみたが、どうにもしっくりこない。

そのまま口にするのは流石に完璧令嬢エリアナとしてよろしくない。

何より今日は王子も一緒なのだから。


カルロが眉を顰めながら顔を傾けると、エリアナが口元を手で隠しながら、ひそひそとカルロの耳元で言い放つ。


「(男はみんな、えろい生き物なんだって)」


誰かが言ってた。

TVでしか見たことないけど。


カルロがしばらく固まったあと半目でエリアナに向き直ると、エリアナは淑女らしく、どや感満載でカルロを見ていた。


「やっぱり答えるのやめる」


不機嫌そうにカルロが答えるのをエリアナは慌てて止める。

あくまでも淑女らしく、だ。

何せ今日は王子が居るからね。


「お待ちに⋯お待ちになってくださいませ。せめてカルロ様の「聞いて欲しいこと」が何かだけでもお教えください」


これだけは今後の参考に是非とも聞いておかなければならない。

黒川にも、カルロにも、面倒をかけっ放しは申し訳がない。


「カ、カルロ様⋯」


段々とエリアナが淑女らしくない必死の形相になるのを見て、カルロが溜め息を吐く。


「⋯状況が許す限り、俺の前では素で話せ。エリアナではなく」


「それは⋯」


え。そんなことでいいの?

え。それともこれは「聞いて欲しいこと」とは違うの??

えっと。どっち?どっちだ??

エリアナが頭を悩ませていると、カルロは真面目な顔で続ける。


「俺は裏を読むのが得意ではないからな、淑女のなんとやらで隠されるとお前の不調に気付くのが遅れる」


キースとジルダは信じられないものを見る様な目をカルロに向けたが、気付かないエリアナは嬉しそうな声を上げる。


「カルロ様にも苦手なことがございますのね。分かりましたわ。ですが⋯」


クラウディオを見ると従者と何やら話している最中のようで手を上げて目配せをされた。

クラウディオの事は気にせず、カルロと話を続けていて欲しいと言う意味だと受け取り、エリアナは続けた。


「きっと今後はその様な機会は随分と減ってしまうのでしょうね」


素で話して良いというのはエリアナにとっても気が休まる場所になる。

しかし今後、昼食にクラウディオも同席すると言うなら、それ以外にカルロと2人(※ジルダとキースはもれなくついてくる)で話す機会と言うのは、なかなか作れないのではなかろうか。


仮にそのような機会を作れるとして、それをクラウディオの目の前で約束を取り付けるというのは如何なものか。


どうにもエリアナは昨日から、カルロのクラウディオへの不敬罪がチラついて気が気ではないのだが、当のカルロはどこ吹く風だ。

これはアレかな?何かの作戦かな??


クラウディオとエリアナの婚約解消を円滑に進めるための布石か何かだろうか。

映画のクラウディオは献身的に支えたエリアナをあっさり捨てて聖女に乗り換えた感じになっていた。

少なくとも光凛にはそう受け取れた。


今世で接している限り、クラウディオがそんな不誠実な人間だとは思えない。

それならば人知れぬ所で苦しんだのかも知れない。

そして国の為に聖女を選んだ。

王子が迷う姿など見せては国民に不安や不満が生まれるだろう。

顔で笑って心で泣いていたに違いない。


クラウディオの幼馴染であり右腕でもあるカルロは、クラウディオにそんな苦悩を感じさせない為に、予めエリアナとの婚約に懸念材料を作っておく算段なのではないか。

例えばそう、クラウディオとエリアナの仲にカルロが横恋慕していたなら話は変わってくる、と言った風に。


でも、完璧令嬢としてそれは大丈夫なのだろうか。

そして、カルロが悪者になってしまうのでは。

やっぱり、エリアナと関わるとカルロはロクなことにならないようだ。


婚約解消に向けて、エリアナの完璧令嬢を守りつつ、カルロを悪者にしない様な、何か良い方法を考える必要がありそうだ。


そしてその後は、気兼ねなくフィオリーナのところへ行ってもらって、時々顔を合わせた時にこっそり前世の話をすると言うのはどうだろう。

カルロも日本人としての記憶がある以上、貴族から離れて気を休める場所があっても良いと思うのだ。

うん。良いんじゃない?

でも、何だろう?何か忘れているような⋯⋯




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