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竜が歌うは恋の歌  閨に響くは俺の声  作者: 後ろ向きミーさん
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めくるめく夜に

夜も更け、竜の里をあげての祝言の宴席が始まる。


唯一人『娶る』事が叶わなかった自分が宴席に出向けば、水を差す事になるだろう・・ロアンは参加の辞退を告げる。

周囲からの向けられる、気の毒そうな視線が居た堪れなかった。



一人夜の里をあてもなく彷徨っているといつに間にか、双子の子供に懐かれ手を引かれていた。


「こっち。こっちだよ。」


『娶り』の時期以外、人が訪れる事の少ない里だ、客人が珍しいのだろう。


子供といえど、小柄なロアンとさして身長は変わらず、驚くほど大柄だ。

また美しい顔立ちで、これもまた平凡なロアンとは比べ物にならない程整っている。


竜の末裔と言われる里の人々は、総じて美しく大柄な体躯に恵まれている。

だが彼らは、争いを好まず温和で竜と共に静かに慎ましく暮らしているのだ。



何処からか微かに歌声が聞こえてくる。


鈴の音の様に澄んだ声と言うのは、この様な音なのだと思わせる、美しい声だった。


ここに来て、どうやらこの双子がロアンを声の主の元へ案内しているらしい事に気が付いた。


林を抜け湖の畔へ出た先には、月の光を浴び金色に輝く髪を靡かせ歌う美女が佇んでいた。


あんな夢みたいに綺麗な人が、この世にいるんだ・・・。

しかし・・?・・何やら違和感が・・。


双子に引かれ美女に近づいて行くと、その違和感の正体が次第に分かってきた。


・・この美女・・俺よりも頭四つは確実に大きい。

小柄なロアンが、首が痛くなる程見上げる身長差だ。


これは・・里中でも、抜きんでて大柄なんじゃ・・・。


金糸の様に輝く艶やかな髪、澄んだ新緑を思わせる翠の瞳、通った鼻梁に、蠱惑的な唇、豊満でたわわな胸元、薄絹から覗く滑らかな手足・・。


我が国一番と美女と称えられる皇女を遠目に見かけた事はあるが、この方の美しさには遠く及ばない。

ロアンがこれまで出会った女性の中で最も美しい人を目の前に、知らず体が強張っていた。


「二人共、案内ご苦労様でした。さ・・騎士様・・こちらの席へどうぞ。」


勧められ場には、心づくしに料理や酒が揃えられていた。 


成程・・竜を娶れなかった俺を気使い、わざわざ祝宴の喧噪が届かないこの場所に別席を設けてくれたという事かな。


里の者の気遣いが心に染みるなぁ。


「あの・・騎士様・・お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」


「あぁすまない!名乗りもしていなかったな、ロアンだ。平民だから家名は無い。貴方の名は?」


「・・ヒスイと申します。」


「精霊の様な美しい方と、差し向かいで飲むなんて緊張します・・。」


「まぁ嬉しい・・。」


席に着き感謝を伝えるが、この身長差だどうしても目線の先が胸元にいく。


眼福だが少々目のやり場に困る。


口当たりの良さと、照れ隠しに酒が進んむが、かなり酒気が強い物だった様だ。

さして強い訳でも無いロアンは、あっという間に、ふわふわとした夢心地になっていた。


騎士としての振る舞いもすっかり解けて口調も態度も平民丸出しの素のロアンを、ヒスイが蕩ける目で見つめていた。


「選ばれた仲間が羨ましい・・ううん妬ましいかも・・。みっともないなぁ俺。・・愛し子なんて呼ばれて、自分じゃわかんないけど、腹の底のどっかに慢心があったのかなぁ?」


いつの間にか美女の膝上に坐らせられ、その腕の中に閉じ込められていた。

まるで赤子の様にあやされている様だ。


あぁいい匂いだ。それに柔らかい・・。


「俺竜が好きなんだ。竜騎士になれなくても、竜に関わる仕事をやっていきたい・・。今迄やってきた事を無為にしたくないよ。」


「ロアン様は、心根の真っすぐな方なのですね。」


ほうっと頭上にかかる吐息のくすぐったさに思わず見上げると、そっと触れるだけの口付けを落とされた。


へ?今口付けられたのか?


ぽかんと、惚けた表情で固まるロアン。


ヒスイは、華が綻ぶような妖艶な微笑を浮かべなから、戯れの様にペロンとロアンの唇をもう一舐めした。


「・・可愛らしい御方。」


顔を真っ赤にし、ますます固まるロアンに、ヒスイの舌が差し込まれ絡みつく。


体躯に見合う大きな舌が、ロアンの咥内を味わいつくすかの様に犯かしていく。

荒々しく動き回る舌とは裏腹に、まるで壊れ物を扱うかの様に、そのままそっと押し倒された。


「ん・・うんっ・・んん・・。」


「あぁ・・なんて甘いの。やはり間違いない貴方が私の・・。」


ヒスイの小さな呟きが聞こえたが、酸欠状態でくらくらと逆上せるロアンは、それどころではない。



そこから先は怒涛だった。


大柄な彼女の腕の中に閉じ込められたまま、まるっとさくっと剥かれ、何度も求められた。

ヒスイの手練手管は考えられない程匠で、何度も上り詰めては、彼女の中で果てる。


目くるめく爛れた夜に、ロアンの啼き声だけが響いていた。


ロアンとて男だ。

先輩の奢りとはいえ、娼館経験だってもちろんある。

だけど、こんな気持ち良くなかったよ!

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