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繋がっていた

「心晴ちゃん……?あ、そうそう心晴ちゃんと君って仲良かったよね」


私はそこは触れてほしくない、と声には出さずに少し暗い表情をする。

察してくれ、と今日は柄にもなく思う。


すると、それに気づいて察してくれたのか、身を守るためか。

穂花の後ろから声が聞こえた。

「ねぇちょっと穂花、千奈ちゃんの顔見てよ」

隣にいた少女が、穂花の後ろからひょこっと顔を出す。そして穂花の後頭部をポンとたたいて咎める。


「ごめんね、千奈ちゃん、時間邪魔しちゃって」


そう言うと目の前のポニーテールの少女は、申し訳なさそうに穂花の背中を押して、机の間を縫うようにして去っていった。


私は、なにか引っ掛かる物を抱えていた。

見たことあるような、ないような。

嫌いな人だったような、そうじゃなかったような。


───わかってしまった。


その女は昔、私と心晴のことを甲高い声で笑っていた人物だったことに、ハッと気がついた。

そのことに気がつくだけで、脳裏にあの日の心晴の手の感触が浮かぶ。

小刻みに震えていた、華奢で色白で、小動物のような心晴の手を。



宵乃と繋がっていた、人物。

宵乃が流す、私と心晴の嘘の情報を聞いていた人物。

私が大嫌いな人物と、親交があるかもしれない人物。


じゃあ、私もあの女のことが嫌いだ。

だとしたら、穂花──は宵乃と繋がっている?


考えれば考えるほどわけがわからなくなる。

家だったら、周りの目を気にせずに頭を掻きむしれるのに。



***



5、6時間目を適当に過ごした私は、今日は放課後に委員会の集まりがあることを思い出し、私は保健委員の子と委員会の教室へ向かった。

委員会の教室に着くと、先生が教卓に肩を預けて、荒れ果てている教室を「むむむ」と険しい顔をして見ていた。

生徒達が帰っていった、教室の机と椅子はぐちゃぐちゃになっていた。

そのことを、委員会の冒頭に先生が触れていたんだっけ。


そんなどうでもいい、関係がない会話を聞き流しつつ、私はシャーペンをカチャカチャと触る。

このシャーペンは、数年前の私の誕生日に心晴からもらったものだ。このシャーペンには、やっぱり思い出がたくさんあるし、なにか不思議な力がこもってるんじゃないかなと勝手に意味付けをしている。

まあそんなもんだよね、そんじょそこらの中2なんて。思考のレベルが低いのが、見え見えだ。



***


保健委員の集まりでは、「トイレを綺麗に使おう」という趣旨のポスターを作った。

先生の話によると、「最近トイレの使い方がなってない」そうだ。


トイレの鏡を独占してるグループがいたり、トイレットペーパーを取りすぎてしまう人がいたり、トイレのスリッパが揃っていなかったり。


そんなの、私みたいなスクールカースト下位の子達は頑張ってる。一つ目なんてそもそも関係ない。

まあ宵乃みたいな人がそういうバカなことをしちゃうんだろうな───



───学校からの1人での帰り道、私はふと気づく。

私はただ、宵乃のことを否定したいだけなんだと。自分が宵乃を嫌っていることを正当化したかった。宵乃の悪いところを見つけたかった。

それだけだった。

それだけの理由で、きっかけがあればすぐに宵乃のことを考えて、否定して。

「なんだ、」と自分が抱えていた気持ちの正体がやっと視えた気がする。

まるで千本引きから狙いの景品が当たったかのような、少しだけ高揚感に包まれる。

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