第601話 インコ
ピコねえが初めてゲットした召喚獣はインコでした。しかも2体。
ただ鉄板を持っていただけで武器で倒した判定になったみたいだけど、これってボクがカブトムシをゲットしたのと一緒のパターンですよね。
しかしなんで鉄板に突撃してきたのか意味不明すぎる!
カブトムシは無敵野郎だから壁を破壊しながら行きたい場所に直進してただけだろうけど、インコはたぶん無敵じゃないし、通りすがりでもないような気がする。
ふむ・・・。あ~、本人に直接聞けばいいのか。
いや、ボクの召喚獣じゃないんだった!ピコねえに理由を聞いてもらおう。
「色といい顔といいホント全部可愛い!よろしくなチビども!」
ピコねえがインコ達の頭を指でなでなでした。
「低すぎなのです!手の上に乗ってもらったら?」
「それだ!ホレ、私の指に乗るといい」
ピコねえがしゃがんだまま指を差すポーズで両手の人差し指を前に出すと、インコ達がピョンと人差し指に飛び乗った。
「うひょーーーーー!可愛すぎる!!」
「なるほど!指の方が掴まりやすいですもんね。良い飼い主なのです!」
そのまま人差し指を向かい合わせると、2体のインコが横に並びました。
「そうそうピコねえ、なんで鉄板に突撃してきたのか聞いてみてください!」
「あーーー!私も気になってた!おうお前ら、なんで鉄板に突っ込んで来たん?」
『ムイーーーーー』
『チョウチョウチョウ』
なにチョウチョウ言ってんねん。
水色は『ムイーーー』って鳴くのに、黄緑色の方は『チョウチョウ』って。
こいつら面白すぎでしょ!
「光ってたから??それだけの理由で?」
『ムイーーーーー』
『チョウチョウチョウ』
「ぷぷッ!光ってたから鉄板に突撃したん?」
「良い光り方をしてたらしい」
「なにそれーーーーー!でも流石鉄板なのです。インコまで魅了してしまうとは」
「インコ?」
「ああ、その鳥の名前なのです」
「勝手に名付けんじゃねーーーーー!こいつらは私の鳥だから!」
いや、勝手に名前を付けたとかじゃないんだけど。
「そうじゃなくて、ボクが知ってるインコって鳥と同じ顔してるから、つい口に出ちゃっただけです」
「へーーーー!似たような鳥が他にもいるのか」
別世界の鳥なのです。
「そういえば、ボクが知ってるインコって人の言葉をしゃべるんだけど、こいつもしゃべれるのかな?」
「な、なんだってーーーーー!?」
「水色は『ムイーーー』って鳴くのに黄緑色は『チョウチョウ』鳴いてるし、頑張ればしゃべれるような気がしますぞ?」
「確かに鳴き声が違う!」
例えばハムちゃんだと、みんな声は違えど鳴き方は『チュウ』なのです。ハトもみんな『クルックー』って鳴くし、こいつらだけ普通じゃないのだ。
鳥は声帯じゃなく鳴管で声を出してるらしいけど、インコやオウムは喉の筋肉や舌が発達してるから色んな音が出せるらしい。
たぶん頭が良い鳥だから人の声真似が出来ると思うんだけど、よく考えたら頭が良いと意識の共有が出来ないのか・・・。
いや待て!こいつら光ってたって理由だけで鉄板に突撃して死んだよね?
どう考えてたっておバカじゃないですか!
これワンチャンあるんでね!?
