第599話 ピコねえを空飛ぶ島に連れていこう
ホタテ狩りイベントも無事終わり、今日は冒険者チームも特に用事があるわけでもないのですが、習慣で何となくみんな大奥にやって来ました。
ここに来ればいつも何か面白いことが起きるので、とりあえず集まって適当に朝食をいただいてます。
「ちょっと特殊な鉱石が欲しいから、一度エルヴァリアに連れてってほしいっス」
チャムねえの一言に、みんな『ん?』って顔をした。
「エルヴァリアってどこだ?」
「あ~、あの空飛ぶ島のことっス」
「「そんな名前だったのか!!」」
「島っていうか国の名前っスね」
「当時は結構有名だったんだけどな~」
「にゃはははは!空飛んでますし、そりゃ有名だったでしょうね!」
今までずっと『空飛ぶ島』って呼んでたわけですが、実はちゃんとした名前があることが判明しました!
古代人コンビの療養をしたりであの島に何日もいたのに、ベレッタお姉ちゃんもチャムねえもなんで教えてくれなかったのか・・・。
しかも『エルヴァリア』とか、メッチャ格好良いし強そうじゃないですか!
「じゃあ今日は空飛ぶ島だな!クーヤ、送ってもらっていいか?」
「了解なのです!」
「鉱石を売ってる店に行きたいの?」
「有名な錬金術師の店っスね。珍しい鉱石がいっぱい展示されてたはずっス。あと街の外に精錬所もあるっスけど、とりあえず今は放置でいいかな?」
「お宝まみれじゃない!まだ調べてない店って結構あるよね?」
「怖くて調べられないというか・・・」
「「見つけたらまた大掃除だし!!」」
ボク達だって、まだ良い店が眠ってることくらい予想していたのだ。
でも当たりを引いたら大掃除がセットで付いてくるのですよ!
「そういえば、街の南にもう一軒宝石屋さんがあったよね?」
「あるっスね」
ガタン!
「「宝石屋さんですって!?」」
ベレッタお姉ちゃんの新情報に、お姉ちゃん達が思わず立ち上がった。
まだ宝石屋さんがあったとは!
「そんなの絶対探すに決まってるじゃない!」
「今日の予定は決まりだね!宝石屋と錬金術師の店を探す!」
「ちょっと待て。宝石屋が2軒あるってことは、ひょっとして武器屋・防具屋もまだあったりするのか?」
「少し南に行ったらあるよ」
「ココミットさんの魔法屋もあの辺にあるっスね」
「「マジか!!」」
なぜボク達は1軒しかないと思い込んでいたのか!?
廃墟とはいえ大きな街なんだから、そりゃライバル店だってありますよね~。
「なんか凄いことになってきたよ!」
「と、とりあえず偵察に行くだけにしねえか?」
「大掃除があるもんね・・・」
「何言ってるの?大掃除はもう決定よ!宝石屋があるのよ!?」
―――――そう言い放ったシーラお姉ちゃんの目はガチだった。
「あ~、それならついでに錬金術師の店も掃除したいっスね~」
「じょ、冗談はそれくらいにしないか?」
「冗談じゃなく本気だから!今日は頑張るわよ~!」
「なんてこったーーーーーーーーーー!」
どうやら今日は地獄の一日になるみたいです。
従業員達に指示しなきゃだから薬局には行かなきゃならないのですが、大掃除があるとなるとボクも手伝わなきゃですよね?
それに宝石屋さんとか武器屋さんを探すんですよ?お姉ちゃん達と一緒に行かないと流行に乗り遅れてしまうじゃないですか!
そうだなぁ、従業員達には接客のおさらいとか皿洗いとかさせとけばいいか~。
大掃除のお手伝い要員として連れてってもいいんだけど、まだ空飛ぶ島を見せるほど付き合いは長くないし、さすがに時期尚早ですよね。
トントントン ガチャッ
「おはよーでございますじゃ!」
変なのが来たと思って玄関の方を見ると、そこにいたのはピコねえだった。
「あれ?ルピス達はいないの?」
「昨日実家に帰ってそのまま泊ったので、家から直接クーヤちゃん薬局に来ることになってますね」
「そうだったのか!」
「なにか用事でもあった?」
「休みだからあの店に遊びに行こうかなって思ったんだけど、専務が仕事に行くなら一緒についてく!」
「あ~、従業員達に仕事を指示しなきゃだから一応出社はするけど、今日はすごい用事ができちゃったからどうしようかな~?」
・・・待てよ?ピコねえは助手1号として色々な場所に連れ回すと思うし、一緒に連れてって大掃除のお手伝いさせるのはどうだろう?
