形成する
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家に帰った私は、とりあえず気持ちを整理しようとラジカセを手に取った。
カチャ、カチャとかわいらしい音が鳴る。
CDをセットして、ボタンを押す。
そして、お気に入りのあの曲にセットする。
私は、「片耳で音楽を体に入れて、もう片方の耳で外に出す」というイメージを持っている。
なぜなのかはわからないけど、音楽が体に残り続けるのは嫌なのだ。
不思議なこだわり。
でもこういうこだわりが、私──「浅野千奈」を形成する。
性格までも、いつしか呑まれていく。
「ぐるぐるぐるぐる続いてる」
一曲が終わると、
「キキキ……ストン」
という少しだけ滑稽な音が鳴る。
この音も、意外と好きだったり。
なぜだか、無性に穂花に会いたくなった。
穂花は、こんなことを話したら笑ってくれるだろうか。
きっと、笑ってくれる。穂花だから。
***
翌日、いつものいちょう公園に、少し早めに来てブランコに乗った。
ブランコの金具の軋む音が、もう心地よい音に聞こえてくる。
すると、公園の入り口にある女の子が現れる。
その女の子は、黒いつや髪の少し高い位置でのお団子で、すらっとしている。
無意識に目を見張ってしまうような、かわいさ。
この特徴を、記憶と照らし合わせて──って、こんな思考はもういらない。
もう、誰かわかってるくせに。
この公園に現れて、嬉しいくせに。
一目見ただけで、わかったくせに、なんで回りくどい思考をしてしまった?
まさに蛇足じゃん──。
その女の子──穂花はこっちに駆け寄ってくる。
穂花は、太陽に照らされた横顔を私に向ける。
黒髪のお団子が、太陽に照らされてきらきらと輝いて見えた。
「千奈ちゃん!!見つけたっ」
穂花は、そう言って天使のような笑顔を見せた。
天使のようにきらきらしていて、太陽のように眩しい笑顔。
私にはもったいないとさえ思ってしまう、穂花という存在。
「穂花──なんで?」
まず、私は率直に疑問を口にする。
穂花とは、約束も待ち合わせもしてないのに。
「心晴ちゃんと待ち合わせするなら、この公園かなって思って!」
穂花はそう言うと、頭を人差し指でさわる。
こういう少しだけオーバーな動作が、穂花の「らしさ」。
「あのね、実は、私も千奈ちゃんと似てて──」
「え?」
突然、穂花は何かを言いかけた。
何を言いかけたんだろうと、「何…?」と聞きかけようとしたとき、自分の声が少し低いことに気がついた。
なぜだろう、恐怖心が勝ってしまっているのか。私は穂花に心を許したんじゃなくて……?




