第589話 ミルミちゃん
ステーキセットを注文した馬車屋さんが『美味い!』と絶賛したので、奥さんと娘さんも同じ物を注文し、ハムちゃんが専用の台に乗っかって2人の前にステーキセットを並べました。
「「おいしーーーーーーーーーーーーーーー!」」
「だろ!?こんな美味い肉食ったのは初めてかもしれん。それとこの意味不明なサラダも美味いぞ!」
奥さんと娘さんが海藻サラダに視線を向けた。
「ほうほう、普通のサラダと違うね?」
「グニャグニャしたのが上に乗ってるわね」
「うむ。グニャグニャとシャキシャキでちょっと不思議な食感なんだ」
「そのグニャグニャはですね、海の底に生えてる海藻なのです」
「へーーーー!言われてみると海の匂いがするかもしれん!」
「あれって食べてもいいヤツだったの!?」
「毒のある海藻とかもあるので素人は採っちゃダメですよ。これはちゃんと毒見した大丈夫なヤツです」
「なるほど、知らない食材は怖いわね~」
青とピンクの海藻を入れるかどうかで迷いましたが、アレは悪そうなお兄さんが発見した海藻なのでハンバーガー屋さんのサラダで初登場させるべきだと思い、とりあえずウチはワカメだけ使いました。
それとレタス風の野菜とダイコン風の野菜を入れることでシャキシャキさせ、酸っぱいドレッシングでボクの知ってる海藻サラダにしてお出ししております。
海の匂いがするから苦手な人もいると思い、正式オープンの時は普通のサラダと海藻サラダを選択できるようにするつもりですが、奥さんと娘さんも普通に美味しいって食べてるし、今日は海藻サラダだけでいきます!
ダメそうな人がいたら、そう説明しなきゃですね。
ちなみにマダム達はまだ相談中です。
「ランゴランドンが1万ピリンは絶対お得よね!?」
「料理に1万は正直高いけど、今日のために特別に用意してくれたモノだし、今を逃すともう食べることが出来ないかもしれないのよね~」
「半額なのだから安いとも言えるわ!」
「でもパンとサラダも付いてくるから、子供達が残しちゃうと思うの」
「そうだ!あのステーキも気になるし、ランゴランドン四つにステーキセットを二つ注文するのはどうかしら?」
「それでいきましょう♪」
お、注文が決まったっぽいですな!
ママさん達が素晴らしい采配をしたようです。
「えーと、ランゴランドンセット二つとステーキセット一つ。そちらのテーブルにも同じ物をお願いするわ」
「かしこまりました!もし足りなかったらハンバーガーかメメトンカツサンドで良い感じに調節できますよ」
「あっ、なるほど!」
でもよく考えたら、さっきケーキを食べてたし、上流マダムと子供の胃袋だと食べ切れないかもしれないですね。
というわけで、カードをピッピッピッとしてから近くにいたハムちゃんにオーダーを通しました。
ハムちゃんもまだ新米従業員なので、謎念波でイメージを送って『ここにランゴランドンセットを出すように』ってしっかり説明する必要なあるのだ。
マダムと子供達の前にランゴランドンとステーキが並べられた。
みんなで分けて食べる感じなので、お皿もいくつかお出ししました。
「「はやっ!」」
当然ながら馬車屋さん一家と同じ反応をしました。
「王都で食べたランゴランドンと一緒だわ♪」
「バターの良い香りがする!」
マダム達がランゴランドンを切り分け、お上品に自分と子供達のお皿に乗せる。
そして冷めないうちに口へと運びました。
「とても美味しいわ!」
「なんて上品なお味なのかしら♪」
「おいしーーーーーーーーーーーーーーー!」
「これは大当たりだわ!王都で食べたのより美味しいかも・・・」
「うん!これで1万ピリンは絶対お得ね!」
2万のランゴランドンより評価が高いのは嬉しいかも♪
「お肉も頂いてみましょうか!」
「うん!!」
マダム達がステーキを切り分け、これまたお上品に口に運んだ。
「お肉の方も美味しいわ!」
「メメトンと全然違うわね~。柔らかくてお上品で」
「本当に美味しいお肉ね♪あ、そのまま食べちゃったけどタレがあったのね!」
「私もそのまま食べちゃった。じゃあ次はタレで頂いてみましょうか」
「「美味しい♪」」
どっちも大絶賛で、クーヤちゃん薬局喫茶の料理に自信が持てました!
