預けたい
「あ、チャイム!」
ゆっくり歩きながら穂花と話していたら、いつの間にか学校へ着く時間はギリギリになってしまった。
「やばい、あと5分で遅刻だよ!!」
「やば……」
あれ、私って、穂花の前だと──。
穂花に肩を2回叩かれて、私は教室へ向かって走った──。
***
「じゃあ……浅野さん、この問題わかる?」
「へっ?」
数字の問題を解く右手が止まる。
まずい、解くのが遅かった私は話を聞いていなかった──。
すると、斜め右前、つやつや黒髪のお団子が「3番!」と小声で私に伝える。
「あっ……15x……」
いつもの暗い調子に戻ってしまった。
急いで咳払いをするが、なんのごまかしにもなっていない。
前の方に座っている男子が「もっと明るくいこーよー」と茶々を入れる。
うるさいなぁ、と気持ちがわくと、心臓が少し早く動いた。
「ちょっとお前らうるさいぞ!!次はこの問題──」
私のことをバカにした男子達に少しだけ目を向ける数学の先生。
先生の話を聞いてなかった私に、助け船を出してくれた穂花。
全員に、どれだけずつ肩を預ければいいんだろう。
肩を預けられたら、どれだけ楽なのか、私にはわからない。
あ、穂花のことを調べないと、だ。
シャーペンをまたいじる。
もうこの動作はクセになってしまっている。
心晴からもらったシャーペンを、いじるクセ。
心晴にそばにいてほしいと、思う私。
穂花と仲良くなりたいけど、怖い私。
宵乃のせいで、私は変わってしまった。




