声格
「えっと……私は、ここの場面では後悔してると思って……」
チームの子が、遠慮がちに自分の考えを言う。
チームのメンバーは私含めて4人、今話してる子を入れると2人が自分の考えを述べた。
「じゃあ、えっと俺はね……」
次の人が、パラパラとページをめくりながら話す。
だいたいさっきの子と同じ内容。
私は自分でもわからないくらいの小さな相槌をうつ。相手に1ミリたりとも伝わってないくせに、よくやるよ。
自分がやっていることのくせに、こんなことを考えてしまう。不思議だよね。
「……ってことだと思う」
話が終わって、チームの4つの机で沈黙を共有することになってしまう。
でも、他の3人の矛先は私に向く。いつもと何ら変わりない、私の日常。
いたたまれなくなって、私はゆっくり口を開く。
「………私も、後悔してると思う」
喉をおさえても、声は変わらない。低い声のまま、話が終わってしまう。
「……それだけ?」
「え?」
間抜けな声が出て、慌てて口元を隠す。
同じチームの、男子に問われる。
「発表、それだけ?」
いたたまれない気持ちになって、私は目線が泳いでしまう。
まるで底なし沼にはまってしまったかのような、感情がごちゃ混ぜになる。
「……これだけ、だけど、何か?」
無意識に口から出た言葉は、相手を傷つけるものだった。
強い口調、低い声、感情がつかめない声。
それが私、私の『声』格。
「さあ、そろそろ次の場面行こうか」
こっちを見て、先生が言う。
「……」
その言葉が耳に入ったチームの男子は、少しだけ顔をしかめてシャーペンを持ち直す。
相手の思うことなんて、わからない。ましてや嫌いな人の思うことなんて、もっとだ。
それに、むしろ知りたくもない。
嫌いな人のことを考えるだけで反吐が出そうなのに──それは私だけ?
心晴や、穂花は違う?
私とは、違う?
あの場面で、私は後悔していた?
何を思っていた?
疑問が、国語のテストのようにどんどんと押し寄せる。
穂花はじっと、ただ一点を見つめた私を見ていた。