これはいける!と従業員達もみんな笑顔になってます。
チリンチリーン
おっと次のお客さんだ!
そういえばお昼休み組が来る時間帯ですね。
なんかもう最初のお客さん達だけでボク達もお腹いっぱいなのですが、戦いはまだ始まったばかりなのだ!
「「いらっしゃいませーーーーー!」」
来たのはやはりお昼休みのギルド職員達で、家族まで連れてきたのは2人かな?
家族連れはみんなで食事をしていくみたいだけど、昨日食べたハンバーガー狙いで来た人もいて、その人達は棚にどっさり陳列されているハンバーガーを見て目を輝かせますね!
とりあえずハンバーガーだけ買って帰って会社で食べて、仕事が終わったらまた来るって人もいるかと思われます。
「おお、沢山あるじゃないか!」
「このメメトンカツサンドというのは?」
「ハンバーガー屋さんの新商品なのです!少し値段が高い分手間が掛かっていて、そっちも美味しいですよ♪まだオープンしてませんが」
「オープン前ならどっちも新商品じゃねえか!」
「にゃはははは!メメトンファンなら絶対ハマると思うので、両方買っていくのをオススメしますよ」
「メメトンファンって何だよ!?肉好きでメメトンが嫌いなヤツなんてほとんどいないし、全員ハマるってことじゃねえか」
「そういうことです。10個くらい買っていくべきです」
「そんなに食えねえよ!」
たぶん昼食目当てで来ただけなんだと思いますが、そういう人達はパパっとハンバーガーとメメトンカツサンドを三つ四つ買ってすぐ会社に帰っていきました。
美味しかったら夜また買いに来るかもしれませんね。特別オープンだから今日買わないとしばらく食べられなくて禁断症状が出るのだ。
健康に自信がある人は目薬も風邪薬も眼中に無いだろうし、全員が薬を買ってくとは思わない方がいいでしょう。
そしてもちろん薬を買いに来た人もいて、みんなでふわっとお姉さんの説明を聞いています。
人見知りの虚無お姉さんも彼女ばかりに対応させるのは申し訳ないと、必死にノートにメモってるのが偉いです。
でも虚無お姉さんは薬の入れ物作りを頑張ってるわけですから、戦力外なんてことは全然ないです。むしろキーマンなので焦らないでいいですからね~。
とりあえずこっちは、ふわっとお姉さんに任せておいて大丈夫そうなので、再び喫茶の方に戻りました。
その頃には最初のマダムの食事も終盤で落ち着いていたんだけど、アメリアちゃんと仲良しのミルミちゃんが先生に本を読んでもらったとかで、どんな本を読んでもらったのか彼女に聞いているところでした。
何の先生なのかは謎です。入学前だし家庭教師なのかな?
「それでどうなったのかしら?」
「んとね、おばあさんが750かいひかってから、そらからおちてきたのよ!すごくつよいのよ!」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」
バフッ!
「な、ななひゃ」
「くッ!」
「ぷくくく」
「ゴホッ、ゴフッ、ゴヘッ!」
プヒューーー、ハアッ、ハアッ、フッ、フフフ。
ミルミちゃんの意味不明な説明にみんな『ん?』ってなったんだけど、想像したらメチャクチャ衝撃的な内容で、全員笑いを堪え切れなかった。
750回は反則でしょう!こんなん笑うって!
そのおばあさん何者なんだよ!数えた人誰だよ!?
マダム達が常連になるってことは、ミルミちゃんも常連なわけだよね?
まだこんな逸材がいたとは・・・。ボクも従業員達も腹筋がもたないかも!