彼女になら空飛ぶ島を見せても大丈夫な気がするんだよね。
助手1号として雇った時に守秘義務があるって説明して契約書にサインしてもらったし、そもそも大奥メンバーだから色んな秘密を知っているわけで、ドラゴンくらいじゃもう驚かないっしょ!
ピコねえは休みで暇潰ししたいだけだろうし、クーヤちゃん薬局じゃなく空飛ぶ島に連れていこう。絶対こっちの方が面白いに決まってるもん!
「ところで、ピコねえに一つお得な情報があるのですよ」
「お得な情報だと?聞こうじゃないか」
「ピコねえも順調にクーヤちゃん仲良しポイントが貯まってるわけですが、ボク達と一緒に大掃除のお手伝いをすることで100ポイントに到達し、ハムちゃんが1体もらえるのです!」
「クーヤちゃん仲良しポイントってなんやねん!・・・ん?ハムちゃんがもらえるだと!?」
「ボクの召喚獣だから正確には貸し出す感じになりますが、ラン姉ちゃんやぺち子姉ちゃんみたいにハムちゃんを連れ回せるようになるのです!」
「そんなの絶対欲しい!!え?大掃除を手伝えばもらえるの?」
「うん。今日の夕方にはあなたもハムちゃん持ちプレイヤーです」
「手伝う!もうルピスどころじゃねーーーーーーーーーー!」
よし、ピコねえゲットだぜ!
話を聞いてたお姉ちゃん達もニヤニヤしてますね。
「シーラお姉ちゃん、とりあえずクーヤちゃん薬局に行って従業員達に仕事の指示してから出発ってことでいい?薬局に行くのはボクだけでいいです」
「タマも一緒に行く」
「えーと、西門で合流ってことにする?」
「じゃあそれで!薬局から出たらハムちゃんで連絡します」
「了解♪」
というわけでタマねえとピコねえと3人だけで薬局に行き、従業員達が集まったところで今日の仕事を指示しました。
皿洗いが終わったら、この前の特別オープンのおさらいですね。
接客とか色々反省点があったから、練習あるのみなのです。
テーブルが足りなかったから喫茶を拡張しなきゃならないんだけど、それはまた次回ってことで!
店長は別の用事があると説明し、あとは副店長にお任せして店を出ました。
ピコねえは何しに来たのかってなったけど、『ハムちゃんのために大掃除を頑張るぜー!』と楽しそうにしてるから、意味不明ながら頑張れと激励されてました。
ハムちゃん通信でお姉ちゃん達に連絡し、そのまま西門へと移動。
西門から街の外に出て、アホ鳥でドラちゃん乗り場に向かう。
「・・・あのさ、店の大掃除するんでしょ?何で街の外を走ってるん?」
「あ~、大掃除するのは別の街にあるお店なのですよ」
「な、なんだってーーーーーーーーーーーーーーー!?」
ボク達の会話を聞いてお姉ちゃんがクスクス笑ってたけど、そうこうしている間にドラちゃん乗り場に到着しました。
「それではこれからエルヴァリアに向かいます!」
「なにそれ、どこーーーーー!?」
「ちょっと大きな乗り物を出しますが、驚かないでくださいね」
「ほうほう、見たことないやつ?」
「心臓を叩いておいた方がいいよ!」
「いや、意味わかんないし!」
もちろん驚かす気マンマンなので、何も説明しないでドラちゃんを召喚。
乗り物としか聞いてないピコねえは『どんな召喚獣が出るんだろ?』とボクの目の前を見てるから、視界が赤一色って感じになって大混乱。
ふと空を見上げて、それがドラゴンだということに気が付きました。
「ぶはッッッ!!ド、ド、ド、ドラゴーーーーーーーーーーン!!」
「「わーーーっはっはっはっはっはっはっはっはっは!」」
「紹介します。ボクの召喚獣のドラちゃんです!絶対襲われたりしないから安心してください!」
そうは言われても全長20メートルあるドラゴンなので、いつものようにすぐツッコミをいれることが出来ず、ただ空を見上げて驚愕してますね。
でも安心してください。次は空飛ぶ島があなたを待っています!




