謝るという行為
美香は、なぜ今謝る?
美香達が私達に酷いことをしてきたのは事実だし、「謝る」という行為は当たり前だと思う。
でもなんで、こんな微妙なタイミングに?
「………生き方、変えたいなって思ってさ」
美香が不意に大人っぽい表情を見せる。私の心臓が強く脈打つ。
「その、今日は『反発してみよう』って頑張ったんだ。だからあんな風になっちゃって……。でも、間違ってたよね。いろんな子に迷惑かけてさ」
「………うん」
声が変わる。低い声、感情が見えない声。
「私の声がこんなになっちゃったのも、君たちのせいなんだよ?」
咳払いをする。その咳払いさえも、美香にプレッシャーを与えている。
「………ごめん、なさい」
美香はうつむいたまま顔をあげない。
前髪が風でなびいていることしかわからない。
「………辛気臭い話やめよ。じゃあ、今日のことは反省して。そして、もう、今までみたいなことしないで」
「あと、心晴にも謝って。私なんかに謝るなら、心晴にも謝ってほしい」
私の畳み掛けるような言葉を、美香は静かに聞いていた。
***
「もう、千奈!何してんのー!!」
教室に入った途端、穂花が私に向かって走ってくる。
「心配だったんだよー、本当に!!美香ちゃんと話してて」
「……声でかいよ」
バシン、と言葉でツッコむと、私はそそくさと荷物をまとめてロッカーにしまう。
「……話の内容って、あたしが聞いてもいい内容だった?」
私の一連の動作を見ていた穂花が、ポツリと呟く。
「……別にいいよ、私は」




