いちばん
呵々大笑。
そんな休み時間を終え、階段を駆け上がるように6時間と部活を過ごした。
部活が終わり、心晴と並んで帰路に就く。
他愛もない話をしていると、ふと心晴が妙に強張った表情で
「──クラスで、友達できた?」
と私に聞く。
心晴の声が、少しだけ震えているのを私は聞き逃さなかった。
でも、そういうことに耳を傾けてしまうほど、私には余裕があった。
今まで、心晴がこういう質問をしてくることはなかった。
「今、心晴がこの質問をしてきたのには確実に理由がある」と私の経験が言っている。
そうか、心晴は穂花のことで気になったのか──。
朝、穂花が私に話しかけてきたから───。
「できた……かも」
私は、そう呟くと、慣れない微笑みを見せた。
「私はもう大丈夫だよ」という気持ちを込めて。
それに、「今までありがとう」という気持ちも。
あと、「これからもよろしく」もか。
私にとって、心晴が特別という気持ちはきっと一生変わらない。っていうか、変わってほしくない。
穂花への気持ちと心晴への気持ちは違うし、同じにしたくない。
でもだからと言って穂花のことを大切に思ってない訳ではない。
あれ、私は、心晴にとっての「いちばん」だったのかな──。
言語化が難しい。
全てを心晴に話したいと思ったけど、説明が難しくて喉の奥から出てこない。
「そっか」
心晴はそう言って受け止める。
声色からは表情が読み取れない。さっきから心晴は、私の少し前を歩いている。
心晴の表情を横から覗くと、少し悲しそうな表情をしていた。
「心晴……?だ、大丈夫……?」
「千奈、ごめんねぇ……」
心晴は消え入りそうな声でそう言った。
「……なんか、嬉しくて。『千奈に、友達が』って思えば思うほど、気持ち抑えられなくなっちゃって」
私はハッとする。
心晴は何を感じているんだろう。
「……ごめんね、いろいろ言いすぎたかも。上から目線だったし」
「ううん、平気だよ、心晴。……あ、いちょう公園寄ってこ」
私は、少しだけ気まずい空気を上書きするために、いちょう公園を指さす。
幸い、ブランコには人がいなかった。




