表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/15

心晴の良心

「宵乃」の読み方は「よいの」、

「広瀬穂花」の読み方は「ひろせほのか」

です。

その女子達の会話が聞こえ、顔を見合わせる私と心晴。

真ん中にいた宵乃の口は、モゴモゴと動いている。


「よ、宵乃……?大丈夫?」


心晴は良心だけで宵乃のことを気にかける。

すると宵乃は、


「ぷっははは!!舌噛んでも笑い噛み殺せないんだけどっ!!っはは!!」

と笑い出した。


不気味だった。

突然腹を抱えて笑い出す宵乃。

その宵乃を見て、満足そうにニタニタと笑う女子達。

私は宵乃と女子達を交互に見て、ある可能性を確信にまで持っていく。



「あぁ、わかった。心晴、家帰ろ」

私の口から出た言葉は、意外にもあっさりとしたものだった。


「え?宵乃ちゃんは……?」


「あぁ腹ちぎれる…っはは」などと、訳のわからないことをほざいているやつのことをチラリと見る。


「ほっとこ。後ろの女子と仲良いみたいだしさ」

私はそう言うと、心晴の手を強引に取る。


心晴はそのことに驚き、「え、ちょっ、千奈ちゃん!離して!!」と私に訴えかける。


そんな心晴を見て、私は「宵乃のところに行くつもりでしょ?」と言う。

心晴はコクリと頷いた。


「──やっぱり。私達の嘘の噂流してるような人と話すのって楽しい?」


心晴は、私の目をみて絶句する。


「………っっ」


「心晴、無理しないでね」


帰り道、2人は何の言葉も交わさなかった。

夕日に照らされる、いちょう公園のブランコを、無心でこいだ。


キコ…と、金属が軋む音が小さく鳴った──



***


やっぱり嫌な記憶だ。

宵乃のことなんて、思い出すだけで反吐が出そうだ…。



***

給食を食べ終わり、私は本を読んでゆっくりと時間を過ごしていた。

そんな中、私は誰かに声をかけられる。


「千奈ちゃん」


どこから出しているのかわからない、甘ったるい声に、反射的に相手の顔を睨んでしまう。

斜め後ろにもう1人誰かいるようだが、あまりよく見えない。


少し高い位置でお団子をしている、つやつやで黒い髪。すらっとしている体型。学校指定の体操服を、私とは違って着こなせている。体操服は最初から自分のものだったと勘違いしそうになるほど、彼女はかわいかった。「元がいい子って、やっぱり何を着てもかわいくなれるんだ」と少し嫉妬のような気持ちの輪郭を掴んでしまう。


初対面の人のことをジロジロと見てしまう癖、いい加減やめたいな。でも、こういう声の人物とはなるべく関わりたくないし、今までこういう声の人に対していい思い出がない。


私が一向に話し始めないせいか、相手は自己紹介を始める。クラスメイトの名前すら把握していない私にとって、それはありがたいことだった。すぐ忘れてしまうかもだけど。

「あ、あたしの名前は広瀬穂花。君ってさ──」


「……急に何?」


……まずい、また喉が勝手に低い声を……。

どうしたらよかったんだろう。




「君ってさ、声──人によって、変えてるよね?あたしずっと気になってたんだよね」



ごめん、ごめんなさい……。

ここで「私が怖い」と覚えたら、もう二度と私に近づいてこなくなるかな。

そんな甘い考えも、目の前の人の声も、なにもかも──

「……うるさい」

全て──。


だんだん、冷や汗が出てくる。

心なしか、呼吸も不規則になってる気がする。


「えっ、ちょっと千奈ちゃん、大丈夫……?」


「心晴……」


私はとっさに口を押さえた。

無意識に、心晴に助けを求めてしまっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