「ピコねえ、魔力の消費はどんなもん?」
「ん?魔力?」
初心者すぎて全然気にしてなかったみたいだけど、言われてみてどれくらい魔力を消費したか感じようと頑張ってます。
「よくわからん。たぶんほんのちょっと?」
「ガリっと減ってたら体感できるハズだから、本当に消費が少なさそうですね」
「小っちゃいしな!」
なら何度も出したり消したりしても大丈夫そうですね。
「ボクとライガーさんがカロリーゼロを遠隔操作してたの覚えてます?」
「あ~、そういえば自分で動かしてたね。・・・え?もしかしてこの子達も自由に動かせるの!?」
「条件さえクリアすれば出来ますよ」
「おしえて!」
「じゃあインコ達を一旦消して下さい」
「インコじゃなくてピアリスな!」
ピコねえがインコを消した。
「なぜ消してもらったかというと、本人の前では言えなかったからです」
「本人ってピアリスのこと?」
ボクの言ってることはわからないと思うけど、ピコねえが発した言葉は聞こえちゃいますからね。
「遠隔操作できる召喚獣って実は少ないのですよ。遠隔操作するには意識の共有をしなければならないのですが、頭の良い召喚獣は自我が強く、意識を乗っ取ろうとすると弾かれてしまうのです」
「意識を乗っ取るの?頭が良いってどれくらい?」
「どれくらいって聞かれると難しいのですが、ボクが意識の共有に成功した召喚獣は、カロリーゼロとアホ鳥とスズメちゃんの3体だけです」
「色々持ってるのに3体だけか~~~」
「その3体に共通してるのは、普段何も考えていない感じの本能だけで生きてるようなタイプだってことです」
「それってもしかして・・・」
「そう!意識の共有ができる子ってのは、『おバカな召喚獣』なのです!」
「あーっはっはっはっはっはっは!そりゃ本人には聞かせられんわ!!」
ご主人様におバカって言われたら傷付いちゃいますからね。
「インコはどっちのタイプだと思いますか?」
「ピアリスな!」
ピコねえがインコとの出会いを思い浮かべてます。
「そういやあいつら、何も考えず鉄板に突撃して死んだな・・・」
「頭が良い行動とは思えませんね」
「もしかして、おバカなのか?」
「おそらく・・・」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
―――――初夏なのに冷たい空気が流れた。
「ふむ、試してみるしかあるまい」
「ただですね、ピコねえはインコしか召喚獣を持ってないので、ライガーさんに伝授した手順で進めると酷い目に遭います」
「怖いんですけど!」
「だから視覚の共有をすっ飛ばして、いきなり意識の共有をしようと思います」
「ほうほうほう」
「本当は召喚獣に意識を引っ張ってもらうことで共有の感覚を理解することができるんだけど、その手が使えないから根性で意識を乗っ取るしかありません」
「意識を乗っ取れと言われてもだな・・・。初心者にもわかるようにプリーズ!」
「えーと、やっぱり最初から説明した方がいいか・・・」
セオリー通りに視覚の共有からやった場合、意識を引っ張られた術者本体が抜け殻のようになり、召喚獣にお願いして元の身体に帰してもらう必要があるのですが、おバカな子はなかなか帰してくれないから酷い目に遭うのです。
半日くらいで済めばいいけど、下手したら魔力が尽きるまでそのままってことも有り得ますからね。
なのでピコねえにはボクが体験した感覚を言葉にして説明し、最初から意識を乗っ取りにいってもらいます!
ただ術者本体に半分意識を残さないと気絶してしまうので、錬金術師のお店の壁に寄り掛かるように座ってもらった。
「じゃあインコを1体だけ召喚してください」
「ピアリスな!じゃあ黄緑出てこい!」
黄緑色か~。チョウチョウ鳴く方だな。
「あとは意識を乗っ取れるまで試行錯誤を繰り返すのみです!」
「頑張ってみる」
―――――ピコねえとインコが見つめ合ったまま10分が経過。
苦戦してるようなので、手本を見せようと思い、スズメちゃんを召喚して意識を共有した。
インコのすぐ隣までピョンピョン跳ねていき、ムーンウォークしてみる。
「横で変な踊りすんじゃねーーーーー!気が散るわい!」
『チュイッ!?』
気が散ると怒られたので、ピコねえはそっとしてあげることにし、なんとなく飛行訓練を開始した。
インコとタンデムするのがボクの夢です!
あれ?タンデムは縦並びだっけか。横並びだとなんて言うんだ?
そもそも二人乗りじゃないからタンデムとは違う気がする。
とか一人であれこれ考えてたら、ピコねえがボクに寄り掛かってきた。
あ、成功したのかも!?
スズメちゃんを消して、ピコねえの身体を支えた。
「もしかして意識の共有に成功した?」
『チョウチョウチョウ!』
結局チョウチョウ言ってるけど、歩こうとして盛大に転んだので、コイツはたぶんピコねえだ!
『チョウチョウチョウチョウ!』
なんかゴチャゴチャ言ってるけど、チョウチョウじゃわからん。
たぶん逆関節だから『操作むずッ!』って文句言ってるんだと思う。
そしてなんとか立ち上がったインコでしたが、アホ面で気絶してる自分の姿を見てフリーズした。
『チョウチョウチョウ・・・』
今のはわかる!『これはひどい・・・』って言ってますね!
しかし意識の共有に成功したってことは、やっぱインコはおバカでしたか。
とりあえず歩けるようになったら、次は気絶しない訓練ですね~。
しゃべる前にやることがいっぱいなのです!




